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おひとりさまが親と世帯分離をすると、親の「介護費用」がお得になる?どうやったらできるの?

おひとりさまが一人で親の介護をするとき「親の介護費用を安くしたい」と思うことがあるかもしれません。そんなとき知っておきたいのが「世帯分離」。今回は、世帯分離について詳しく説明します。

舟本 美子

執筆者:舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド

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<目次>
おひとりさまが一人で親の介護をするとき「親の介護費用を安くしたい」と思うことがあるかもしれません。そんなとき知っておきたいのが「世帯分離」で、手続きそのものはとても簡単です。どんな場合でも介護費用が安くなるわけではないですが、手続きしておいた方がよいこともあります。

今回は、世帯分離の制度と具体例を紹介しながら、世帯分離で得する人を紹介します。

世帯分離とはどんな制度か? どんな手続きが必要になるのか?

世帯分離とは、同じ場所に住んでいる家族の住民票を分ける手続きのことです。

一般的には、世帯分離は、親子二世帯で同居していて親世帯と子世帯それぞれで家計を管理したい場合に行われたり、離婚していったん実家に戻ってきたけれど将来、転居する予定なのであらかじめ世帯を分けておきたいときなどに行われたりします。

世帯分離をするときの手続きは、住民票の届出をしてある役所の担当窓口で行います。その際「世帯変更届」を、世帯分離を行いたい本人または世帯主などが提出します。

親と子が同じ世帯で、子が世帯主になっている場合、「本人=親」「世帯主=子」になります。先述の世帯変更届以外にも、以下のものが必要になります。

●世帯分離の手続きに必要なもの
・届出する人の本人確認できるもの(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートや健康保険証など)
・印鑑

役所によっては、別途必要なものもあるかもしれませんので、事前に確認をお願いします。

次は、この世帯分離を利用して、どのくらい負担が軽減するのか具体例とあわせてみてみましょう。

世帯分離で「高額介護サービス費」の自己負担上限を減らす

親が介護の認定を受けると、介護サービスを1~3割の自己負担で利用することになります。しかし、介護は継続的に続くため、たとえ負担が1割だったとしても家計にとっては大きな負担です。

そのため、「高額介護サービス費制度」では、自己負担の上限を設け、超えた分については、市区町村の窓口に申請すれば払い戻してもらうことができます。介護サービスの利用者が負担する上限額は、世帯年収に応じて表のとおり異なります。
【高額介護サービス費による月額の限度額】2021年(令和3年)8月利用分から/出典:厚生労働省

【高額介護サービス費による月額の限度額】2021年(令和3年)8月利用分から/出典:厚生労働省

高額介護サービス費の自己負担上限額には「住民税課税世帯」「住民税非課税世帯」「生活保護受給者」の3つの区分があります。ここでは、住民税課税世帯と住民税非課税世帯の課税所得について説明します。

【住民税課税世帯の課税所得】
親と住民税課税者である子が同世帯であれば、住民税課税世帯になります。

ただし、住民税課税世帯の中にある3つの所得区分は「介護保険サービスを受ける方の課税所得」が判定の対象になります。同世帯の子どもは「介護保険サービスを受ける方」には該当しないため、所得が高くても判定には影響しません。

【住民税非課税世帯の課税所得】
住民税非課税世帯に該当するかの判断は、住民基本台帳上の世帯員がすべて市区町村税を課されていない世帯が該当します。親と住民税非課税者である子が同世帯であれば、住民税課税世帯になります。
 
親と子が同世帯であれば、住民税課税世帯に該当するのが一般的であり、自己負担上限は4万4400円となります。しかし、世帯分離をして「親=住民税非課税世帯」「子=住民税課税世帯」となれば、自己負担上限が減る可能性があります。

次は、親がどのくらいの課税所得であれば、世帯分離を検討するとよいか見ていきましょう。
 
《介護を受けている親が65歳以上の単身で受け取る年金が150万円の場合》
・150万円(年金収入)-110万円(公的年金控除)=40万円(課税所得額)<80万円

課所得額40万円は、上記表の『住民税非課税世帯の「合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方」』に該当します。

高額介護サービス費の1か月あたりの自己負担上限額は「1万5000円」(個人)になります。

親と子の世帯を分けることで、親の年金の課税所得で所得区分をみるため、1カ月あたり「4万4400円-1万5000円=2万9400円」を軽減できます。
 
《介護を受けている親がともに65歳以上で受け取る年金が夫の収入が211万円以下、妻の収入が老齢基礎年金のみ78万円の所得額》
・夫の所得額
211万円(年金収入)−110万円(公的年金控除)-(35万円×2人+31万円)=0<80万円
・妻の所得額
78万円(年金収入)-110万円(公的年金控除)=▲32万円<80万円

この場合、夫婦の課税所得は『住民税非課税世帯の「合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方」』に該当します。高額介護サービス費の1か月あたりの自己負担上限額は「2万4600円」(世帯合算)になります。

親と子が世帯を分ければ、1か月あたり「4万4400円-2万4600円=1万9800円」が軽減できます。

なお、「介護保険サービスを受ける方が2人以上いる場合」の所得区分を判定するときは、どちらか課税所得の高い方が基準になります。

例えば、70歳の父の課税所得が200万円、66歳の母の課税所得が40万円であれば、判定基準となるのは、課税所得が高い父の「200万円」です。

上記表で該当するのは、住民税課税世帯の「住民税課税~課税所得380万円」です。この場合、子どもと親は同世帯のままと変わらずという結果になります。
 
世帯分離をして「親=住民税非課税世帯」となる可能性が高いのは、親が支払っている住民税が、所得に関係なく一律負担の「均等割」のみのときです。この場合、目安となる親の課税所得は80万円以下になる可能性があるためです。
 
世帯分離で、1か月あたりの自己負担額が約2~3万円減らすことができれば、もし、介護が長期化しても、心の負担は楽になるでしょう。
 

まとめ

世帯分離をして得になるかどうかは、世帯全体の状況、扶養関係を整理して、その他社会保障制度との兼ね合いを考える必要があります。詳しくは、お住まいの市区町村窓口にご相談ください。

世帯分離の手続き後に、状況が変化して、元の状態に戻したくなることがあるかもしれません。その場合は、世帯合併手続きをすれば、元の状態に戻ります。
 
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