会社員としてフルタイムで働く人は、仕事と介護を両方こなすのは、肉体的にも精神的にも大きな負担となります。そんなとき、介護休暇や介護休業といった制度を活用してみましょう。
今回は、それぞれの制度の違いについて詳しく解説します。
介護休暇とは
介護休暇とは、要介護状態(ケガ、病気、身体や精神の障害により、2週間以上にわたり常に介護を必要とする)にある対象家族をもつ労働者が、対象家族の介護や世話をするために取得する休暇のことをいいます。介護休暇は、対象家族が1人の場合、年5日まで、対象家族が2人以上のときは、年10日まで取得することができます。介護休暇は、1日ずつ取得することができますが、時間単位での取得も可能です。たとえば、要介護状態にある家族の通院の付添い、介護サービスの手続き代行、ケアマネージャーと短時間だけ打合せをするなど、介護にまつわる用事があるときに取得すると使い勝手が良さそうです。
親の介護度が低い場合は、まずは介護休暇を取得し、様子を見ましょう。
介護休暇は、労働基準法の年次有給休暇とは別扱いの休暇になります。有給休暇のように報酬が支払われるかどうかは、会社ごとに決まっており、就業規則などで確認するようにしましょう。
●介護休暇を取得できる労働者
介護休暇の対象となる家族が要介護者であれば、すべての労働者が取得できます。ただし、労働者のうち日雇い雇用は除きます。
●介護休暇の対象となる家族
配偶者(事実婚を含む)、父母、子、孫、祖父母、兄弟姉妹、配偶者(事実婚を含む)の父母です。
【対象家族の図】 ●介護休暇の手続き方法とは
介護休暇の取得方法は、会社の総務部などに対して、書面の提出が必要なわけではなく、口頭での申し出も可能です。
書面で申請する際は、社内の様式があればそれを使用します。特に決まったものがなければ、厚生労働省HPにある、リンクからダウンロードできます。
介護休業とは
介護休業も介護休暇と同じく、家族に要介護状態(ケガ、病気、身体や精神の障害により、2週間以上にわたり常に介護を必要とする)がいる場合、労働者が、対象家族の介護や世話をするために取得する休暇のことです。介護休暇との違いは、介護休業は2週間以上と長期にわたり、を介護するためにお休みを取得することができることです。介護休業は、対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。たとえば、親の要介護レベルが上がり、日常生活のほぼすべてに付添いが必要な状態になれば、子どもによるつきっきりの介護が必要になる場合もあります。その場合は、介護休業を活用してみましょう。
●介護休業を取得できる労働者
介護休暇の対象となる家族が要介護者であれば、すべての労働者が取得できます。ただし、労働者のうち日雇い雇用は除きます。
なお、パートやアルバイトなど、期間を定めて雇用されている場合は、申し出時点で、93日間の介護休業を取得し、6カ月間の経過以降、引き続き雇用される必要があります。
【パート・アルバイトで契約期間が決まっている場合の雇用要件】 ●介護休業の対象となる家族
介護休暇の対象となる家族と同じです。
●介護休業の手続き方法とは
介護休業を利用するときは、休業開始予定日の2週間前までに、事業主に書面にて申請します。
その際の書面は、社内の様式があればそれを使用します。特に決まったものがなければ、厚生労働省HPにあるリンクよりダウンロードできます。
●介護休業中の経済的な支援
介護休業を取得したとき、雇用保険の被保険者で、一定の要件を満たす方は、介護休業期間中に休業開始時賃金月額の67%の介護休業給付金が支給されます。
一定の要件というのは、次のとおりです。
- 介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12カ月以上あること。
- パート、アルバイト、契約社員などで、雇用期間が決まっている場合、93日間の介護休業を取得した後、6カ月間を経過した後も引き続き雇用が継続することが明らかなこと。
介護休業給付の申請手続きは、原則として、事業主を経由して行うことになります。担当者の指示にしたがい必要な書類を揃え、準備しましょう。
参考:「Q&A~介護休業給付~」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html