大学別、学生の特徴と就活時のそれぞれの強みとは?
実際にその大学の学生たちが本当にそれらを持ち合わせているのかを証明したものではないが、大学のイメージは当然その学生の就職活動時の印象や評価にも影響する。
では世間や人事担当者は各大学に対してどのようなイメージを持ち、それらは就職活動でどのように影響するのだろうか? 長年、大学生や企業側の就職活動を支援してきた筆者が解説する。
真面目で優秀、でも謙虚で控えめな「地方国公立大生」
「真面目で優秀」と評価されるのが国公立大の学生だろう。大学受験時には最大で9科目を網羅して勉強する必要があり、大学入学共通テスト(旧センター試験)でも高得点を取る必要があるので、高校時代から地道に勉学に励んできた人たちが多い。実際にその地道さと地頭の優秀さは本物で、就職活動時に受けるSPIなどの能力検査では高得点を取る傾向にあり、長期にわたって試験対策が必要な公務員試験にも合格している割合が多い。実際に社会に出ても与えられた仕事を正確に迅速に進めていく能力は高い印象を持たれている。
性格面では「謙虚で控えめ」という印象がある。地方国公立大になるとそれは顕著になり、娯楽の機会が多い都心の大学生たちと比べると「地味」であると自負している学生たちも多いだろう。やはり地方でのんびりと4年間を過ごすので、若干引きこもり気味な生活になりやすい傾向がある。
そんな地方国公立大の学生たちが就職活動で東京や大阪などの大都会に出ると、普段から遊び慣れている都会の私大生たちに最初は圧倒されるケースがある。ただ、グループディスカッションなどでは口数は少ないが、一度発言すれば的確な問題提起などもするので、まさに「地味に」人事担当者の評価を掴み取る。
あまり自分から表に出すことはないが、基礎学力に裏打ちされた高い能力を持ち合わせているというのが国公立大生に対して持つ世間のイメージではないだろうか。
表面的には自信満々? 「早慶」を代表するトップ私大生
就職活動では地味目な地方国公立大生たちに比べると、イケイケな印象を持たれるのが都内の私大生。特に早稲田大学と慶應義塾大学は学生数も多く、「自分たちは私大の中ではトップである」という自負もあるのでインターンシップや会社説明会では堂々としている印象がある。グループワークなどをしてもリーダーとしてチームを引っ張る役割を担うことが多い。目立つだけでなく賢さもあるので人事担当者からも評価を得やすい。またサークル活動などで他大生との関わりにも慣れていることもあり、横のつながりを作り活発に情報交換していくので、OBOG訪問や社会人が参加する飲み会などにも積極的に参加している学生が多い。
そんなトップ私大生たちの自信のベースには、能力だけでなく「育ちの良さ」も関連している。私大生の中には比較的裕福な家庭で育った学生たちも多く、慶應義塾幼稚舎出身者のように恵まれた環境の中で英才教育を受けてきたバックグラウンドは大きい。
ただそんな自信満々に見えるトップ私大生たちの中にも、大学受験では東大や京大などの国立大には惜しくも届かず、渋々私大を選んだ学生たちもいるので、トップ私大としての社会的な評価とは関係なく、優秀な学生ほど独自のコンプレックスを抱えている人もいる(国立大生の前では大人しいことも)。
また最近ではAO入試も盛んに行われており、中には学力不足のままトップ私大に入る学生もいるので、たとえ大学名がトップの私大であっても入試形態(一般、推薦、AO)や出身高校を確認するなどして、その学生の学力面も入念にチェックする企業の人事担当者もいる。
世間の大学イメージや評価に甘えない、屈しない
今回紹介した地方国公立大生や早慶を代表するトップ私大生は、世間から一定の高い評価を得ていたりプラスの大学イメージを持たれていたりする。しかしその大学イメージや評価には甘えず、逆に屈することなく大学生活や就職活動に向き合ってほしい。地方国公立大生の場合は、確かに東京などの都会と比べると情報を得られる機会は少ないのが現実だ。しかしオンラインが当たり前となった今、会社説明会や社会人向けのセミナーなども家のパソコンから容易に参加できるようになった。ぜひ住んでいる地域に限らずさまざまな機会に積極的に飛び込んで多くの人と関わり、その高いポテンシャルを眠らせることなく生かすチャンスを得てほしいと思う。
トップ私大生は、もしその大学イメージが自分自身のセルフイメージやありたい姿とギャップがある場合、ぜひそのイメージを覆す経験や行動をとってみてほしい。
例えばおしゃれでプライドが高いイメージのある大学の学生であれば、あえて世間的に泥臭く、地味な印象を持たれるアルバイトにチャレンジしてみるのもいい。「飛び込み営業」や「チラシ配り」など一般の大学生では敬遠しがちなしんどそうな仕事にもあえて挑戦したエピソードを話せれば「君、◯◯大生っぽくないね」と人事担当者の学生イメージが変わるきっかけになり、プラスの評価につながる可能性がある。
大学イメージや世間の評価があることは事実なので仕方ないが、それを自身の経験や行動で変えていくことは十分に可能であることを覚えておいてほしい。
<参考>
※:企業の人事担当者から見た大学イメージ調査『就職力ランキング』(日経HR)