子どものセルフレジは周りに迷惑? ありなのか、なしなのか……
コロナ禍で導入する店舗が増えたセルフレジ。子どものセルフレジはあり?なし?
今回はAll About編集部で募集した「スーパーで困った子どもの行動」についてのエピソードの中から「混雑時にセルフレジをやりたがる3歳の女の子」の例を取り上げて、子どもの利用についてどう考えていったらいいかを検討してみました。
週末の混雑時に「セルフレジをやりたい」と言うことを聞かない子ども
【相談内容】最近増えてきたセルフレジで起こった事件です。親の真似をしたがり、やると言ったらなかなか止められない3歳の長女が、どうしても自分でバーコードを読み取りたいと言い出しました。休日だったため並んでいる人も多い中、週末の買いだめだったので商品数も多く、子どもがやるとかなり時間がかかる状況でした。
「今は人がたくさん並んでいるから、今日はお母さんがやるよ」と話をしても聞かないため、仕方なく商品を親が持ってバーコードリーダーを娘に渡すことに。娘がバーコードリーダーのボタンを押したままの状態で親が商品を合わせるようにしたので、このときはそこまで時間をかけずに済み、娘も満足したようでした。
お手伝いを積極的にやってくれるのはいいことだと思うのですが、このときのように周囲に迷惑をかけそうなことや、野菜を切りたい、お好み焼きをひっくり返したいなど、怪我になりそうなことまでやりたがり、少し頭を悩ませています。(相談者:35歳女性)
自我の芽生え「イヤイヤ期」には自分の思いを“制御する機会”も大切
相談者のお子さんは3歳ということですが、この年齢は多くのご家庭で「イヤイヤ期」の真っ最中であることが多く、子どもの自己主張が増える時期でもあります。「自我の芽生え」といわれるこの時期は、自分の力を試すべく「やってみたい」という思いが強まります。この子もセルフレジを前に、「ワタシがやるの!」というパワーが全開になったのでしょう。子どもたちのこのような強い思いをしっかり受け止められる空間であれば、それを満たしてあげるのは望ましいことです。たとえば、お家の中や児童館、子ども向けの体験施設など。しかし、公の場でその思いを周囲の人々全員が受け止めてくれるかというと、そうではないのが現実です。
週末の混雑している店内では、店舗側も早く回転させたい、買い物客側もさっさと買い物を済ませたいという思いが強まりがちです。そういう思いが容易に人々のイライラにつながったりすることもあるでしょう。
子どもの「自分でやりたい!」というモチベーションはできるだけ大切に育みたい―― 親ならそう思うものですが、いつもいつも叶えられるわけではないことを教えていくことも非常に大切です。というのも、私のこれまでの育児カウンセリングの例をみると、イヤイヤ期に「今は自我の成長期だからなんでも受け止めてあげなくちゃ」と子どもに好きなことを好きなだけさせていたご家庭は、4~5歳で困り果ててしまう傾向が顕著だからです。
なぜこのようなことが起こるのかというと、子どもが自分の思いを制御する機会がなかったために親とぶつかることが増えてしまうからです。小さいうちはまだなんとかなっても、4~5歳になると心も体も成長してくるため、親が子どもからの要求に追いつけず、ついにブチ切れという事態が増えてしまうのです。こういったご家庭の方は「叱らずに育てようとしてきたのに、今は叱ってばかりの子育てになってしまった」とおっしゃいます。
子どもが学習しやすい“一貫性”のあるしつけに
しつけは、子どもにわかりやすい一貫性のあるルールが大切。
子どもの「やりたい」という気持ちは大切に育んでいきたいものですし、お手伝いをしようという思いであれば、なおさらその思いを汲んであげたいと思います。この方も、セルフレジに続くエピソードとして「野菜を切りたい、お好み焼きをひっくり返したいなど、怪我になりそうなことまでやりたがる」というお悩みをつづっています。
子どもの「やりたい」をどこまで受け入れるかで悩まれるご家庭は非常に多いですが、こういう場面では、ご自身が思っている「しつけとして教えていきたいことリスト」と照らし合わせながら判断すると後々困ることが少なくなります。
私がおすすめしているしつけの第一歩は、「自分と他者を傷つけない」というものです。
- 「自分を傷つけてはいけないよ」(例:包丁によるケガ、やけど、道路への飛び出しなど)
- 「他者を傷つけてはいけないよ」(例:お友だちを叩く、他人に迷惑をかける、など)
親が嬉しいと感じる子どものお手伝いであっても、そこにその子の危険や他者への迷惑が存在するのであれば、それを抑制していくことも大事な導きです。社会の枠組みの中では、すべてが叶わないことがあります。その場面ではちょっと悲しい思いもしますが、必ずや学びにもつながっていきます。
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