<目次>
1. 世間一般の評判や勧誘を理由に入塾する
「SAPIXや浜学園なら安心」の入塾は要注意!?
わが子が友だちから塾の勧誘を受けた場合も注意が必要です。「友だちが誘ってくれるなんて、よほどいい塾に違いない」と思うかもしれません。けれどなかには、誘った友だちが入塾したら、その誘った塾生にインセンティブとして高額な金券を配るような塾もあります。その金券をもらうために友だちを塾に誘う子もいるので、注意しましょう。
2. 「合格実績」にひかれて入塾する
合格実績にひかれて入塾するのも、失敗する可能性の高い理由です。合格実績は、塾の指導力を測る指標として扱うには難しいものがあります。なぜなら、毎年高い合格実績を出している塾には、入塾の時点ですでに高い学力がある子が集まってくるからです。そのような塾に子どもを通わせる保護者は、わが子の成績が伸び悩み始めると、個別指導に通わせたり、家庭教師をつけたりします。そんな個別指導や家庭教師の指導のおかげで合格したとしても、塾に通っていれば、その塾の合格実績としてカウントされます。このような場合の合格実績は、塾の指導力のおかげとは言い切れません。したがって、合格実績を入塾選びの指標にするのは難しいのです。さらに、合格実績を水増しする塾もあとを絶ちません。合格実績のカウントは、各社自社基準でカウントされていますので、華々しい数字に目を奪われないでくださいね。
3. 経済的に余裕のない状態で入塾する
経済的に余裕のない状態で入塾するのも、失敗する可能性が高いです。「これくらいならなんとか払えるか……」と月謝を確認して入塾すると、まもなく金策に苦労することになりかねません。入塾する前には、月謝以外に発生する費用(テキスト代、模試代)、年額の費用、今後の講習会やオプション講座の費用、受験学年時にかかる費用を確認しておきましょう。その上で概算で構いませんので通塾にかかる費用を試算してから、お子さんを入塾することをおすすめします。
なかには、ホームページに月謝を載せていない塾もあります。載せていても見づらいところに書かれており、小さな注釈が添えられている場合もありますので、よく確認しておきましょう。オプション講座についても開催日や価格はほとんど表に出されません。塾に質問しても、今年度のことは決まっていないことも多いため、参考までに昨年度のものを教えてもらいましょう。
4. 塾のブランドで選んで入塾する
塾のブランドで選んで入塾することも、失敗する確率が高いです。塾のブランドは、テキストの質、講師の指導力、カリキュラム、合格実績、合格率などで構成されています。それらが高いSAPIXや浜学園は、高いブランド力を誇りますが、万人に合う塾ではなく人を選ぶ塾です。そしてそれは、SAPIXや浜学園だけでなく、すべての塾にいえることです。まずは、どの塾がいいのか考えるより前に「わが家の教育方針はどうあるのか?」ということを家族で考えてみましょう。わが家の教育方針をある程度一致させた上で、「わが子にはどんな環境の塾が合いそうか」ということを家族で改めて考えることが大事になります。塾内で勉強のフォローが期待できない塾を選ぶのであれば、どんな方法でフォローするかも決めておくことが必要です。
「もし仮にその塾が全くの無名であったとしても、誰にも自慢できなくてもそこを選ぶか」という問いに「イエス!」と答えられるところを選ぶと、失敗確率を下げることができます。
5. 子どもにやる気がないのに入塾する
子どもにやる気がないのに入塾することは、最も失敗する確率の高い入塾理由です。塾は、とりあえず行かせさえすれば子どもが勉強好きになって勉強ができるようになる場所ではありません。「いまから入塾しておかないと、満席で入れなくなっちゃうから」
「塾に預ければ、勉強の楽しさに目覚めてくれるかもしれない」
「家だと全然勉強しないから、せめて塾で勉強してくれれば」
「周りもみんな塾に通い始めているから、うちも」
このような考えで子どもを塾に通わせて、うまく塾に適応できる子は多くありません。塾講師歴25年以上の筆者の印象では、塾講師には「勉強できない子をなんとかして勉強好きにさせて、勉強ができるようにしたい」と思う人よりも、「勉強好きで勉強ができる子をもっと勉強ができるようにしたい」と思っている人の方が多いと感じます。特に、ハイレベルな大手進学塾であればあるほどその傾向は顕著です。
「わが子を塾に通わせよう」と思ったら、お子さんのことを深く知っているお母様、お父様がお子さんの性格、関心のあることを踏まえて「どうしたら勉強する気持ちが高まるか」を考えて、いろいろ試すことが大切です。その結果、わが子が「塾で勉強してみよっかな」という気持ちになったら、そこで塾に通わせても、遅くはありません。ある程度学力があれば、小4、小5になってからでも入塾可能な枠はあります。
その限られた枠に入るほどの学力がなければ、そもそもその塾には向いていないということです。子どもに塾で勉強したいという気持ちがまったくないのに通わせるのは、雛が卵の内側から殻をつつく前に、親鳥が殻を突いて割ってしまうようなものです。
塾の小学1年生から3年生の成績上位者で、5・6年生になってもそのまま上位でいつづけられる子はほとんどいません。「早く入塾すればそれだけ有利」だと思ってしまうのは、塾のマーケティング戦略です。塾に行かなくても通信教材を使って勉強したり、参考書と問題集を使って勉強してわからないことはネットの動画授業で調べたりと、勉強方法の選択肢はいろいろあります。
小学校低学年であれば、日常の延長線上のさまざまな体験、たとえば身近な自然に触れること、科学技術館のようなところに行って体験型学習をすること、好きな本を読むことなどの経験を積んでおくと、あとで本格的な受験勉強をし始めたときに、実体験と結びついた深い理解ができます。すべては子どものやる気、関心が起点となって伸びていきます。
この機会にわが家の教育方針を話し合って、わが子と相性の合いそうな塾や講師を探してみるのはいかがでしょうか。
【動画】失敗する塾選びのパターンTOP5
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