奈緒さんにインタビュー
WEBコミックで火がつき、SNSで話題になり、単行本も出版されるや即重版決定という人気コミックを映画化した『マイ・ブロークン・マリコ』。永野芽郁さん演じるヒロインのシイノは、ソウルメイトといっても過言ではないマリコが自ら命を絶ったことを知り、マリコを虐待してきた父親から遺骨を奪い、彼女を抱いて旅に出るという物語。苦しみながら人生を歩んできたマリコを演じた奈緒さんに、マリコの役作りや、連続テレビ小説『半分、青い。』での共演以来の親友・永野芽郁さんとの再共演、女優としての未来など、たくさんのお話を伺いました。
永野芽郁の存在が私の背中を押してくれた!
――『マイ・ブロークン・マリコ』は原作漫画のファンも多い作品ですが、この作品のオファーを受けた理由、また原作を読んで感じたことなどを聞かせてください。奈緒さん(以下、奈緒):はい。まずオファーを受けて、原作漫画を読んだのですが、私は自ら命を絶ってしまう女性の役を演じたことがなかったので「かなり覚悟のいる役だな、私にできるだろうか」と思いました。ただ原作の力は強くて、これは届けるべき物語だと思いましたし、何より永野芽郁ちゃんがシイちゃん(シイノ)を演じることが、私の背中を押してくれました。
シイちゃんとマリコの関係性がとても大切だと思ったので、シイちゃんを芽郁ちゃんが演じるのなら私にもできるかもしれない……という気持ちで出演を決めたんです。 ――マリコはとても辛い人生を歩んできた人ですが、そのマリコを知っていく役作りの作業は、大変ではなかったでしょうか?
奈緒:正直、マリコの身に起こることは悲しいことが多いのですが、もう彼女は辛いとか悲しいとかいう感情を持てなくなっていたと思います。辛いと思ってしまったら、生きていけなかったのではないかと。
「割に合わないでしょ」というマリコの言葉が忘れられないのですが、「自分が悪いんだ」と思わないと崩れてしまいそうだから、自分が生きるための手段として、希望は全て消してしまったのではないかと思います。
マリコが辛い気持ちを消していたので、演じているとき、私自身は辛さを感じませんでした。そして何よりシイちゃんの存在が大きかったです。自分を大切にしてくれるシイちゃんが、マリコの生きる糧だったのではないかと思いました。
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