受賞コメント全文
■『COLOR』勝柴次朗さん(照明)、上田大樹さん(映像)――本作ではとりわけ開場時に舞台空間を彩っていた、奥行きのある色彩が印象的でしたが、どのように色を選ばれましたか? また、実際に空間を彩るにあたりご苦労などはありましたでしょうか。
勝柴次朗さん(以下、勝柴)「会場の舞台空間はほとんど映像の上田さんの世界観で、その空間をサポートしているのが照明です」
上田大樹さん(以下、上田)「記憶を失っていく物語の前段の暗示として、色彩のある空間から色が失われていくという導入にしているのですが、原作の坪倉さんの草木染めが非常に繊細な色なので、単純にカラフルではない色彩を演出の小山さんと相談しながら決めていきました。白いセットなので、映像で色彩を入れるのは比較的容易ではあるのですが、後半の変化のために前半では抑制していくことが難しい点でした」
――本作の舞台空間の色について、照明分野と映像分野でどのように連携されていたでしょうか。
勝柴「打ち合わせを重ねて演出家のイメージを表現できるように、互いのプランを尊重しています」
上田「照明の勝柴さんは、いつも非常に柔軟に照明と映像のバランスを上手に取ってくださる方なので、どちらかというと勝柴さんに甘えさせていただいて、ここはこんな映像が入りますが、後は助けてください…といった場面が多かった気がしています」
――今回、創り上げた空間の中で実際に俳優さんが演技され、作品が完成した様子をご覧になって、どんな手応えを感じられましたか?
勝柴「難しいテーマの作品である事。観客がどれだけ入り込めるか心配であったが、演出の小山さん、演技者、音楽、美術家、ミュージシャンの方達の取り組みが凄く良いカムパニーだったのでできた作品だと思います」
上田「それぞれのチームの違いで、同じ物語でも印象が変わっていくことが、ある意味COLORらしいなと思いましたし、素晴らしい俳優さんたちと共に作品を構築していけることが嬉しかったです」
――昨今のミュージカル人気を受けて、日本でもミュージカルに関わりたい、特にスタッフワークに興味がある、といった方も増えているのではないかと思います。そういった若い方に向けて、ご自身のお仕事の醍醐味(だいごみ)を教えていただけますか?
勝柴「植物には土壌があり、そこから必要な物をくみとり、芽を出し、雨、風に打たれながら成長して、きれいな花を咲かせます。そして実をつけます。
舞台も台本があり演出家やスタッフが、雨、風になり、時にはおいしい水を!大きな芽を、そしてきれいな花が開く様に稽古に励みます。そこに輝きと、喜びを表現出来るのが照明の仕事だと思います。
舞台の仕事で時間軸の表現が出来るのは照明だけ。最後の仕上げを担当するのも照明です。舞台の好きな方、照明の世界にいらして下さい」
上田「俳優や演出家、他のスタッフの方たちと一緒に一つの作品を作り上げていく過程はエキサイティングですし、個々人の力だけでは決して到達しない作品ができていくのが醍醐味だと思います」
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