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悪しき組織風土に起因? 三菱電機、日野自動車でも…名門「昭和企業」ばかりで不祥事が起きる根本理由

コンプライアンスがらみの不祥事に関し、相次いで詳細な調査結果が公表された三菱電機と日野自動車。関連企業や同業界内でも次々と不正が明るみになる中、それでもなお、大手名門企業の不祥事が絶えないのは、一体なぜなのでしょうか。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

コンプライアンスがらみの不祥事に関し、相次いで詳細な調査結果が公表された三菱電機と日野自動車。大手名門企業におけるこの手の不祥事は、ここ15年ほどの間に何度も何度も明るみに出ていながら、一向に無くなる気配がありません。
三菱電機

国内17拠点で計197件に上る不正が発覚した「三菱電機」

しかも、三菱電機は4年前に子会社での不祥事が問題化しており、日野自動車は同時期に業界内の多くの企業で検査不正などが次々明るみに出て、それぞれ襟を正したはずではなかったでしょうか。それでもなお、大手名門企業の不祥事が絶えないのは、一体なぜなのでしょう。
 

コンプライアンス絡みの不祥事は主に3パターン

コンプライアンス絡みの不祥事は、大きく3つのパターンに分類できます。ひとつは、「社員個人の違反行動」に起因した不祥事。2つ目が「業界の習わしや業界特有の事情」に起因した不祥事。そして3つ目が「企業固有の組織風土」に起因した不祥事です。
 
社員個人の違反行為に起因した不祥事の場合は、その人間の排除や原因究明による新たな不祥事予防策等の実施により、再発はある程度防ぐことができます。昭和に多く起きた銀行のシステム操作による不正出金などはこの類であり、近年は類似の問題はどこの銀行でも防止することが可能になっています(新たな手法が出た場合はこの限りではありません)。
 
業界の習わしや業界特有の事情に起因した不祥事は、業界団体などが旗振りをして再発防止に向けたルール化や申し合わせなどを行うことにより、相互牽制を働かせ同様の問題を起こさない予防が可能になります。大手が多数の下請けを抱えて大きな仕事を入札で取る建設業界や印刷業界などで横行していた「談合問題」などはこの類であり、業界内での統制によって以前に比べ是正が進んでいると言えるでしょう。
 
もっと厄介なのが、3つ目に挙げた「企業固有の組織風土」に起因した不祥事です。冒頭に挙げた三菱電機、日野自動車のケースは、どちらもこのタイプに分類されます。自社の歴史に深く根を下ろした組織風土が不祥事発生の根底にあり、古くからの悪しき企業文化が脈々と受け継がれた結果、大きな不祥事がごく自然な形で起きてしまうのです。
 

会長も関与、累計197件の不正が発覚

三菱電機の公式サイトには、一連の不祥事に関するお詫びと対応策が掲載されています(※1)

三菱電機の公式サイトには、一連の不祥事に関するお詫びと対応策が掲載されています(※1)

鉄道車両向けの空調機器での不正行為が問題となった三菱電機のケースでは、不正は国内22拠点の約8割に当たる17拠点で計197件に上ることが判明。古いものでは30年以上前から行われ、社長、会長を歴任した柵山正樹氏までもが不正に関与していたとの報告がされています。さらに、事が発覚した2021年6月以降も2022年8月まで一部で不正が続いていたという報告もあり、病巣の根深さがうかがわれます(※2)。

エンジン試験不正が発覚した日野自動車においても、不正が20年以上の長きにわたっていたこと、経営陣もその一端を担っていたことなど、三菱電機と同様に「組織風土」が不祥事の原因であるのは明白です。

両社は不正を見て見ぬふりで誰一人として「止めよう」と言わないこと、あるいは言えないことこそが組織風土なのです。また、経営者や役員がたとえ社員時代に不祥事に手を染めたとしても、自身が然るべき立場になった時にそれを正すことは可能であったはずであり、正すことを良しとしないこともまたその組織風土を象徴しているのです。

>次ページ:大手企業ばかりで不祥事が相次ぐ「裏事情」
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