マネジメント

大赤字「楽天モバイル」の行方と、三木谷社長がとるべき野心と現実のバランス(3ページ目)

楽天が2022年12月期決算を発表し、最終損益で過去最大となる3728億円の赤字を計上しました。インターネット関連事業や金融事業は好調を続けていながら、モバイル事業が4928億円の赤字となり大きく足を引っ張っています。平成生まれのビッグカンパニーの行く末は今後どうなるのでしょうか。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

楽天が大赤字の「モバイル事業」に固執するワケ

では楽天がなぜ、これほどまでに前途多難でグループの足を引っ張る事業に手を出し、それに固執し続けているのでしょうか。
楽天モバイル

楽天モバイル

そもそも楽天が第4のキャリアとしてモバイル事業に名乗りを上げたのは、この事業で大きな利益を得ようと思ってのことではありません。

ECビジネスからスタートした楽天は、新規事業の立ち上げや企業買収によってそのビジネス領域を広げていきました。そしてポイントサービスやキャッシュレス決済をキーに利用者を楽天ビジネスに囲い込む、いわゆる「楽天経済圏」を完成させるための欠かせざる重要ピースとしてモバイル事業への進出を切望したのです。

ですから、とりあえずはモバイル事業単体で黒字化さえしてくれれば、あとはポイント付与などを誘引材料としてECビジネス、金融ビジネス、モバイルビジネスなどの間を回遊させ、グループとして大きな収益を生むことにつなげられるという目論見があるのです。

しかしここまでのところモバイル事業は先に挙げた三重苦に悩まされ、その黒字化は遥か彼方にあり、グループの足を引っ張るばかりという想定外の展開に苦しんでいるわけなのです。

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