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2023年夏のボーナスはいくら? 上場企業平均は79万4008円

夏のボーナスの時期が近づいてきました。また、大型連休のゴールデンウィークを皮切りに人の動きが活発になってきました。2023年夏のボーナスは全体としては前年比1.5%の増加。しかし、業種によっては、ボーナスの減少が続くところもあります。各業種では、どんな状況か平均支給額を見ていきましょう。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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<目次>

2023年夏のボーナスは平均で79万4008円。対前年同期比で1.5%の増加

2023年夏のボーナスの見込み額について、業種別で、かつ時系列でデータがわかる調査データに基づいて、全体の傾向、各産業別の増減を見ていきます。
東証プライム上場企業の賞与・一時金の妥結水準の推移

東証プライム上場企業の賞与・一時金の妥結水準の推移

一般財団法人労務行政研究所が、東証プライム上場企業のうち118社から回答を得た集計結果によれば、2023年夏のボーナスの妥結額は、全産業平均で79万4008円。対前年同期比で1.5%の増加となりました。
 
リーマンショック後の2009年夏のボーナスは、前年から実に14.4%ものダウンを示し、その後、一進一退を繰り返しながら、2014年以降、平均額は70万円台を回復しました。そして、2018年夏、ようやくリーマンショック前の平均額を上回り、74万6105円となっていました。
 
2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の影響が顕在化し、2021年夏のボーナスは▲2.5%と大幅ダウンとなりました。昨年2022年夏のボーナスは前年から6.5%の大幅増加に転じ、今年は伸び率こそ1.5%の増加ですが、妥結額は2008年以降、最高額の79万4008円となっています。
 
これまで東証1部上場企業を対象にした調査は、2022年4月に東証の市場再編(市場区分見直し)が行われたことにより、東証プライム上場企業を対象にしています。以前と同一企業で比較されていますので、市場再編による影響はありません。
 

産業別トップは「自動車」の95万6000円。次いで「ガラス・土石」の95万5000円

産業別で見ていきましょう。
 
製造業の平均は82万7713円、対前年同期比で2.3%増。
非製造業の平均は68万412円、対前年同期比で1.9%減。

 
2023年の夏のボーナスは、全産業・製造業全体がプラス、非製造業全体が微減と、傾向が分かれる結果となっています。
業種別・平均額

業種別・平均額


個別の産業で見ると、昨年から減少となったのは、製造業では、「紙・パルプ」と「ガラス・土石」。非製造業では、「電力」「サービス」で、他の業種は増加となりました。
 
平均額トップは「自動車」の95万6459円。対前年同期比3.4%増です。対前年同期比で見ると、「鉄鋼」が17.2%の増加となっています。「ガラス・土石」は昨年から9.9%の減少ですが、昨年は100万円超の支給額でした。今年もトップの自動車とほぼ同じで、高い水準が維持されています。
 
非製造業は、製造業と平均額では約15万円の開きがあります。非製造業の平均額トップは「情報・通信」の86万4000円で、前年から0.6%のプラスになりましたが、非製造業全体では1.9%の減少となっています。
 
全体としては、コロナ禍で落ち込んだ業績が回復傾向にあり、コロナ前の2019年と比べると6.8%の増加となっていますが、個別にみると厳しい状況が続く業種があるという状況となっています。
 

平均支給月数は2.48カ月で前年から微増

ボーナスは企業業績に左右されるもので、月収の何カ月分かが、その指標の一つになります。今回の調査では、全産業で2.48カ月(2022年夏季実績2.46カ月)、製造業で2.61カ月(同2.57カ月)、非製造業で1.95カ月(同1.95カ月)と、支給月数も平均額同様、製造業と非製造業での開きが広がった格好になっています。
 

変動するボーナスを過信しない、家計管理の徹底を

実際の家計では、平均額、他業種の状況よりも、「それで、自分の会社は、自分の場合は、いったいいくらなのか」がすべてであり、他の会社や産業、他人と比較しても仕方ないことです。すでに、ボーナスの見込み額を把握している人も多いでしょう。
 
大事なのは、そのボーナスをどのように使うかということ。何にいくら使うのか、貯蓄にはいくら回すのかなど、事前に計画を立てておくことです。
 
たとえば、下記にあげる5つのポイントを参考に、今度のボーナスの使い道を考えておきましょう。
 
(1)毎月の生活費の赤字補てんに回すのは今回限りとする
→今回のボーナスで赤字は解消し、毎月の収支を見直すきっかけとする。ボーナスは家計の調整弁ではあるが、毎回、毎月の赤字の補てんでは、貯蓄を増やすことはできない。コロナ禍によって毎月の収入が減少した場合は、再度、家計支出の見直しを図り、ボーナスに依存した家計からの転換は必要。
 
(2)ボーナス払いのクレジットカードの引き落としは最低限にとどめる
→大きな買い物はボーナス払いにしがち。不要不急の買い物は、できるだけ半年、年間で計画を立て、予算内に収まるようにし、ボーナス払いの衝動買いは避けること。クレジットカードのリボ払いもNG。リボ払いは借金が積み重なり、多重債務に陥る可能性がある。一時的にカードローンなどを利用した世帯は、ボーナスなどで早めに精算することも大事。
 
(3)住宅ローンの繰り上げ返済に回す
→借入金利が低ければ、繰り上げ返済が最優先ではない。子どもの教育費など、ほかに優先すべきことがないかチェックする。借入金利が現状より高ければ、金利交渉、借り換えが優先。また、ボーナス払いを併用していて、ボーナスの減少によって支払いに影響が出る場合は、返済プランの見直しを借入先の金融機関に早めに相談すること。
 
(4)ボーナスが残ったら貯蓄するのはダメ
→毎月の貯蓄と同様に、ボーナスも先取りで貯蓄をする。ボーナスで使う予算を決めて、それ以上使わないように、ボーナスが出たら、先に貯蓄をする。いったん、給与振込口座から別の口座に移し替えるのも有効。
 
(5)ボーナスが出てから使い道を決めるのはダメ
→貯蓄分、使う分を決めたら、必要以上に普通預金に入れっぱなしにしないことが大事。ボーナスが支給されてから使い道を考えると、気が大きくなって余計な出費をしがち。自粛生活の反動のリベンジ消費と言われているが、世間の動きに惑わされず、冷静に行動すること。
 
くれぐれも、せっかくのボーナスが、気がついたらなくなっていた、ということがないよう有意義な使い方を心がけてください。
 
【データ出典】
一般財団法人労務行政研究所『東証プライム上場企業の 2023年夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査』
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000084903.pdf
 
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