「やんごとなき事情」などで使われる! やんごとなき〇〇の意味とは
辞書に載っている「やんごとなき」の意味とは?
「やんごとなし」とは? 辞書では? 意味・使い方
このように「やんごとなし」という言葉は、主に古語として、高貴・なおざりにできない、特別のような意味で使われているようです。■やんごとなし
《「止む事無し」が一語化したもの》
1 家柄や身分がひじょうに高い。高貴である。「―・い生まれ」「―・いお方」
2 そのまま捨てておけない。なおざりにできない。のっぴきならない。
3 なみなみでない。特別である。
4 貴重である。
『デジタル大辞泉』より
「やんごとなき〇〇」の古典での出典例
■高貴だ、尊ぶべきだ、重々しいなどの意味「いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり」
『源氏物語』 桐壺
訳:それほど高貴な身分ではない方で、際だって帝のご寵愛を受けて栄えていらっしゃる方があった。
■よんどころない、打ち捨てておけないなどの意味
訳:「宮中によんどころない用事がある」と言って(『学研全訳古語辞典』より)「『うちにしも、やむごとなき事あり』とて」
『蜻蛉日記』 上
このように、古風な言い回しで重々しい場面で用いられるのがほとんどでしょうから、自然と使われる場面も限られてくるという印象を受けます。
誤用?「やんごとなき事情で」などと自分事で使うのはありか
現代でも「やんごとないお生まれでいらっしゃる」「やんごとなき雅な宮廷文化」といったように高貴という意味で使われます。言い換えるなら、身分が高い・格式高い・品格ある・由緒ある……など。もっと今風に言うなら、「上流階級」とか「ステータスの高い」などの言葉もそれに近いでしょう。また、「やんごとなき事情で……」というように使われることもあるようです。どなたか高貴な方に招かれてとか、相手の方の出来事ならばしっくりくる感じはありますが、自分の出来事に対して「やんごとなき」を用いるのは、ちょっと抵抗感があるように感じます。
自分側の用事でどうにもならない、ぬきさしならないような状態を表す言葉としては、「のっぴきならない」などの言葉がありますね。「のっぴきならない」とは、避けることもしりぞくこともできずに、どうにも動きがとれない、ぬきさしならないような状態を表し、「のっぴきならない事情」「のっぴきならない事態」などのように用いられます。
また、「のっぴきならない」とは、それよりほかに方法がない、仕方ないというような言葉としてもよく用いられます。主に、心ならずも断る、やめるような場面で使われるものです。
他にも、「よんどころない事情がございまして申し訳ございません」「この際、中止もやむを得ない」「やむにやまれぬ事情がありお断りするほかない」「残念ですが、致し方ございません」 ――このように、そのままにできない、動きがとれない、どうにもならないなどの意味では、「やんごとなき」より、「のっぴきならない」「よんどころない」「やむを得ない」などの言葉のほうが用いられるものです。
再注目される「大和言葉」
「やんごとなき」や「のっぴきならない」などの言葉は、「和語(大和言葉)」と呼ばれるものです。こうみると「漢語」よりもやわらかい、響きが美しい感じがするという意味でも、和語(大和言葉)は再認識されているのかもしれませんね。
なお「漢語」は主に頭に「ご」が付き、「和語(大和言葉)」は頭に「お」が付いた形で使われます。
<例>
漢語:指導 和語:導き
漢語:尽力 和語:力添え
意味は同じでも、改まった場面や手紙では漢語が用いられることも多く、話し言葉では和語が用いられるなど、場面に合わせて自然と使い分けられているものですね。
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なお「漢語」は主に頭に「ご」が付き、「和語(大和言葉)」は頭に「お」が付いた形で使われます。
<例>
漢語:指導 和語:導き
漢語:尽力 和語:力添え
意味は同じでも、改まった場面や手紙では漢語が用いられることも多く、話し言葉では和語が用いられるなど、場面に合わせて自然と使い分けられているものですね。
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