亀山早苗の恋愛コラム

妹からのストレートな質問に「涙がこぼれた」。男性として生きる“中途半端な自分”に思うこと(2ページ目)

トランスジェンダーを巡ってはさまざまな局面で厳しい意見が交わされている。性自認と恋愛指向がますます複雑になる中で当事者たちは……。「心は女性寄り」だという当事者に話を聞いた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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周囲から「優しい男性」と評価される今の自分

もともと就活をする気はなかった。ただ、仕事をしないわけにもいかない。彼は先輩に紹介してもらった事務所に、クリエイターとして就職した。

「みんなが自由な発想で仕事をしているのかと思ったら、案外、事務所内は古風でした。マッチョな雰囲気だし、上からのパワハラはひどいし」

3年間耐えたものの、ある日、起きられなくなって休職、その後退職した。それからはさまざまなアルバイトをしてなんとか食いつないできたとカオルさんは言う。今はある飲食店の店長だ。

女性客から「話しやすい」と人気があり、人生相談を持ちかけるお客さんも少なくない。ただ、いまだにカオルさん自身の心の奥底を話せる人は数少ないし、多くの人は「心優しい普通の男性」として見ているようだ。
 

当事者会に行って思った「ここじゃない」感

「どう見られてもいいとは思っているんです。ただ、自分で自分をなかなか把握できないつらさはありますね。LGBTQの当事者会などにも行ったことはあるんですが、なんとなくここじゃないなと思いました」

パートナーがほしいと思ったことはある。男女問わず友だちはいるが、友だちよりもう少し深い関係の、人生で寄り添っていけるような関係はほしい。ただ、恋愛感情がもてない自分がどうやってパートナーを作っていけるのかわからないままだ。

「私が男性を好きなのではないかと誤解されることもあります。妹はちゃんと理解してくれているけど、母も姉もそのことは知らない。家族に言いたいと思うなら、間に立つよと妹は言ってくれています。でもなかなか勇気が出ない」

このままでいいのか、自分はどうしたらいいのか。カオルさんはいつもそう悩みながらも、「自分の夢」をもち、そこに向かって生きようと決めている。
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