中学受験の息抜きゼロな過密スケジュール
過密スケジュールの中学受験
この過密なスケジュールをうまくこなせないという受験生や保護者のお悩みはいつの時代にも共通してあるようです。6年生の事例を取り上げてアドバイスします。
事例:週4通塾に21時帰り、毎週模試……新学年になりさらに忙しく
■相談者:41歳・男性・大阪府■家族構成:本人(41歳)・42歳(妻)・長男(11歳)、長女(9歳)
■相談内容:
小3の2月から中学受験の通塾を始めたため、学習習慣もだいぶ付いてきました。しかし2月に学年が小6に上がり、週4の通塾に帰宅は21時過ぎの日々。毎週模試のためテスト勉強もしなければならず、友だちと遊ぶ時間もなくなり不満も溜まっているようです。
とはいいつつも「勉強した」と言いながら、親の目を盗んで妹とこっそりゲームをやっていることも。ゲーム機で時間管理ができるため嘘をついていることはバレバレです。そういうときには、兄妹両方とも罰としてゲームやYouTubeを見るのを1週間禁止にしています。
ただ「中学受験をやめたい」などと弱音を吐かず、2年間の通塾をここまでよく頑張ってきたと思います。あと1年、いよいよ受験学年のため親としてもグッと我慢して厳しくしていますが、そのなかでどう息抜きさせてあげていいのか悩ましいです。
自己管理が難しい子のゲームは百害あって一利なし
「受験生なのにゲームやYouTubeに夢中で全く勉強に身が入らない」そんなお悩みは非常によく聞く話です。筆者はそこは心を鬼にして、最初から与えるべきではないし、与えてしまったら受験期は取り上げるべきとアドバイスします。ゲームがあるからそちらに引き寄せられてしまうわけで、なければないで子どもたちは工夫して息抜きを見つけ出します。代わりに「歴史マンガ」や「科学探究本」「百科事典」などを置いておいて手にするようになれば、休憩時間も勉強ができ一石二鳥です。
ゲーム好きな東大生の話をときどき見聞きすることがあるかと思いますが、もともと勉強の自己管理ができて際限なく没頭しないような子だから東大に合格できるんです。そもそも東大合格者は毎年約3000人。毎年60万人ほどいる大学受験生のわずか0.5%です。そんなごく少数の人たちの「特殊解」を「一般解」のように扱うのは無理がありますよね。自己管理ができない子にゲームを与えれば、そりゃ際限なくやってしまうでしょう。
しかしそうはいっても今さら取り上げられない、取り上げると暴れ出す、そういうご家庭もあろうかと思います。そのような場合には、やはり親が時間管理をするしかありません。ゲームに制限時間を設定するとか、夕飯前までというルールにするといった感じです。おしりが決まっていればある程度は管理できるでしょう。
少なくとも受験生がゲームやYouTubeを我慢するのは当然のことです。そこで甘い顔をすれば、中学に行っても高校に行っても、子どものゲーム問題に悩まされることになります。
予定を詰め込む「たし算」の法則ではなく「ひき算」の考え方を
では受験生は息抜きもせずに勉強だけさせていればいいのかというと、それは全く違います。筆者がおすすめしたいのは「予備日」を設けるということです。例えば小6受験生ならば一週間のうち1日だけ(日曜日なら半日だけ)、小4、小5ならば一週間に2~3日、勉強の予定を何も入れない日を作るのです。決めておくべきルールはたった一つ。もしそこまでにすべての課題が終わっていれば、その日は勉強せずに遊んでいいことにするわけです。友だちと遊びに行ってももちろんOK! ゲームやYouTubeだって少しくらいなら目をつむりましょう。他の6日間に集中できていれば、1日くらい遊んだって成績が下がることはありません。むしろその日を楽しみに、より頑張れるようになる可能性も大きいです。
「受験生に予備日なんて、そんな余裕はうちにはない!」そう憤る方もなかにはいらっしゃるでしょう。しかし、筆者の中学受験塾の生徒たちを見ていると、直前期になると朝9時から夜8時頃までほぼ休みなく勉強をしています。つまり本人たちのモチベーションが高まれば、自然と予備日など不要になってくるものです。だんだんと「予備日不要」に移行されていくわけです。
親というものは子どもが暇そうにしているとどうしても「何かやらせなきゃ」と焦って、あれもこれもと予定を入れたがります。しかし子どもだって「自分の時間」は欲しいもの。塾だ、宿題だ、習い事だと「たし算」の論理で詰め込むのではなく、たまには「引き算」の考え方を取り入れてみるのもいいのではないでしょうか。理想は子どもの方から「勉強を頑張ろう!」と思える環境を整えてあげることです。
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