光熱費などの負担増で高齢者の支出は増えている!
日本はエネルギーも食料も海外に依存しているので、海外で大きな出来事があると影響を受けやすいです。昨今ではロシアがウクライナへ侵攻したことから、エネルギーの調達価格が上昇し、最終的に一般家庭の主に電気代が高騰しています。また、アメリカなどの金利上昇によってドルなどが買われて円安となり、輸入価格が上昇しています。そして最終的には一般消費者の購入価格が上昇しています。
収入も連動して増えている人は、あまり心配はいりませんが、収入は増えていないのに支出が増えている人にとっては、生活が苦しくなるだけです。この状況を指をくわえて見ているだけでなく、収支改善して対応していきたいところです。
夫婦世帯の老後生活費は前年から1万円増えて月々27万円弱
老後の生活費をイメージするには、今の高齢者の生活費が参考になります。総務省の『家計調査 家計収支編2022年』から、「65歳以上の夫婦無職世帯」および「65歳以上の単身無職世帯」が毎月支出している生活費の内訳を確認してみました。1つ目のグラフは夫婦世帯です。65歳以上の夫婦無職世帯なので、公的年金で生活している世帯が中心と考えられます。月々の生活費のうち実支出(消費支出+非消費支出)は268,508円となっています。前年と比べて実収入は9,661円増えていますが、実支出は13,408円(5.3%)も増えているので、収支は前年よりも厳しくなっていることがわかります。
支出額が特に多いのは「食料(67,776円)」「その他の消費支出(49,430円)」「非消費支出(31,812円)」で、その他の消費支出には理美容用品や交際費等、非消費支出には世帯の自由にならない個人住民税や健康保険料等の支出が含まれています。前年から支出額が大きく増えたのは「交通・通信(3,646円)」「光熱・水道(3,115円)」「その他の消費支出(2,888円)」等で、光熱・水道は一気に16.0%も増えています。食料も3.0%(1,987円)増となっています。
単身世帯の老後生活費も前年から1万円増えて16万円
65歳以上の単身無職世帯でも支出が増えています。グラフは65歳以上の単身無職世帯の支出内訳です。65歳以上の単身無職世帯なので、公的年金で生活している高齢者1人暮らし世帯が中心と考えられます。月々の生活費のうち実支出(消費支出+非消費支出)は155,495円となっています。前年と比べて実支出は10,748円(7.4%)も増えているのに、実収入は430円減っています。単身世帯は夫婦世帯よりも厳しい家計状況かもしれません。
支出額が特に多いのは「食料(月平均額・以下同・37,485円)」「その他の消費支出(31,872円)」「光熱・水道(14,704円)」で、前年から支出額が大きく増えたのは「その他の消費支出(2,687円)」「交通・通信(2,412円)」「光熱・水道(2,094円)」等となっています。単身世帯も光熱・水道が16.6%増えていますが、それ以上に交通・通信が19.7%増、家具・家事用品も17.3%増となっています。コロナ禍の自粛生活による反動が、支出に出ているのかもしれません。
老後を公的年金だけで生活するには努力が必要
65歳以上の月々の実支出(消費支出+非消費支出)は、夫婦無職世帯で268,508円、単身無職世帯で155,495円とお伝えしました。この支出額をまかなえるだけの実収入があれば、普通の生活を送ることができますが、実際はどうなのでしょうか。同資料には月々の実収入についても記載があり、計算してみると下記のようになります。- 65歳以上の夫婦無職世帯…実収入246,237円-実支出268,508円=22,271円不足(月額)
- 65歳以上の単身無職世帯…実収入134,915円-実支出155,495円=20,580円不足(月額)
老後を仮に30年とすると夫婦無職世帯で802万円、単身無職世帯で741万円不足してしまいます。今後、公的年金受給額の上昇以上に食料や光熱・水道が上昇すれば、不足額はさらに増えていきます。足りなければ貯蓄等で収入を補うか、節約等で支出を抑える必要があります。なお、これは2022年の平均値を基にした算出であり、前提条件が変われば過不足額も変わります。
単身者でも2人以上で住めば1人当たりの生活費を抑えられる
将来、生活費が不足しそうなら早めに対策を講じておくことが大事で、「収入を増やす」「支出を減らす」「資産運用して運用益を得る」等がオーソドックスな方法になります。支出を減らすには、例えば世帯人数を増やすと、1人当たりの生活費を抑えることができます。調査結果では1人(単身世帯)だと155,495円ですが、2人(夫婦世帯)になっても2倍にはならず、1.7倍程度で収まっています。
「住居」「光熱・水道」等は共同使用することで、1人当たりの支出を削減できるからです。夫婦世帯であれば子ども世帯との同居、単身世帯であれば単身同士で同居等を考えてみるとよいでしょう。
ほとんどの人はまだまだ収支を改善できる!
収支改善できるところはたくさんある!
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