確定申告

国民年金が60万円、不動産収入が年間54万円あります。確定申告の必要はありますか?

お金のこと、難しいですよね。老後の不安から、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。皆さんからのちょっとした疑問にオールアバウトの専門家が回答するコーナーです。今回は、年金の他に不動産収入がある人の確定申告について税理士が回答します。専門家に質問したい人は、コメント欄に書き込みをお願いします。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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お金のこと、難しいですよね。老後の不安から、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。皆さんからのちょっとした疑問にオールアバウトの専門家が回答するコーナーです。今回は、年金の他に不動産収入がある人の確定申告について税理士が回答します。専門家に質問したい人は、コメント欄に書き込みをお願いします。
 

Q:国民年金が年間60万円、不動産収入が年間54万円あります。確定申告の必要は、ありますか?

「国民年金を年間60万円、その他に不動産収入が年間54万円あります。確定申告の必要は、ありますか?今までは、していません」(やっちゃんさん)
年金のほかに不動産収入がある場合、確定申告は必要?

年金のほかに不動産収入がある場合、確定申告は必要?

 

A:不動産収入から必要経費を差し引いて、基礎控除額48万円以下であれば、確定申告は不要です

質問者「やっちゃんさん」の文面によると、収入については国民年金と不動産収入があることがわかっています。国民年金については公的年金等における雑所得、不動産収入については不動産所得という区分けの中で確定申告の必要があるのかを整理していくことになります。

まず、国民年金60万円についてですが、公的年金等控除額の最低額60万円(65歳以上の場合は110万円)を差し引けるので所得ベースでは0円になります。

また、不動産所得とは総収入金額から必要経費を差し引いて算定することとされています。しかし文面には「不動産収入が年間54万円」ある旨の記載があるだけで、必要経費についての記載がありません。

まずは「不動産収入の金額=不動産所得の金額」と考えた場合について確定申告が必要かどうかを見てみましょう。

国税庁の見解によると確定申告が必要な方としたさまざまなパターンが例示されており、その中のひとつに「各種の所得の合計額(譲渡所得や山林所得を含む)から、所得控除を差し引いて、課税される所得金額を求めます」との記載があります。

つまり、この説明文を上記のケースにあてはめると、
  • 0円(公的年金等における雑所得)+54万円(質問文からの不動産所得の金額)
から所得控除を差し引いて、課税される所得金額が生じるのであれば、確定申告が必要となります。

所得控除のうち誰でも適用できるものに基礎控除というものがあるのですが、質問者「やっちゃんさん」に適用される所得税の基礎控除は48万円です。したがって、この段階では
  • 54万円(質問文の内容からの不動産所得の金額)―48万円(基礎控除額)=6万円(課税される所得金額)
となり6万円の課税される所得が発生することになります。つまり「やっちゃん」さんが記載した「不動産収入の金額=不動産所得の金額」であるならば、確定申告が必要となります。

一方で、「やっちゃん」さんが記載した「不動産収入の金額=経費を引いていない売り上げ」と考えた場合、確定申告は必要になるのでしょうか?この場合は不動産収入から、必要経費を差し引くことができます。

不動産所得の必要経費としては、以下のようなものが挙げられます。

・固定資産税
・損害保険料
・減価償却費
・修繕費
・不動産会社等に支払う管理手数料など

これらを年間の不動産収入54万円から差し引き、その金額が48万円以下なら確定申告が不要となるのです。

質問文には「今までは確定申告をしていなかった」とありますが、確定申告をしてない各年分について「年間54万円の不動産収入」からこのような項目を差し引いた所得が48万円以下になるか、検証する必要があるでしょう。

仮に所得が48万円を超えるような年があったとしても所得控除は基礎控除のほかに医療費控除、社会保険料控除等々、全部で15種類用意されているので、「不動産所得に適用できる所得控除を差し引いたら課税される所得金額が生じない」ことを確定申告手続きで証明できればいいのです。
 
なお、今後ですが「所得税の青色申告承認申請手続」を行うことをおすすめします。「やっちゃんさん」の場合のように、不動産所得の総収入金額が僅少でも「所得税の青色申告承認申請手続」をした上で確定申告を行えば、青色申告特別控除として10万円を不動産所得の総収入金額から差し引くことができます。

つまり、仮に「不動産収入の金額=不動産所得の金額」であったとして、先ほどの計算式で「課税される所得金額は6万円」となりました。そこから青色申告特別控除として10万円が差し引けるのですから
  • 54万円―10万円<48万円
という算式が成り立ち、課税される所得金額はなし、ということになります。

つまり青色申告特別控除の申し込み手続きをして、確定申告するだけで「所得税が課されない」ことを証明できるのです。

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