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心理的安全性とは? 低い職場の特徴・デメリットと高い職場のつくり方4つをわかりやすく解説

心理的安全性とは何か、心理的安全性が低い職場の特徴・デメリット、心理的安全性の高い職場のつくり方の4つの改善方法などをわかりやすく簡単に解説します。この機会に心理的安全性について確認しておきましょう。

藤田 尚弓

執筆者:藤田 尚弓

話し方・伝え方ガイド

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「心理的安全性」とは? 成果を上げるチームの共通点

新型コロナウイルスの流行拡大により長期化した行動制限、円安・物価高騰などにより不安定な社会情勢が続く昨今。体力のある会社もさまざまな問題に対応しなければならない状況になる中、「心理的安全性」が注目を集めています。

心理的安全性とは何か、心理的安全性が低い職場の特徴・デメリット、心理的安全性の高い職場とはどんな状態か、などをわかりやすく簡単に解説。心理的安全性の高い職場のつくり方、4つの改善方法も提案します。
 

心理的安全性とは? 

「心理的安全性」とは、経験して得た知識や理解を、チーム全員で共有し、高いパフォーマンスに繋げることが可能な、チーム特性のこと(※1)。率直に自分の意見を伝えても拒絶されたり、攻撃されたりしないという認識が共有されている状況のことを指します。

「心理的安全性が高い職場とは、居心地のよい職場のことなのか」と思う人もいるかもしれませんが、心理的安全性が高い職場が、必ずしも居心地のいい組織とは限りません。失敗をしてもそれを隠すことなく開示できる社風があり、それを職場の全員が学びに繋げられるような状況であれば、「心理的安全性が高い職場」と言えます。
 

「心理的安全性」 なぜ最近注目されている?

「成果を上げるチームに必要なものはなにか?」 Googleが3年間かけて社内の180のチームを対象に行った調査の結果が2016年にNew York Timesに取り上げられました。この調査では当初、「成果が上がるチームにはカリスマ的なリーダーがいるのではないか」「優秀なスタッフだけが集められているのではないか」「細かく定められたルールが守られているのではないか」といった仮説が立てられたそうです。

しかし、結果は違いました。成果を上げるチームに共通していたのは「心理的安全性が担保されていたこと」でした。
 
この調査結果が知られるようになったのをきっかけに、世界中の企業で心理的安全性が注目されるようになりました。もちろん日本も例外ではありません。筆者は企業研修の講師や講演の仕事をしておりますが、「心理的安全性」をテーマにした依頼はここ数年増えています。日本企業を対象とした調査では、管理職の75.2%が「心理的安全性の必要性を感じている」という結果が報告されています(※2)。
 
2019年の暮れに新型コロナウイルスが発生し、ビジネスを取り巻く環境は大きく変化しました。長引く自粛生活や不安定な社会情勢もあいまって、体力のある会社もさまざまな問題に対応しなければならない状況になっています。このような状況下では、リーダーの指示に従うだけではなくチーム全体の対応が求められるため、心理的安全性は再度注目を集めています。

また、LGBTQなど多様な性への認知などを筆頭に、多様性の尊重が求められる社会になってきました。このような状況も心理的安全性が注目されている理由の1つだと考えます。

Googleは年齢・国籍はもちろん、職種(例えば、企画・デザイン・営業・技術開発など)も多様性に富む企業です。さまざまな違いのあるチームに共通して見出された「心理的安全性」は、多様性の重視が求められる昨今の空気感にもマッチしているのでしょう。
 

心理的安全性が低い職場の特徴とは 

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厳しい指導は心理的安全を低下させるリスクが高い

心理的安全性が低い職場とは、どのような特徴がある職場なのでしょうか。具体例を見て、自分の職場ではどうかチェックしてみましょう。※先行研究をベースに筆者が制作
 
□ミスなどに対して感情的に叱ってしまう上司がいる
□責められそうなのでミスは隠したくなるような環境である
□失敗したことは自分だけで処理し、同僚などに共有しない
□どう思われるか不安で率直な発言ができない
□上司が間違っているように見えても指摘しにくい
□ミスは努力不足や注意力が足りないからだと決めつけられる


「ミスをしたら責められるのではないか」「上の人に失礼ではないか」「こんなことを言ったら批判されるのではないか」 そのような心配がある環境では、ごくあたりまえの意見しか言えず新たなアイデアを取り入れられなくなりますし、失敗は隠されるようになります。
 

心理的安全性が高い職場のつくり方・4つの改善方法

心理的安全性を高める具体的な方法としては、日本人を対象に延べ2万人以上の心理的安全性を計測したチームが導きだした要因(※3)をベースに、以下の4つをご提案します。
 
(1)話しやすい職場づくり
何を言っても大丈夫だという環境を、社内全員で作り上げましょう。体調不良、失敗などなかなか言いにくいことも、みんなも言っているという状況になれば話しやすくなります。
 
(2)助け合える環境づくり
トラブルのとき責めるのではなく、お互いが助け合う環境を目指しましょう。責任感がある人は、つい1人で抱え込みがちなので気をつけましょう。
 
(3)挑戦を歓迎する雰囲気づくり
新しいことに挑戦した結果として失敗があっても責めてはいけません。挑戦そのものを歓迎する雰囲気の醸成を意識しましょう。
 
(4)新奇歓迎の社風づくり
新しく入ってきた人、チームのメンバーとは少し考えが違う人などを歓迎しましょう。慣れたやり方が正しく見えるかもしれませんが、個性を発揮し、活かすことができるチームを目指してみてください。
 
チームのメンバーが感じる心理的安全性の高さは、リーダーシップ行動の影響を強く受けます(※4)。まずは、リーダーが率先して、職場のメンバー同士がコミュニケーションをとること、協力すること、目標の共有を行うこと、フィードバックをすること、お互いが学び合うことなどができる環境を目指して行動を始めるとよいでしょう。
 
心理的安全性の高い職場をつくるためには、個人が安心した状態にとどまらず、職場全体で心理的安全性を共有できるところまでを目標にするのがポイントです。

ある人がトラブルやミスに繋がりそうなことに気づいても、職場の雰囲気や人間関係を悪くするといった心配から言い出せないということもあるので、職場全体で心理的安全性を大事にしていくことが重要になります。安心して発言ができるだけでなく、お互いが学び合う社風を作っていくことで、よいイノベーションを起こしやすい環境が整います。

このような取り組みによる改善は、少しずつしか変えていけません。ぜひ今日から取り組んでみてください。 
 
 
<参考文献>
※1:Edmondson, A. C. (2019). The fearless organization: Creating psychological safety in the workplace for learning, innovation, and growth. John Wiley & Sons.
※2:松本洋平(2017)心理的安全性が必要なチームとは-チームリーダー516人に聞く「心理的安全性」の実態 RMS Message 48号,pp.23-28 リクルートマネジメントリソリューションズ.
※3:石井遼介:心理的安全性のつくりかた「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える,日本能率協会マネジメントセンター,p.50,2020                                                 
※4:Edmondson, A. C., & Lei, Z. (2014). Psychological safety: The history, renaissance, and future of an interpersonal construct. Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior, 1(1), 23-43.
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