年金

4月、5月、6月の給与で厚生年金保険料が決まるってホント?【2023年】

毎月の給与から天引きされている厚生年金保険料がどのように決まるのかご存じでしょうか。実は4月、5月、6月の給与が大きく影響しているのです。今回は厚生年金保険料の決まり方について解説いたします。

川手 康義

執筆者:川手 康義

ファイナンシャルプランナー / サラリーマン家庭を守るお金術ガイド

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<目次>
毎月の給与から天引きされている厚生年金保険料がどのように決まるのかご存じでしょうか。実は4月、5月、6月の給与が大きく影響しているのです。

今回は、厚生年金保険料の決まり方について解説いたします。

厚生年金保険料を決めるのは標準報酬月額です

厚生年金保険料を決めるのは「標準報酬月額」ですと言われても、「何それ?」と思う方が大半ではないでしょうか。

「標準報酬月額」とは4月、5月、6月の給与の平均額(報酬月額といいます)を、一定の幅で区切られた表にあてはめて算出した金額のことであり、毎月給与から天引きされる厚生年金保険料は、この「標準報酬月額」に保険料率(*)を掛けて決められます。

*18.3%を会社と折半し9.15%
4月、5月、6月の給与平均額が該当する標準報酬月額で厚生年金保険料は決まります(日本年金機構「厚生年金保険料額表」より抜粋/筆者作成)

4月、5月、6月の給与平均額が該当する標準報酬月額で厚生年金保険料は決まります(日本年金機構「厚生年金保険料額表」より抜粋/筆者作成)


例えば4月、5月、6月の給与が20万5000円の方であれば「標準報酬月額」が20万円であり、厚生年金保険料の自己負担額は1万8300円であることが画像の表から分かります。

厚生年金保険料は9月に改定され原則1年間変わりません

4月、5月、6月の給与をもとにした「標準報酬月額」から決まる厚生年金保険料は、その年の9月の給与から引き落としが始まり、原則1年間変わることはありません。

しかしながら年の途中で昇給、減給、家族の増減、各種手当の変更等により、大幅な給与の変動があった場合はその限りではありません。具体的には給与の変更があった月以降3カ月間の平均額が該当する標準報酬月額が、それまでと2等級以上違う場合には、年の途中であっても厚生年金保険料が改定されます(随時改定)。

給与には各種手当も含まれます

標準報酬月額を算出する際の4月、5月、6月の給与ですが、各種手当(配偶者手当、住宅手当、役職手当、残業手当など)を含めた給与額面が用いられます。また、現物支給の食事なども給与に換算され計算されます。

特に3月~5月に残業が多く、残業手当が4月、5月、6月に反映される業種などの厚生年金保険料は、9月に改定されたのち原則1年間変わらず、給与が少ない月などの手取りに大きく影響するので注意が必要です。

〈参考〉全国現物給与価額一覧

賞与から引かれる厚生年金保険料はどのように計算されている?

毎月の厚生年金保険料は4月、5月、6月の給与の影響を受けますが、賞与の場合は実際の税引き前の賞与の額から千円未満の端数を切り捨てた「標準賞与額」に保険料率(*)を掛けて計算されます。そのため4月、5月、6月の給与の影響を受けることはありません。

なお標準賞与額は150万円が上限とされており、それ以上の賞与が支給された場合でも厚生年金保険料は150万円に保険料率(*)を掛けて計算されます。

*18.3%を会社と折半し9.15%

まとめ

今回は厚生年金保険料の算出方法について解説してみました。厚生年金保険料は将来の年金額に反映されることは理解できても、毎月の負担が大きいのは皆さん感じておられることかと思います。とはいえ、毎月の保険料を安くする方法はあまり見当たらないのも現実であり、4月、5月、6月の給与に反映される月の残業を減らすことぐらいでしょうか。
 
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