中学受験

親の熱量が高いほど陥りやすい!?「中学受験ロス」を克服するために必要な気持ちの切り替え方法

多くの時間と労力を中学受験に捧げてきた親のなかには、受験終了後に「中学受験ロス」に陥っている方もいるようです。そこから抜け出すためには、どうすればよいでしょうか。

宮本 毅

執筆者:宮本 毅

学習・受験ガイド

受験終了後の喪失感…「中学受験ロス」を克服するためには?

中学受験ロスに陥っている親は多い

受験終了後の喪失感「中学受験ロス」

可愛がっていた猫が死んでしまったとき、長年携わっていたプロジェクトが終了したときなど、筆者もこれまでに数多くの「ロス」を体験してきました。対象に入れ込めば入れ込むほど、その反動でロスは大きくなります。中学受験とて、決して例外ではありません。

お子さんが中学受験をする保護者の方は、お弁当を作ったり送り迎えをしたり宿題管理をおこなったりして、多くの時間と労力を中学受験に捧げます。時には子どもと激しいバトルをし、時には成績に喜んだり絶望したりと、その感情さえもわが子と共有してきたわけですから、ロスになるのも当然のことでしょう。

現在ネット上にもさまざまな「中学受験ロス」に陥った方の声があふれていますが、今回はこれついて2つのパートに分けてお話ししていきたいと思います。 まず前半では、現在進行形で中学受験ロスに突入してしまっている保護者の方に向けて、次に後半では、これから中学受験を始められる方に、受験終了後にロスに悩まされないようにするための心構えをお伝えします。
 

恋愛と同じ。思い出の品は手放して“未練”を残さないこと

現在進行形で中学受験ロスに悩まされている保護者の方に、まず知っていただきたいことは、受験を終えた直後から、子どもたちの多くは新しい生活に目を向けてスタートを切っているという事実です。

あんなに苦しみ頑張った受験勉強の日々のことなどケロッと忘れたかのように、子どもは塾の「中学準備講座」などに出席したり友だちと遊びに行ったりしていますよね。受験結果に関わらず、子どもはすでに新たに歩み始めているのだということをまずご理解ください。

その上で、保護者の方がロスから抜け出すためには、何をどうしたらよいのでしょうか。

まず1つ目は、中学受験で使っていた問題集や参考書、ノートなどはすべて捨てるということ。SNS上では「#テキストタワー」というハッシュタグとともに、数年間の塾のテキストやプリントを高く積み上げて、受験終了をしみじみと振り返る投稿が見られます。なかには1年経っても捨てられないという方も……。しかし、こういった思い出の品をいつまでも持っていたら“未練”が残ってしまいます。恋愛と同じです。これらの品がいつまでも手元にあったら、ロスからなかなか抜け出せないでしょう。

弟や妹のために取っておきたいという人もいるでしょうが、数年後には入試傾向も変化しているでしょうし、テキスト類だって上の子のお古よりも新しい方がやる気だって出るはずです。過去問以外のものは思い切って捨ててしまいましょう。必要な問題集などをそのときにまた新しく買えばいいのです。
 
2つ目は、保護者の方も何か新しいことを始めるということ。復職でもジム通いでも何でもいいので、無理やりにでも何か始めてみてください。子どもの方が中学受験からの切り替えが早いのは、真剣みが足りなかったとか一生懸命やっていなかったからではありません。新しいことは何かと心浮き立つものです。そのわくわく感やトキメキがあるから、多少落ち込んでいたとしてもすぐに前向きになれるのです。

しかし、わが子の受験が終わっても、新しい何かが始まるわけではない大人はそうはいきません。気持ちを切り替えろといっても難しいものがありますよね。ですから、無理やりにでも新しいことを始めてしまうのです。おすすめはスポーツでストレス発散や気分転換をすること。初心者クラスから始めて、初級→初中級→中級とレベルアップしていくタイプのスポーツだと、モチベーションを維持しやすいでしょう。新しい道具を買いそろえたりするのも、自然とうきうきしてくるものです。まずは気軽に「無料体験」に申し込んでみてください。
 

中学受験の「ワンオペ」は要注意! 将来の“自立”の妨げにも

続いて、将来、中学受験ロスにならないための心構えをお伝えしたいと思います。

まず1つ目は、お子さんの受験を「ワンオペ」にしないということです。中学受験が保護者のワンオペになると、どうしてものめり込んでしまい、受験終了後に「燃え尽き症候群」になってしまう危険性が高まるからです。

旦那さんまたは奥さん、上のお子さん、ご自身の親などと、中学受験のことを何かしら分担してください。お子さん本人と分担しても構いません。むしろその方が子どもの“自立”にも役立ってよいでしょう。

ぶっちゃけ、中学受験はその子がどれだけ“精神的に自立”できているかで決まってきます。よく「中学受験は親の受験」などといわれますが、二人三脚で頑張って実力以上の学校に入っても、そこから自立してやっていけない子は行き詰まってしまうこともあるのです。

「合格したのはいいけれど、全く勉強しないので困ります」という悩みを吐露する私立中高生の保護者の方のなかには、中学受験のときに勉強を全てお膳立てしていたということが少なくありません。子どもに自立的に勉強をさせたことがなければ、そりゃあ自分で勉強するようになるはずがありません。でも、保護者がのめり込みすぎなければ、子どもは自分でやろうとします。つまり手をかけすぎない方が、将来的に上手くいくことが多いのです。
 
2つ目は、子どもは子ども、自分は自分と割り切ること。中学受験ロスになりやすい人の特徴として、子どもと「共依存」の関係に陥っている点が挙げられます。共依存とは、自分と特定の相手(この場合は子ども)が過剰に依存し合っている状態で、心理学的には男性よりも女性の方が陥りやすいといわれています。
 
共依存に陥ると、子どもの成績の上下に必要以上に一喜一憂し、精神的にもどんどん疲弊していきます。心身の疲労が蓄積した状態というのは、身体ばかりでなく心の免疫力も低下させてしまうため、そのまま受験本番に突入するといいことはありません。そして受験終了後もロスになり苦しむことになるわけです。
 
3つ目は、あらかじめ保護者も受験とは別に、のめり込める趣味などをもっておくこと。1月、2月の受験本番で一時的にそこから離れたとしても、終わればまた戻っていけるわけです。終わればそれを再開できる、という楽しみにもできますよね。子どもだって「受験が終わったら思いっきりゲームするんだ」「友だちと遊ぶんだ」と思ってそれを楽しみに頑張っているわけですから、親だってそうすればいいんです。
 

親の抱え込みすぎはよくない

いずれにせよ、子どもの中学受験ごときに、そんなに前のめりにならないことが大切です。

中学受験の結果なんかで子どもの人生は何にも決まりません。御三家出身の子の中には、官公庁に入省して偉くなった人もいれば、中退したけれど専門学校に行って今はデザイナーとして一旗あげている人などもいたりして、その後の人生に何の関係もありません。たとえ不合格になったところで、大きなマイナスになるなんてこともないのです。

親が子どもの将来を心配して、抱え込みすぎるのはよくありません。「親はなくとも子は育つ」 ――おおらかに捉えている方が、人生上手くいくものだと筆者は考えます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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