子供の教育

勉強は「頑張りすぎない」ほうが成功する?苦労しないで“成績を伸ばす”ヒント

勉強でもほかのことでも、何かに取り組むときには「頑張ろう!」と気合いを入れるよりも、「どうやったら楽しめるだろう」と考えてみることをおすすめします。今回は子どもにとって「もっと勉強が楽しくなる」ヒントをお伝えします。

西村 創

執筆者:西村 創

学習塾・個別指導塾ガイド

「勉強=頑張るもの」という思い込みは捨てる

勉強は「頑張るもの」という思い込みは捨てる

勉強は「頑張るもの」という思い込みは捨てる

お子さんも親御さんも、勉強は「頑張るもの」だと思っていないでしょうか。もちろん、成績を上げて入試に合格するという目標がある以上、頑張らないと合格に手が届かないという現実はあります。だからお子さんは頑張って勉強するし、大人たちも応援する。そんな風に勉強を「頑張る」のは、当たり前のことだと多くの人が思っています。

でも、世の中、頑張るのが好きな人・得意な人ばかりではないですよね。そこで私は、勉強でもほかのことでも、何かに取り組むときには「頑張ろう!」と気合いを入れるよりも、「どうやったら楽しめるだろう」と考えるようにしています。

たとえば、授業するときは「頑張って生徒の成績を上げよう」ではなく、「どうやったら、今回の授業をおもしろくできるだろうか」と考えるのです。

説明を工夫したり、ちょっと変わった方法で取り組んでもらったり、生徒たちが楽しめる授業を目指すのです。そうした工夫を私自身も楽しむことで、「頑張る」よりも力を発揮できていると思っています。勉強でも同じことがいえるでしょう。
 

では、勉強を楽しむには?

では、考え方を変えて勉強を「楽しむ」にはどんな方法があるでしょうか。

たとえば、「2時間、頑張ってできるだけ勉強しよう」と考えるのではなく、タイマーを30分間セットして、「30分×2セットの前半1時間、30分×2セットの後半1時間で、どちらの自分が濃い勉強ができるか、タイムアタック勝負だ!」というように、ゲーム感覚で取り組むのです。

また、寝る前の10分を使って、今日の塾や学校の授業内容をお気に入りのぬいぐるみに向かって教えてあげるというのもいいですね。この方法は、知識の整理と記憶の定着に効果的です。

その日に受けてきた授業と同じ単元をYouTube動画などで別の先生が教えているのを見るのも効果的です。内容を復習しつつ「こういう理解の仕方もあるんだな」と楽しく理解を深めることができるでしょう。

算数の問題などは、「A君とB君は同じ枚数の手札を横一列に並べています」といった説明が出てきたときに、A君・B君を頭の中で自分の好きなキャラクターに置き換えてみると、親しみが湧いて具体的なイメージができるのではないでしょうか。アニメやゲームの登場人物など、好きなキャラクターに置き換えてみましょう。

歴史上の人物でも同じです。アニメのキャラクターやテレビでよく目にする芸能人や政治家に、似たような人がいないか考えてみるのです。「藤原道長って、あのアニメに出てくる敵キャラみたいだな」とか、「北条政子が現代に生きていたら、あの政治家のような雰囲気かも」などとイメージを膨らませると、ぐっと身近に感じられるのではないでしょうか。

歴史の重要事項も、ただ単語を覚えるのではなく、漫画やアニメのように勝手にタイトル付けをしてみるとおもしろいですよ。たとえば、「黒船来航」を「進撃の黒船」などと勝手にタイトル付けして、浦賀に巨人が攻めてくるイメージで思い浮かべると、映像が頭に残るでしょう。

地理でも、頑張ってただ丸暗記するのではなく、イメージを使った方法が有効です。

たとえば、次のようにテキストに書かれていることを覚えるとします。

【米の生産量】1位 中国 2位 インド 3位 インドネシア
【茶の生産量】1位 中国 2位 インド 3位 ケニア
【綿花の生産量】1位 中国 2位 インド 3位 アメリカ

まずは、これらのランキングの共通点を探します。すると、どれも1位が中国、2位がインドです。どちらも人口が多い国ですよね。そこからこんなふうに連想するのです。

「人口が多いということは、それだけ食べものも多く必要だ。だから、人口が多い中国、インドの米の生産量がそれぞれ1位、2位になる」「ご飯を食べたらのどが渇いてお茶を飲みたくなる。だから茶の生産1位の国と2位の国は……」「食べ物だけでは生きていけない。着るものも必要だ。では、服の原料になる綿花の生産1位の国と2位の国は……」。

こじつけではありますが、受験勉強は、特定科目の特定分野の理解だけを極めるものではないですからね。とりあえず基礎知識を頭に入れて、正確な理解は今後修正していけばいいのです。ですから、ランキングの3位も後回しです。

そもそも入試は6割程度正解すれば合格できるため、4割は理解できなくても問題ないのです。完璧を求めて挫折してゼロになるくらいならば、6割程度を目標にする気持ちで取り組む方がいいでしょう。最初はもっと低く、2割できればOKくらいの気持ちで大丈夫ですから、気軽に勉強と付き合っていきましょう。
 

孔子の「論語」でも説かれている、頑張ること以上に効果が出ること

孔子の「論語」の中にこんな言葉があります。

これを知る者はこれを好む者に如かず
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず

「物事を知っている人は、それを好んでいる人には及ばない。物事を好んでいる人は、それを楽しんでいる者には及ばない」という意味です。楽しんで取り組んだことの成果というのは、頑張って取り組んだときの成果を超えるものです。

ただし、楽しめればなんでもいいわけではなくて、大事なのは“工夫をする”ことです。工夫せずにただ楽しむのは、「楽しまされている」状態ですからね。自分で楽しめるような工夫をする。そして今だけ楽しむのではなくて、今の楽しみがこの先、より大きな楽しさにつながる楽しみ方をする。

この2つを両立できると、勉強に取り組むのがどんどん楽しくなっていって、そのうち、工夫せずとも勉強の中身自体を楽しめるようになっていきます。先ほどいくつか紹介した楽しむための工夫は、あくまでヒントです。お子さんの性格や特性に合わせて、楽しめそうな工夫を考えてみてください。お子さん自身にも一緒に考えてもらうといいでしょう。

勉強を楽しめるようになると、勉強の成果が出やすくなるだけでなく、偏差値を上げなくてはというプレッシャーや他人との競争によるストレス、「合格できるかな」という不安から解放されます。

いくら頑張っても競争に勝てないこともありますし、たとえ勝っても上には上がいるものです。でも、楽しむことができていれば、他人の成績と比べたり他人からの評価に一喜一憂しなくなります。そして、楽しく取り組むことは、競争のレールから外れて落ちこぼれるわけではありません。回り道をしているようで、意外と競争のレールを直進している人よりも気づいたら先を行っていたりするのです。

これは、勉強だけでなく、社会人になってからの仕事や人生全般にも共通していえることかもしれませんね。
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