定年・退職のお金

公立学校の教師の定年退職手当、地方自治体で違う?【2023年】

全国に約3万6800校ある公立校の先生は、教育職の地方公務員です。退職金は、都道府県や市区町村から支給されます。定年退職者への退職手当の平均支給額と退職金支給額トップ5を、都道府県、政令指定都市、市区町村別にご紹介します。

<目次>

小学校・中学校の9割超が公立

日本には、国立・公立・私立の幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校、各種学校が約5万5300校(短期大学、大学、高等専門学校は除外/令和4年度)あります。

うち公立は約3万6800校(昨年度より約380校減少)で、小学校や中学校、義務教育学校、特別支援学校の96%程度、高等学校の72%、中等教育学校の61%を占めます。
小学校や中学校、義務教育学校、特別支援学校の96%は公立校。

え~、こんな形してるなんて……。先生、すごいね!

出所:文部科学省「令和4年度学校基礎調査(確定値)の公表について」に掲載の「令和4年度学校基礎調査結果のポイント」(令和4年12月21日公表)

中学校・高校の教師で定年退職するのは6割強

総務省の「令和3年度地方公務員の退職状況等調査」によると、令和3年度に教育職に就いている地方公務員の離職者数は4万4401人。

内訳は、定年退職2万7315人、早期退職1110人、勧奨退職2648人、普通退職(自己都合や諭旨免職による退職など)1万2765人、懲戒免職134人、その他(分限免職、失職、死亡退職)429人で、定年退職は62%に過ぎません。

出所:総務省「令和3年度地方公務員の退職状況等調査」

公立教師の60歳定年退職手当は平均いくら?

公立の教員は、地方公務員ですので退職手当は地方自治体、都道府県や市区町村から支給されます。平均支給額を、総務省の「令和4年給与・定員等の調査結果等」を基にご紹介します。

出所:総務省「令和4年給与・定員等の調査結果等」

都道府県:60歳定年退職者への退職金支給額トップ5
1位:兵庫県/2327.8万円
2位:静岡県/2305.8万円
3位:三重県/2291.4万円
4位:京都府/2290.9万円
5位:神奈川県/2282.4万円

47都道府県の教育公務員60歳定年退職者への平均支給額は約2230万円です。支給額のトップは昨年と同じ兵庫県で、金額もほぼ変わらず約2323万円です。最下位との差は約266万円、支給額が平均以上は25都道府県です。

●政令指定都市:60歳定年退職者の退職金支給額トップ5
1位:名古屋市/2325.4万円
2位:浜松市/2283.0万円
3位:岡山市/2272.0万円
4位:神戸市/2268.0万円
5位:静岡市/2266.1万円

政令指定都市の教育公務員60歳定年退職者の平均支給額は約2213万円で、最も低い都市でも約2100万円です。最高額と最低額の差は約229万円、平均支給額より多く支給しているのは9団体です。

●市区町村:60歳定年退職者への平均支給額トップ5
1位:兵庫県尼崎市/2411.8万円
2位:兵庫県姫路市/2282.6万円
3位:奈良県大和郡山市/2274.2万円
4位:奈良県生駒市/2269.5万円
5位:埼玉県川越市/2267.3万円

市区町村1721団体のうち教育公務員の60歳定年退職者の退職手当平均支給額のデータがあるのはわずか20団体です。そのデータによると、平均支給額は約2156万円で、11団体が平均額より多く支給しています。最高額と最低額の差は約451万円です。

公立教師の定年退職金は平均約2200万円。中小企業の約2倍

民間企業の退職金平均給付額はどのくらいなのでしょうか。日本経済団体連合会の「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」では、管理・事務・技術労働者(総合職)の大学卒は約2243万円、高卒約1953万円です。また、給与所得者の70%を占める中小企業従業員のモデル定年退職金は、大学卒が約1092万円、高校卒は約994万円です(東京都産業労働局「令和4年 中小企業の賃金・退職金事情」)。

公立教師の定年退職手当額の平均約2200万円は、大企業の総合職の大卒とほぼ同額、中小企業の大学卒の約2倍相当額です。

しかし公立小中高校教師の平均残業時間は1カ月あたり123時間と、過労死ラインの80時間をはるかに超えています(2022年連合総合生活開発研究所の調査)。そんなブラックともいえる職場で働く教師への定年退職手当約2200万円は、妥当なのか、それとも……? 皆さんは、どう思われましたか?

出所:
日本経済団体連合会「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」
東京都産業労働局「令和4年 中小企業の賃金・退職金事情」
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