葛監督の実体験を映画化
――葛監督に、透というキャラクターについて詳しく聞きましたか?宮沢:監督が実体験をもとに脚本を書かれたことは知っていたのですが、詳しくは聞きませんでした。葛監督は春ちゃんと同じ“編集”のお仕事をされていたので、きっと役にご自身を投影されていたのかなと。監督が見た世界が脚本ですべて表現されていると思ったので、それだけで十分でした。
自分の経験を脚本にして、それを監督として映画化できるなんて、葛監督がうらやましいです。とても贅沢なことですから。
――春を演じた小西桜子さんとは初共演ですが、いかがでしたか?
宮沢:以前から桜子ちゃんが出演した作品など目にする機会はあって、画面を通して優しさや温かさが伝わってくる方だったので、桜子ちゃんが演じたら、きっと素敵な春ちゃんになるなと思っていました。そう思いながら、本読みの時に初めてお会いしたんですが、想像以上に純粋で役に対して誠実に向き合う方だったので、彼女が演じやすい空間を作ってあげたいと思いました。 ――透は、春と一緒のシーンがほとんどですよね。
宮沢:そうなんです。一緒にいる時間が多かったので本当にいろんな話をしましたが、ほぼ雑談(笑)。ヘアメイクさんがマッサージ器具をたくさん持っていたので、脚に乗せて筋肉をほぐすマシーンを勧めたら「これ痛い~」とかキャーキャー言ってて。リラックスしながらコミュニケーションを取っていました。
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