『そして僕は途方に暮れる』に出演、藤ヶ谷太輔さんにインタビュー
映画『そして僕は途方に暮れる』は2018年に東京・シアターコクーンで上演された舞台の映画化作品。監督は舞台と同じ三浦大輔さん。主演の藤ヶ谷太輔さんも舞台で演じた菅原裕一役を再び演じています。裕一は自堕落なフリーター。同棲している恋人と些細なことで衝突して家を飛び出し、知り合いの家を転々とします。しかし、お世話になりながらも自分の生活を変えようとしない彼。バツが悪くなるとその場から消え続けて、ついに行く場所がなくなり、母が1人で暮らす実家に帰るのですが……という物語。
何の責任も取らず、逃げまくる裕一という男の根源にあるものは何なのか? それが知りたくて、裕一の物語を追わずにはいられなくなる作品です。
そんな裕一を演じる藤ヶ谷太輔さんに、出演依頼があった時の気持ちや撮影の裏側、そしてやり遂げてから思うことなど、さまざまなお話を聞きました。
かつて舞台で演じた役に挑戦
――舞台『そして僕は途方に暮れる』で演じた裕一を映画で再び演じるにあたって、どういう風に取り組まれたか教えてください。藤ヶ谷太輔さん(以下、藤ヶ谷):舞台で演じている時は、まさか映画化されるなんて思っていないので、終わった時は「やり切った!」という思いでいっぱいでした。なので、映画に取り組むにあたり、3年前の記憶を呼び起こそうと思いました。
まず舞台版の台本を読み返して、頭の中で演じてみたんです。そうしたら、舞台に立った時の気持ちを思い出しました。その後、裕一をもう一度自分の中に取り込みながら、映画の撮影に入ったのですが、やはり舞台から3年が経過していたので、その間のブランクは大きかったです。
ファーストシーンは何度も撮り直しましたし、時間が押していても三浦監督が納得するまでOKは絶対に出ないので、監督の求める細かいニュアンスにフィットするまで何度も撮影が繰り返されました。
でも舞台で同じ役を演じていて本当に良かったです。初めてだったら、もっと苦しんだと思います。
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