YouTubeには毎分500時間以上のコンテンツがアップロードされている
YouTube上には大量の動画が投稿されています。2016年の時点で18億3000万から21億5000万の動画がアップロードされているとYouTubeは発表しました。2022年には毎分500時間以上の動画がアップロードされており、動画の数は増え続けていく一方です。膨大な数の動画がある中でユーザーがYouTubeを楽しめるのは、「おすすめ動画」のレコメンドによるものが大きいといえます。
おすすめ動画は主にホーム画面と [次の動画] パネルの2カ所に表示されます。ホーム画面とは、YouTubeを開いたときに最初に出るページです。[次の動画] パネルは、動画の視聴中に表示されるものです。
以前YouTubeのユーザー数の大半は、検索または外部の共有リンクから生み出されていましたが、現在は多くのユーザーがおすすめ動画から動画を視聴するようになっています。
このおすすめ動画はどのような仕組み、基準で選ばれているのでしょうか。
YouTube検索の指標
そもそもYouTubeで動画を検索するとき、検索結果はどのように表示されるのでしょうか。YouTubeは以下の指標を用いて検索アルゴリズムを構成しています。■関連性
- タイトル
- タグ
- 動画の説明文
- 動画内容
■エンゲージメント
以下に挙げられる、動画を見たユーザーの反応や行動のことです。
- クリック数
- 視聴完了率
- 高評価・低評価数
- 高評価率
- コメント数
- 総再生時間
以下の性質を有しているかどうかです。
- 専門性(特定のトピック・分野について詳細であるか)
- 権威性(多くの人から認められているか)
- 信頼性(客観的で信頼できるソースを参照しているか)
類似するユーザーの視聴傾向の組み込み
YouTubeは2008年頃からおすすめ動画機能を構築し始めました。これは現在のものと異なり、ユーザーの趣味嗜好に関係なく、全体の人気度に基づいた動画を表示するというものでしたが、そうした急上昇動画を視聴するユーザーの数はあまり多くありませんでした。そこでYouTubeはユーザーには固有の視聴傾向があるという認識に基づき、ユーザーの視聴傾向を他の類似ユーザーと比較し、ユーザーが視聴する可能性が高い他の動画をレコメンドするという手法を導入しました。
例えば、料理動画を好むユーザーがジャズ動画を視聴する傾向が高ければ、別のユーザーが料理動画を視聴すると、それまでジャズ動画を視聴したことがなくてもジャズ動画が表示されるというものです。その際に特に重視されているのが上記にも挙げたエンゲージメントの指標です。
YouTubeはユーザーの満足度をどのように判断しているか
おすすめ動画を提供するにはユーザーがどのような動画を好むのかを正確に予測する必要があります。そこで重視されるのがクリック数、総再生時間、アンケートへの回答、共有、高評価、低評価等の指標です。■クリック数
ユーザーがあるサムネイルやタイトルがつけられた動画をクリックした回数が多ければ、YouTubeはユーザーがそのような種類の動画を好んでいると判断します。しかし、クリックした結果、動画の内容がユーザーの好みではなく、すぐに視聴をやめることがあります。そこで2012年からは総再生時間という指標も追加されました。
■総再生時間
ユーザーが動画を長く視聴する、または最後まで視聴を完了する場合、ユーザーはその動画に満足している可能性が高いと判断されます。
■アンケートへの回答
ユーザーの動画への満足度を判断するために、動画を星5つで評価するアンケート機能が提供されています。星4つまたは5つの高評価となった動画は有意義な視聴時間をユーザーに提供したとしてYouTubeにフィードバックされます。
■共有、高評価、低評価
ユーザーが動画を共有したり、高評価した場合は動画に満足しているといえます。逆に低評価の場合は、その動画がおすすめ動画に反映されないようになります。
信頼性のある動画を提供するためのYouTubeの対策
YouTubeには娯楽やエンターテインメント系の動画以外にも、ニュースや科学・教養系の動画も多数存在します。それらの動画では情報の質や信頼性がより重視されます。しかし動画の中には根拠のない主観に満ちた疑似科学や陰謀論を展開する動画もあります。さらには暴力的な内容を含む動画、倫理上不適切な動画等も投稿される可能性があります。YouTubeはこれらの動画に対してどのように対処しているのでしょうか。YouTubeは2011年、際どいコンテンツや暴力的なコンテンツを識別し、おすすめ動画として表示されないための分類システムを導入しました。2015年には、センセーショナル(刺激的、扇情的)な動画の表示順位を下げる措置を講じました。さらに2016年には、不適切な未成年者の動画をおすすめ動画から削除する仕組みを導入しました。2017年には、LGTBQ+に配慮したおすすめ動画が公正に機能する仕組みを導入しました。
動画に信頼性があるか、倫理上問題があるかどうかは審査担当者によって判断されます。審査担当者は公平性のために世界の様々な地域から選ばれ、評価ガイドラインに沿ってトレーニングを受けます。担当者によって内容が不正確である、有害である等と判断された動画はスコアを下げられ、おすすめ動画での表示順位が下げられます。このようにアルゴリズムだけでなく、マンパワーも用いてYouTubeは公平・公正な情報発信を追求しています。
つまり、おすすめ動画のアルゴリズムの進歩により、おすすめ動画をユーザーに表示することもできれば、逆に不適切な動画をユーザーに表示しないようにすることも可能になったといえます。
おすすめ動画を非表示にする方法/再生・検索履歴を残さない方法
YouTubeはこのようにユーザーに向けたカスタマイズを提供していますが、場合によっては自分の趣味嗜好をYouTubeに反映したくないこともあります。以下の記事では、おすすめ動画を非表示にする方法/再生・検索履歴を残さない方法について解説しています。YouTubeの「おすすめ」に出てくる動画を非表示にする方法、戻す方法
YouTubeの再生・検索履歴を残さない方法
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