1~3割とはいえ、毎月かかる介護費用は家計にとっても大きな負担です。そんなとき「高額介護サービス費」を利用すれば、限度額を超えた介護保険サービス費が払い戻され、介護にかかる負担が減らせます。
心強い味方といえますが、介護にかかるすべての費用が高額介護サービスの対象になるわけではありません。今回は、高額介護サービス費制度の概要と、その対象にならない介護費用を解説します。
「介護保険サービス費」で自己負担するのはいくら?それ以上かかった場合は?
介護保険サービスを利用したときの自己負担は、所得に応じて1~3割です。もし、居宅サービスを利用するのであれば、1カ月あたり利用できるサービスの量(支給限度額)は要介護度別に定められており、次のとおりです。
【サービス利用者の利用限度額】
・要支援1:5万320円
・要支援2:10万5310円
・要介護1:16万7650円
・要介護2:19万7050円
・要介護3:27万480円
・要介護4:30万9380円
・要介護5:36万2170円
例えば、自己負担が1割の親が、「要介護1」の認定を受けたのであれば、16万7650円内でのサービスが利用でき「16万7650円×0.1=1万6765円」だけを支払います。
介護期間は平均で5年1カ月ほどといわれていますが、実際、1~3割の自己負担が続くのは、家計にとっても大きな負担です。
しかし、高額介護サービス費を利用すれば、世帯や個人の収入などによって、月々の自己負担の上限額を超えた場合、市区町村に申請すれば、払い戻してもらえます。 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf
高額介護サービス費の月額自己負担の上限額
高額介護サービス費は、世帯や個人の収入や所得ごとに、月々に負担する上限が異なります。それぞれの年収などと限度額を一覧表にしたものは次のとおりです。 高額介護サービス費の自己負担上限額には「住民税課税世帯」「住民税非課税世帯」「生活保護受給者」の3つの区分があり、その中で、住民税課税世帯と住民税非課税世帯についての詳しい説明は、以下のとおりです。【住民税課税世帯】
住民税課税世帯における課税所得による判定は、同一世帯内の65歳以上の方の課税所得が判定の基になります。もし、所得が高い子どもが同世帯でも、判定には影響しません。
【住民税非課税世帯の課税所得】
住民税非課税世帯における「世帯」とは、住民基本台帳上の世帯員がすべて市区町村税を課されていない世帯をいいます。介護を受けている親と住民税非課税者である子が同世帯であれば、住民税課税世帯になります。
高額介護サービス費の対象にならない介護保険サービス
しかし、なんでも高額介護サービス費の対象になるわけではありません。以下に、高額介護サービス費の対象にならない介護費用をまとめました。●高額介護サービス費の対象にならない介護費用
・バリアフリー住宅への改修費(手すり設置や段差解消などの住宅改修費)
・福祉用具(ポータブルトイレや入浴用品)の購入費
・老人ホームなどに入所したときの食費や居住費(滞在費)、差額ベッド代、日常生活費
・要介護度ごとの1カ月の利用限度額を超えて、全額自己負担した費用
介護が始まれば、介護保険サービス以外で、さまざまな介護費用がかかります。うっかり高額介護サービス費の対象になると勘違いしてお金を使いすぎてしまわないよう、対象外の費用を確認しておきましょう。
高額介護サービス費の申請方法
高額介護サービス費の申請は、お住まいの自治体の介護保険課が窓口です。介護サービス利用料の自己負担額が、高額介護サービス費の区分ごとの上限額を上回った場合、自治体より支給申請書が自動的に送られてきます。この申請を一度行っておけば、その後に該当した月があれば、口座に自動的に振り込まれます。