ビジネスの拡大に好影響か
ノウタスと村上さんの双方に、どのようなメリットがあるのでしょうか
しかし、非常勤とはいえ「社員村上信五」となれば、「どんな活動をするのか」「どのような活躍や効果を期待しているのか」等々メディアの関心を引くことは間違いなく、イベントや新サービス開発に村上さんを絡めることで、従来以上の注目を集めることができるでしょう。
また、アイドルでありテレビなどでの露出が多い村上さんが場面、場面に登場することで、ノウタスが標榜する「アグリテインメント」のイメージの具体化が図れることにもつながるでしょう。
もちろん今後ノウタスによる村上さんの活用次第ですが、非常勤社員村上さんとのコラボレーションにより「アグリテインメント」という言葉やその概念の一般への浸透および定着が図れるならば、ベンチャー企業ノウタスの「のれん代」的価値が増えて、資金集めや上場などに向けたステップアップにも資するという期待もできそうです。
一方の村上さん。彼はアイドルグループ関ジャニ∞のメンバーとして活動して、すでに20年超。年齢的にも41歳になって、アイドル路線とは他の道を模索しているかもしれません。個別で番組司会なども務めてはいるものの、他のベテランアイドルたちとは違う何かが欲しい、そんな状況にあったのではないでしょうか。
その意味では、今回の件で成果が上がれば、アイドル経験を生かしエンタメサイドからビジネスに貢献するアイドルタレントという新ジャンルの先駆者として、他の企業からもオファーが来るかもしれません。
所属のジャニーズ事務所にとっても、やり方ひとつでビジネスチャンスが広がる可能性があります。ベテランアイドルたちの第二の活躍の場として、各人の得意分野や関心分野をしっかりウォッチし、個々の特性がどこの業界と関連がありそうかを分析した上で社員として派遣する、という新しいビジネススタイルが生まれるかもしれません。
多くのBtoC事業でエンタメ業界のノウハウは活用可能なものでありながら、これまで具体的な活用成功例には乏しいので、村上さんの活躍に期待感がふくらむところでもあります。
一方で、このようなタレントとの単なるキャラクター契約に留まらないビジネス契約では、一定の注意も必要です。
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