60歳以降の夫婦が、最初に見直してほしいのが今入っている生命保険
年金生活になると、主な収入源は公的年金になる人が多いでしょう。年金収入のみで生活する場合には、支出を見直して、生活コストを下げることを検討してみてください。特に保険の見直しは、節約のストレスなく支出を削減でき、頻繁に行う必要はなく、効果が出やすい見直しの一つです。今回は保険料を安くするポイントについて解説します。
豊かな老後のために、保険の見直しをしてみませんか
生命保険は、大きく次のように4つに区分でき、どれかに入っている人が多いでしょう。
- 自分に万が一のことがあった場合に残された家族にお金を残すため(死亡保障)
- 自分の病気やけがに備えるため(医療保障)
- 介護状態になった場合に備えるため(介護保険)
- 将来への貯蓄をするため(個人年金保険等)
高齢者ご夫婦世帯が特に見直しておきたい保険は、死亡保障と医療保障です。
60代夫婦が見直したい死亡保障のポイント
そもそも、死亡保障を目的として生命保険に加入する場合、まずは死亡後の必要保障額を計算し、そこから、残された家族が公的な遺族年金から受け取れる金額を差し引き、足りない分を保険で得られるように契約します。したがって、若い時や結婚した時に生命保険に加入し、その後、一度も見直したことがないと、子育て中の死亡リスクも加味された金額で加入しているため、死亡保障が過剰になっているケースがよく見受けられます。
60代になって死亡保障を見直す際は、現在の家族構成での必要保障額を計算して、その上で足りない分を生命保険で備えることが必要です。また、夫婦の雇用状況や年金の加入先(加入歴)によって受け取れる公的な遺族年金の金額は変わりますし、十分な貯蓄がない人ほど万が一のリスクに備える必要があります。それらを加味して必要保障額や保険内容を見直しましょう。
たとえば、夫婦ともに会社員として働いていた等で、妻自身が老齢厚生年金も遺族厚生年金を受給できる妻は、夫死亡後の保障(死亡保障)の必要性は少なくなります。一方、夫が自営業、妻も専業主婦で、ともに厚生年金の加入歴がない場合、妻は老齢厚生年金も遺族厚生年金も受給できませんので、夫死亡後の保障の重要性は高まります。
60代夫婦が見直したい医療保険や介護保険等のポイント
民間の医療保険やがん保険、介護保険等に加入する時のポイントは、自分がどういった医療サービスを受けたいのか、入院する時は個室に入院したいのかなど、人によってさまざまと思います。手厚いサービスを求める人ほど、民間の医療保険で備える必要性があります。ただし、日本は高齢者に対する公的な保障は手厚く、医療費の自己負担額には限度額が設定されています。この制度は『高額療養費制度』といい、さまざまな優遇措置が設けられています。民間の医療保険に加入する前に、公的な医療保険制度を確認してみましょう。
生命保険だけではなく貯蓄で備えるという考え方も大事
ただ保険は、保障対象となる保険事故がおきないと受け取れません。万が一の備えは、保険である必要はなく、貯蓄で用意してもいいのです。貯金は、保険事故以外にも引き出すことができ、流動性があります。しかし、貯金が貯まるには時間がかかります。保険は、保障開始日以降に保険事故がおきた場合は、契約した保険金を受け取れます。したがって現時点で貯金がない人ほど、保険加入の必要性が高まります。60代になっても貯蓄をきちんとしておく、老後も働いて少しでも収入を得られる手段を作っておくということが重要になるわけです。
加入している保険の保障金額を見直して手元資金を多くし、日々の生活を豊かにしていきましょう。あくまでも保険は、起こる可能性は低いかもしれないけど、万が一の時にお金に困らないようにするために加入するものだということを心に留めていただきたいです。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)