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宮沢氷魚が「これほど制作に深く関わった作品はない」と語る、主演映画『はざまに生きる、春』の魅力(4ページ目)

映画『はざまに生きる、春』に主演している宮沢氷魚さんにインタビュー。発達障害のある画家をチャーミングに演じた宮沢さんに、撮影の裏側から俳優としての未来までさまざまなお話を聞きました。

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

透の芸術の才能がうらやましい

――宮沢さんは『his』(2020)、『エゴイスト』(2023)で同性愛の男性を演じ、本作では発達障害のある画家の役。第三者から見るとハードルが高そうに感じてしまうのですが、俳優としてはいかがでしょうか?

宮沢
:ハードルが高い低いというのは、はっきり言えないのですが、やはりしっかりとした準備が必要な役とはいえますね。なぜなら僕の演じ方ひとつで傷ついてしまう方がいるかもしれないし、差別を助長してしまう危険性もありますから。 ――なるほど。そうですよね。
 
宮沢
:この映画の場合、発達障害のことを知らない人が見てくださる可能性があります。その方は透くんを見て、初めて発達障害について知ることになるので、僕が演じ方をひとつでも間違えたら、誤った情報が広がってしまうんです。
 
そんな中、僕たちができることは透くんのキャラクターや発達障害、生きる世界を間違えないこと、そして、真実をちゃんと伝えること。そのために医療関係者の方の協力を得て、慎重に作り上げなければならないと思いました。それはこの映画が始まった時から、ずっと考えて真剣に取り組んできたことです。
宮沢氷魚

透くんについて熱く語ってくれた宮沢さん

――宮沢さんは透として生きて、彼の芸術への情熱についてどのように考えましたか?
 
宮沢
:純粋にうらやましいと思いました。透くんは自分の絵の才能に思い切り情熱を注ぎ込み、何かを生み出すことができる。それは素晴らしいことだなと。僕も俳優やモデルをやっているので表現をする側の人間ですが、彼ほどの情熱を持ってやっているかと問われたら、悩んでしまいそうです。
 
そもそも俳優は、作品ありきなので。与えられた台本がないと成立しない仕事ですし、作品は多くのスタッフと協力して作り上げるものなので。でも透くんは真っ白なキャンバスに0から1を生み出していく。すごく憧れますし、魅力を感じますね。

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