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大阪湾に迷い込んだクジラ「淀ちゃん」は、 なぜ迷子になってしまったのか?救出することはできた?(2ページ目)

大阪の淀川河口付近に迷い込んでいるところを発見されたマッコウクジラ、通称「淀ちゃん(よどちゃん)」。残念ながら息を引き取りましたが、そもそもなぜクジラは迷子になってしまうのか、どうしたら救うことができるのか、海洋環境問題の専門家が解説します。

鴫谷 隆

執筆者:鴫谷 隆

海洋環境問題・スキューバダイビングガイド

どうすれば迷子になったクジラを救うことができるのか

「クジラが迷子になっている」と聞くと、なんとか助けることができないかと思うのですが、なかなか難しいと言わざるを得ません。何らかの理由で浅瀬に来てしまったクジラは、エサを取ることができずに、だんだんと衰弱していってしまうことが多いのです。深いほうへと連れていきたいところですが、人がロープなどを使ってクジラをえい航しようとすると、クジラをより傷つけたり、場合によっては人の安全も心配されます。

また、運良く連れ出せたとしても、そもそもの原因によっては、再びクジラが浅瀬に戻ってしまうことも。残念ですが、これも自然の摂理のひとつとして見守ることが最善の方法だと思います。
 

海の生き物たちが安全に暮らせる環境を

淀ちゃんの死亡が確認された2日後の1月15日、今度は羽田空港近くの東京湾でトドと思わしき生き物が発見されました。秋から初夏にかけてロシアから北海道周辺にやってくるトドですが、その群れからはぐれてしまったのではないかと考えられています。

このように、クジラだけでなく、さまざまな海の生き物が迷子になったり漂着したりすることがあり、ニュースになると「なんとかできないか」と心配になりますが、私たちがすべきなのは、「彼らが暮らしやすい海の環境を守っていくこと」ではないでしょうか。

海の生き物の迷子・漂着には、ソナーや、海洋プラスチックごみによるダメージなど、人間の行動が原因と考えられているものもあります。そうした原因を減らしていき、美しい海の環境が守られるよう、自分たちができることを考えていきたいですね。
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