50代の76%は働き(続け)たい! 働く必要がある!
厚生労働省は、公的年金の65歳受給開始や労働人口減少などの対策のために「高年齢者雇用安定法」の改正を繰り返し、企業に65歳までの雇用確保を義務付け、70歳までの就業確保も努力義務としました。これにより、雇用者は希望すれば65歳までは働き続けることができ、働き方によっては70歳まで働くことも可能です。では、お尋ねします。あなたは60歳定年後も働く意欲がありますか? Indeed Japan株式会社が2022年9月に行った『「シニア世代の就業」に関する意識調査」』(対象:50歳~79歳各世代の男女各300名、計1800名)によると、シニア期(60代・70代以降)に「働く必要がある・働き続けたい」は58%(50代は76%)と半数を超えており、その93%が「健康状態が維持できるか」「働くための気力を維持できるか」「肉体労働に耐えられるか」などの不安や課題を抱えています。 彼らがシニア期の働き方の検討や行動を起こした時期は、50代前半が24%、50代後半31%、60代前半23%でした。
同調査では、定年後も就労している人からの、シニア期の働き方を考える人に向けたアドバイス5つも紹介されています。(順位は比率順)
1位:自分のスキル・能力を整理しておいたほうがいい
2位:60歳以降のお金の問題について詳しく知っておいたほうがいい
3位:早いうちから考え始めたほうがいい
4位:働き方/働くスタイルについて、考えておいたほうがいい
5位:パソコンがうまく使えるようになっておいたほうがいい
出所:Indeed アンケート調査「シニア世代の就業」に関する意識調査
一般に「スキル・能力」というと、語学力や技術力などの特定の専門知識や技術などのハードスキルを考えますが、コミュニケーション力やリーダーシップ、折衝力など見える化できないソフトスキルも重要です。
もし60歳定年後も働きたいと思っているなら、まずはご自身のハードとソフト両方のスキルを棚卸ししてみましょう。そしてこの棚卸しで明確になった不十分なスキルに対して、アップスキリングやリスキリングを行い、自分の市場価値を高めていきましょう。
次に、国が強く後押しするリスキリングについて、その効果や何を学ぶといいのかなどの考え方についてご紹介します。
*アップスキリングとは、「現在の仕事・職務のスキルを高めること」
*リスキリングとは、「新しい仕事や職種に適応するために必要な新たなスキルや技術を習得すること」
リスキリングの前にスキルの棚卸しをしよう
Adecco Group Japanが2022年11月に20代~50代の会社員1600人に対して行ったアンケート調査「リスキリングに関する調査」によると、5割弱(785人)がリスキリングに取り組んだことがあり、その8割以上(652人)が「リスキリングに取り組んだことで、仕事やキャリアに良い影響があった」と答えています。良い影響のトップ3は、「仕事の幅が広がった」「仕事のモチベーションが上がった」「収入が増えた」です。「転職できた」「副業・兼業できた」「起業できた」もあります。 リスキリングの経験の有無を問わず「今後働いていくうえでリスキリングは必要か?」の問いに対しては、約9割(1418人)が「必要」と考え、最も必要なリスキリングは「いまの仕事と関連しているが、まだ持っていないスキル・能力の獲得」(70.6%)と回答しています。 出所:Adecco Group Japan「リスキリングに関する調査」(対象:リスキリングがどのようなものかを理解している会社員1600人(20代から50代の各世代男女200人ずつ))
何をリスキリングすべきかを効率的に見つけ出す手順は、以下のとおりです。
(1)自分のスキルを棚卸し
(2)これから従事したい仕事に就くために必要だが不足しているスキルを洗い出す
これでリスキリングの迷子になることはないでしょう。なお、リスキリングの前にアップスキリングを実行すると、今後の仕事の方向性が変わるかもしれません。アップスキリングは、できるだけ速やかに着手することをお勧めします。
「時間がない」という言い訳はNG
同調査では、リスキリングの必要性を感じながらも「時間的な余裕がない」の理由で取り組んでいない人が5割を超えています。定年後も働き続けるためには、アップスキリングやリスキリングに励み、自分の可能性を広げていくことが不可欠です。「時間がない」という言い訳は封印し、スキマ時間を活用して、自分磨きをコツコツと続けましょう。その際には、国や企業の支援策や民間のオンライン講座(無料もあり)などをフルに利用して、経済的な負担を軽減しましょう。