大学受験

高校の「定期テスト」で高得点をとれる子、平均点以下の子の違いは「2週間前」の行動にあった

同じように高校受験を経て入学したはずなのに、定期テストで高得点をとれる子と、平均点以下の点数しかとれない子の差が生まれてしまうのはなぜでしょう。高校の定期テストでよい点をとるために必要な意識と取り組み方とは?

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

中学校で通用したやり方では点数がとれない「高校の定期テスト」

高校の定期テスト

高校の学習内容が中学校と決定的に違うのは「定着までにかかる時間」

実は高校の定期テストには、問題集や対策プリントからそのまま出題される問題も少なくありません。手元に前回のテストの問題用紙がある人は見てみましょう。特に数学や英語は、そのまま出されている問題がいくつかあるはずです。

それなのに定期テストで平均より20点以上の高得点をとれる子もいれば、赤点ギリギリの点数しかとれない子もいます。同じように高校受験を経て入学したはずなのに、この差が生まれてしまうのはなぜでしょう。

これは経験則ですが、高校で平均点をとれない子の多くは「テスト週間」しか勉強していません。テスト直前まで提出物に追われ、ようやく課題が終わった頃にはもうテスト前日だったというような事態です。これでは開始時期が遅く、手遅れと言わざるを得ない状況です。

高校では、数学IとA、英語は英語コミュニケーションと論理表現など、単純に教科の数(科目数)が倍になります。それに加えて授業の進度も速いため、中学生のときと同じ感覚で「テスト週間」だけ勉強していても間に合わないのです。
 

高校の定期テストで高得点をとる子は、逆算して「2週間前」から動く

高校の定期テストで平均点以上とれる子は、遅くともテスト週間の1週間前、早い子は2週間以上前から勉強を始めています。ひと通り勉強を終わらせるのではなく、「いかに定着させるか」ということに意識が向いているからです。

例えば、数学の問題集は最低でも3周は解く必要性を感じています。暗記系の科目でも同様に、テスト直前にあわてて詰めこむようなことはしません。まずひと通りざっと覚えておいてから、テスト週間中は取りこぼしや細かい暗記のおさらいをしているのです。

一方で、高校で成績がふるわない子は、テスト範囲までの課題をこなすことに精一杯で、学習内容が定着するまでくり返し取り組むことに意識を向ける余裕がありません。しかしそもそもテスト勉強は、提出課題を終わらせることではありません。テスト範囲の問題集やプリントはやらなければいけない最低限のことで、いわばスタートラインにすぎないのです。

高校のテストで高得点がとれる子とそうでない子の差は、勉強への意識や取り組み方の違いからくる、学習の「量」と「質」の差にあります。
 

一夜漬け型の勉強では学習効果が半減、復習は「分散効果」で

テスト勉強の開始時期を早めた方がよい理由は、エビングハウスというドイツの心理学者が行った有名な実験も参考になるでしょう。「無意味綴り」と呼ばれる単語を覚えてもらった後、時間の経過とともにどれくらい忘れていくかを調べた実験です。一度覚えたことも時間とともに忘れてしまい、それは、時間が経てば経つほど復習が大変になることを示しています。
 
また学習理論では「分散効果」といって、ある程度間隔を空けて復習した方が学習効果が高いということも示されています。
 
例えば、高校英語では時制の単元で、時を表す「名詞節」や「副詞節」について学びます。

 【名詞節】
明日、雨が降るかどうかわからない。
I don’t know if it will rain tomorrow.

【副詞節】
明日、雨なら出かけません。
I won’t go out if it rains tomorrow.

名詞節では、「明日、雨が降るかどうか」を未来形を使って表します。一方副詞節では、「明日、雨なら」は「if it rains」と現在形で表します。tomorrowがつくのに「if it will rain」とはしないのです。

このような学習内容の復習が早すぎると、「はいはい、tomorrowがつくけれど副詞節では現在形ね」と、それ以上あまり深く考えることをしないのではないでしょうか。そして数週間後にもう一度復習してみると、「あれ、tomorrowがつくのに未来形じゃないの?」と、なぜ現在形で表すのかをすっかり忘れてしまっているのです。

実はこの「習ったはずなのにすっかり忘れている」という感覚も重要です。つまり「わかったつもりになっていた」と気づく経験です。これに気づくためには、テスト週間だけの勉強では足りません。テストの数週間前からくり返し復習していたら、「この前、副詞節の時は現在形にするって習ったけど、名詞節の場合は未来形にするんだったよな。あれどういうことだっけ?」といった具合に、そこではじめて「全然理解できていなかった」ということ気づき、深く考えるきっかけになるからです。
 

高校の成績で顕著になる、勉強の取り組み方の正解

高校の勉強は、このように一度習ったことでもくり返し取り組まないと定着しない学習内容が中学校と比べて一気に増えます。

そのため、テスト直前に集中して勉強する「一夜漬け」型の勉強法は、中学校では通用しても高校では通用しないのです。それも1回復習した程度では定着しないものばかりのため、「忘れて」は「解き直し」、「忘れて」は「解き直し」のくり返しがこれまで以上に必要になります。

数週間前からくり返しコツコツ勉強するスタイルが大切な理由は、学習習慣の確立という観点よりも、むしろ、これまで説明した学習内容の定着という「学習効率」の観点にあります。

さっそく次のテストに向け、テスト数週間前からくり返しコツコツ勉強するスタイルを取り入れてみましょう。

【参考書籍】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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