税金

ふるさと納税の上限額は、去年12月にもらった源泉徴収票のどこを見ればわかる?

お金のこと、難しいですよね。老後の不安から、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。皆さんからのちょっとした疑問にオールアバウトの専門家が回答するコーナーです。今回は、ふるさと納税の上限額を源泉徴収票から読み取る方法を専門家が回答します。専門家に質問したい人は、コメント欄に書き込みをお願いします。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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お金のこと、難しいですよね。老後の不安から、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。皆さんからのちょっとした疑問にオールアバウトの専門家が回答するコーナーです。今回は、ふるさと納税の上限額を源泉徴収票から読み取る方法を専門家が回答します。専門家に質問したい人は、コメント欄に書き込みをお願いします。
 

Q:今年のふるさと納税の上限額は、去年の12月にもらった源泉徴収票を見ればわかるの?

「ふるさと納税を、やりたいと思っております。収入によってふるさと納税額の、上限が変わるとのこと。会社から去年の12月にもらえる源泉徴収票のどこを見れば、ふるさと納税の上限額はわかるのでしょうか?」(50歳・会社員・子ども2人)
ふるさと納税の上限額は、源泉徴収票を見ればわかる?

ふるさと納税の上限額は、源泉徴収票を見ればわかる?

 

A:源泉徴収票は、ふるさと納税の上限額を考える上で、参考になります。「支払金額」の欄をおさえておきましょう

ふるさと納税の上限額を考えるにあたり、源泉徴収票は非常に参考になる資料のひとつです。ただし所得税の所得控除を住民税の所得控除に切り分けて考える必要はあります。

ふるさと納税の上限額を考えるにあたり、源泉徴収票は非常に参考になる資料のひとつです。ただし源泉徴収票とは、所得税についての資料となります。ふるさと納税は所得税と住民税、両方の税金にかかわる制度となりますので、所得税の所得控除(税金を計算する上で所得から差し引かれる金額)と住民税の所得控除については、切り分けて考える必要はあります。
(画像は国税庁の資料より、筆者が加工)

 
源泉徴収票の見本(国税庁HPより、筆者加工)

源泉徴収票の見本(国税庁HPより、筆者加工)


画像は、あくまでも見本となります。源泉徴収票の見本の「支払金額」には587万円と記載されていますが、この「支払金額」=年収となります。ふるさと納税を考える上では、まずは源泉徴収票の「支払金額」がいくらであるのかを、おさえておきましょう。
 

「支払金額」が500万円だった場合の上限額とは?

たとえば、源泉徴収票の「支払金額」が500万円の会社員で、扶養控除の対象となる配偶者と大学生と高校生がいるとします。

以下に総務省「ふるさと納税ポータルサイト」が発表している資料があります。

この資料を参照して「ふるさと納税を行う方の給与収入」には源泉徴収票の「支払金額」をあてはめて500万円、「夫婦+子2人(大学生と高校生)」を参照することとなります。ふるさと納税の上限額は2万8000円ということになります。

・総務省「ふるさと納税ポータルサイト」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
 
全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安   (出典:厚生労働省資料 抜粋 筆者一部加工)

全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安   (出典:総務省資料 抜粋 筆者一部加工)
 

そもそも所得税・住民税の課税対象額は以下のように算定されます。

(※ 総務省の資料より社会保険料控除額について、給与収入の15%と仮定して算定)
所得税の課税対象額

500万円(給与の年収→つまり源泉徴収票の「支払金額」)―144万円(給与所得控除額)―75万円※(社会保険料控除)―38万円(配偶者控除)―63万円(特定の扶養控除)―38万円(扶養控除)―48万円(基礎控除)=94万円(課税対象額)
  • 住民税の課税対象額
500万円(給与の年収→つまり源泉徴収票の「支払金額」)―144万円(給与所得控除額)―75万円※(社会保険料控除)―33万円(配偶者控除)―45万円(特定の扶養控除)―33万円(扶養控除)―43万円(基礎控除)=127万円(課税対象額)

そもそも、ふるさと納税によって、節税される所得税、住民税の金額とは以下のように計算されます。

●ふるさと納税で所得税から節税できる金額の計算
所得税からの控除額は(ふるさと納税額-2000円)×「所得税の税率」という計算式でもとめられます。所得税の税率は、超過累進税率といって、税率が上がれば上がるほど高い税率が課されます。
 
●ふるさと納税で住民税から節税できる金額の計算
ふるさと納税をした場合、住民税からの控除額(引かれる金額)は、「基本分」と「特例分」に分かれています。

「基本分」の控除額は(ふるさと納税額-2000円)×10%という計算式でもとめられます。次に「特例部分」の控除額は、
(ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)という計算式でもとめられます。
 
年収(源泉徴収票の「支払金額」)が500万円の場合は所得税の課税対象額が94万円ですから、所得税の税率は5%なので、残る95%は住民税の税額控除から差し引かれることとなります。
所得税の税率表 (出典:国税庁 タックスアンサーより)

所得税の税率表 (出典:国税庁 タックスアンサーより)


5%(所得税の税率)+10%(住民税から基本部分)+85%(住民税から特例控除分)=100%
ところが、住民税から特例控除分については制限があり、住民税所得割額の20%までとされています。

住民税の所得割額は住民税の課税対象額の10%なので
127万円(住民税の課税対象額)×10%(住民税の所得割税率)×20%=2万5400円
と住民税から特例控除分は算定できます、これに所得税から差し引かれる部分と住民税から差し引かれる基本部分が加わるので目安としておおむね2万8000円と算定されているということです。
 
しかしながら、今年の正しい所得税と正しい住民税は年明けにならないとわかりません。

そこで、「昨年と今年の違った部分を加味してふるさと納税を決めていく」ことになるでしょう。そうはいっても「ふるさと納税の大半は住民税からの特例部分である」ことがわかれば、昨年の源泉徴収票(あるいは住民税決定通知書)から、有用な情報は得られるものと考えます。


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