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老後に備えて、家をバリアフリーリフォームしたときの減税制度・補助金

家の中を老後に適した住まいに改修したいと思っている人もいるのではないでしょうか。そこで、家をバリアフリーリフォーム(高齢者等居住改修工事等)したいときに、活用したい減税制度や補助金を紹介します。

舟本 美子

執筆者:舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド

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<目次>
老後に向けた家の改修は、バリアフリーリフォーム(高齢者等居住改修工事等)といいます。老後に向け、バリアフリーリフォームを検討する方も多いと思います。トイレや廊下などを老後に適した住まいに改修する場合、ローン等の利用がなくても適用されるバリアフリーリフォーム減税(所得税・固定資産税)制度・補助金を知っておくと便利です。今回は、お得な3つの制度を紹介します。
バリアフリーリフォームには、減税制度や補助金を有効活用しよう

バリアフリーリフォームには、減税制度や補助金を有効活用しよう

減税対象となるバリアフリーリフォームを紹介

バリアフリーリフォームを行うことで、所得税や固定資産税が減税になる場合があります。まずは、バリアフリーリフォームとは、どんな改修をすることをいうのか、以下の具体例で確認しましょう。

【減税になるリフォーム工事の具体例】
・廊下・出入り口の拡張する
・階段の勾配の緩和する
・浴室を改良する
・トイレを改良する
・手すりを取り付ける
・床の段差を解消する
・床を滑りにくくする

ポイントは、高齢者等が生活しやすく、家族も介助しやすく工夫されていることです。

今回紹介するのは、バリアフリーリフォームをするにあたり、所得税・固定資産税が減税される制度、補助金が出る制度の3つです。

1:最高20万円減税される「バリアフリーリフォームに係る所得税の特別控除」

まずは、所得税の減税制度について解説します。

「バリアフリー改修に係る所得税の特別控除」は、2022年(令和4年)1月1日から2023年(令和5年)12月31日までにバリアフリー改修工事を行った場合に利用できます。また、所得税から控除できるのは「控除対象限度額200万円×10%」までです。実際にバリアフリー改修工事を行った年分のみ減税になります。必要な要件は、次のとおりです。

【バリアフリー改修に係る所得税の特別控除の適用を受けるための主な要件】
・適用を受ける方が所有しており、主に居住している家屋
・工事完了後、6カ月以内に住む
・床面積が50平方メートル以上ある
・50歳以上の方
・介護保険の要介護または要支援者の認定を受けている、または障がい者である
・上記の方、または65歳以上の方のいずれかと同居している
・合計所得金額が3000万円以下である


手続きは確定申告で行い、次の添付書類が必要です。

【必要書類】
・改修工事後の冬季時効証明書(床面積が確認できる書類)
・増改築等工事証明書(工事担当者に発行を依頼してください)
・介護保険の被保険者証の写し(該当する場合のみ)

なお、住宅ローン減税制度とは併用不可ですが有利な方を選択することができます。他の改修工事(耐震改修工事・省エネ改修工事など)に係る所得税額の特別控除とは併用できます。

参考:
長寿命住宅(200年住宅)税制の創設(登録免許税・不動産取得税・固定資産税)
No.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)|国税庁

2:固定資産税の3分の1が減額される「バリアフリー改修工事による減税」

次は、固定資産税の減税制度について解説します。

新築後10年以上を経過した自宅をバリアフリーリフォームすれば、翌年度分に支払うはずの固定資産税のうち、3分の1が減額されます。適用期限は2024年(令和6年)3月31日までです。固定資産の減税を受けるための主な要件は次のとおりです。

【バリアフリー改修に係る固定資産税の減額の適用を受けるための主な要件】
・新築した日から10年以上を経過している家屋
・バリアフリー改修後の床面積が50平方メートル以上、280平方メートル以下
・介護保険の要介護または要支援者の認定を受けている、または障がい者である
・上記の方、または65歳以上の方のいずれかと同居している
・店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
(ただし、賃貸住宅部分は控除対象外)
・補助金を除く自己負担が税込50万円を超えている
・バリアフリー改修工事を2024年(令和6年)3月31日までに工事を完了すること

固定資産の減税を受けるためには、工事完了日から3カ月以内に、以下の必要書類をそろえ、バリアフリー改修工事を行った家が所在する市区町村の窓口に提出します。

【必要書類】
・固定資産税減額申告書
・適用対象者の証明書(介護保険の被保険者の写し等)
・補助金等の額が明らかな書類
・バリアフリー改修工事の内容が確認できる書類

参考:長寿命住宅(200年住宅)税制の創設(登録免許税・不動産取得税・固定資産税)

なお、上述の「バリアフリーリフォームに係る所得税の特別控除」と併用ができます。

3:最大18万円の補助される「介護保険からの住宅改修支援制度」

最後に、バリアフリーリフォームに活用できる補助金について解説します。

「要介護」「要支援」の認定を受けている要介護者にとって生活しやすいようバリアフリーにリフォームする場合、介護保険から補助金が支給されます。補助対象の上限額は20万円、補助される割合は7~9割で最大18万円です。

もし、改修費用が20万円だった場合、9割の補助対象であれば、最大18万円の補助金がもらえます。残りの1割(2万円)は自己負担になります。なお、基準額の上限を超えた工事分は、全額自己負担になります。

補助金の申請には、まず改修する工事内容をケアマネジャー等に相談します。手続きは、工事着工前・工事完了後の2回必要です。それぞれ以下の必要書類をそろえて、お住いの市区町村窓口に提出します。

【工事着工前】
・支給申請書
・住宅改修が必要な理由書
・工事費見積書
・住宅改修後の完成予定図、または簡単な図など

【工事完了後】
・住宅改修に要した費用に係る領収書
・工事費内訳書
・住宅改修の完成後の写真、場所ごとに改修前・後を撮影(日付けも必要)
・住宅の所有者の承諾書(補助金の申請者ではない場合)

参考:厚生労働省「介護保険における住宅改修」

まとめ

バリアフリーリフォームは、高齢者の住みやすさ、介助者の負担軽減につながります。しかし、リフォームには大きな費用がかかる場合もありますので、減税制度や補助金などを有効活用しましょう。
 
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