ウクライナ情勢をわかりやすく解説! 子どもの理解を助けるおすすめの本

ロシアによるウクライナ侵攻が続いています。この複雑な状況を子どもたちにどう伝えたらよいのでしょうか?

小学生にもなると、テレビのニュースを見聞きしたり、学校で話題になったり、気になればインターネットなどで調べたりすることがありますよね。それはつまり、子どもたちが、「今」「リアルに起こっている」戦争に触れているということです。
ロシアによるウクライナ侵攻について、本を使って説明するときには、本の内容だけではなく、その子に合った本であるかもポイントです。

ロシアによるウクライナ侵攻について、本を使って説明するときには、本の内容だけではなく、その子に合った本であるかもポイントです。

過去の戦争についての学習でさえ、こわかったり悲しかったりするもの。このウクライナ侵攻は、子どもたちにどれだけの影響があるのでしょうか。悲惨な映像や音に驚きひとりで不安を抱えている子や、断片的な知識や偏った情報をもとに、誤った解釈をしてしまう子がいるかもしれません。

そこで、この情勢について子どもと話したり考えたりするときに役立つよう、理解を助ける本をご紹介します。どれも、ていねいにまとめられた、読み手の考えを促してくれる本ですが、たとえば、子どもの年齢や性格、環境、理解度、判断力、この情勢の何に一番関心を持っているのか、どの程度の不安を感じているのかなどで、必要なフォローは異なります。戦争は、いずれは自分にも関係のあることとして考えるべき問題ですが、今はまだ、安全であることを強調して伝えた方がいい、ということもあるでしょう。

お子さん自身、そしてお子さんの知りたい(不安な)ことに合った本を選んでくださいね。
 

1. 現状を把握するのに必要な情報がコンパクトにまとまっている「ニュースがわかる」

ウクライナ情勢に関する子ども向けの本

『ニュースがわかる』2022年4月号、毎日新聞出版 画像:Amazon

「ニュースがわかる」は、さまざまなジャンルの時事問題がバランスよく取り上げられている、小中学生向けニュース学習誌です。説明がわかりやすく、カラフルで見やすいため、あまりニュースに興味がない小学生でも気軽に手に取ります。

ウクライナ情勢については、2022年4月号に「ウクライナとロシア なぜ対立?」として取り上げられています。2ページほどですが、ウクライナの独立やNATOなど基本的な事項についての解説もあります。こちらの図や地図を見ながらお子さんと話すと、スッキリと伝わるでしょう。

ところで、即時性を求めるときは、やはり新聞・雑誌が便利です。毎日小学生新聞は、インターネットでも一部が公開されていますが、記事の途中でログインを求められることがなく、ある程度、まとまった文章を読むことができます。また、ふりがなもついています。購読に踏み切れないという場合は、ぜひご覧になってください。
   

2. 世界の動きについて体系的に学べる『こども地政学』

ウクライナ情勢に関する子ども向けの本

『こども地政学』、カンゼン 船橋 洋一(監修) バウンド(著) 画像:Amazon

本書によると、地政学とは「地理、歴史、資源、人口、それから宗教、民族、人種などが国々の関係にどのような影響をおよぼすのか、それが平和と安定をどのように脅かすのか、といったことを分析し、ともに生きる知恵を学ぶ営み」です。

ウクライナ情勢に直接関係する記述はありませんが、世界各国のパワーバランス、協力関係、領土問題などについての知識は、この事態の背景を理解するのにも、今後ニュースを見るとき、歴史を学ぶとき、未来について考えるときにも、助けになるはずです。
  なお、大人向けではありますが、『サクッとわかる ビジネス教養 地政学』もおすすめです。入門書なので説明が簡潔ですし、紹介されているロシアの特徴も参考になります。親しみやすいイラストも多く、子どもに教えるときに便利です。
ウクライナ情勢に関する子ども向けの本

『サクッとわかる ビジネス教養 地政学』、新星出版社 奥山真司 (監修) 画像:Amazon

   

3. ロシアの歴史から、今を考えられる『平成編①昭和から平成へ 東西冷戦の終結』 

ウクライナ情勢に関する子ども向けの本

『平成編①昭和から平成へ 東西冷戦の終結』(池上彰の現代史授業― 21世紀を生きる若い人たちへ)、ミネルヴァ書房 画像:Amazon

冷戦終結からソ連解体までを詳しく知りたいときにおすすめの本です。ゴルバチョフ・エリツィンからプーチン大統領までの流れがよくわかります。

この時期は、日本では昭和から平成に移った頃にあたり、日本と政治や経済で強く結びつく世界各国の歴史を、あわせて理解することができます。

また、ロシアが各国の制裁に対抗して、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道制御をやめる可能性をほのめかしたり、ギアナ宇宙センターにいるソユーズ・ロケットの技術者たちを撤退させたりするなど、これまでさまざまな国が協力してきた宇宙分野にも影響が出ていますが、本書では、冷戦時代の宇宙開発競争についても解説があるので参考になるでしょう。
   

4. 戦争をなくすには? 自分にできることがわかる『SDGsで見る現代の戦争』

ウクライナ情勢に関する子ども向けの本

『SDGsで見る現代の戦争 知って 調べて 考える』、学研プラス 伊勢﨑賢治 (監修) 関正雄 (SDGs監修) 画像:Amazon

「SDGs(持続可能な開発目標)」を通して、戦争の原因は何か、自分には何ができるのかを、現実的・具体的な視点で考えていく本です。大人も、過去の戦争を新しい面から見ることができるかもしれません。

子どもの顔のイラストとともに「わたしはこう思ったよ」と感想や意見が書かれていたり、紛争鉱物が使われていそうな身の回りのもの、児童労働・児童婚・子ども兵などが紹介されていたりするのを読むと、戦争が他人ごとではないことを実感します。

また、環境・資源・難民などの問題は、戦争が終わった後も続くということに気づかせてもくれます。

タイトルから受ける印象はやや硬めかもしれませんが、実際はかなり読みやすい本だと思います。問題提起には読みやすいマンガが使われていますし、色遣いはソフトで、図版も多いので、あまり気を張らずに手に取ってみてくださいね。
   

5. 国ではなく「人」に目を向けて『ロシア セミョーン 北の国の夏休み』

ウクライナ情勢に関する子ども向けの本

『ロシア セミョーン 北の国の夏休み』(世界のともだち35)、偕成社 安井 草平 (著・写真) 画像:Amazon

「世界のともだち」は「将来、ともだちになるかもしれない」世界の子どもたちの暮らしを紹介した写真絵本のシリーズです。どの絵本も、子どもたちのいきいきとした表情が魅力的。ロシアの11歳のセミョーンの暮らしも、とても楽しそうです。

ウクライナ侵攻の影響で、日本でも、ロシアにルーツのある人やお店への嫌がらせについて相次いで報道されています。

「ロシア人が、悪いんでしょ?」と聞く子もいるかもしれませんが、当然ながら、政府と、一人ひとりの人間とは、全く別の存在です。こうした絵本をきっかけに、「○○人」とひとまとめにするのではなく、個として接することの大切さを伝え、ほかの人々の置かれた立場に対する想像力を育てていきたいですね。
   

戦争のニュースに不安になっているお子さんのケアについて

ウクライナ情勢に関する子ども向けの本

『おやすみ、ぼく』、クレヨンハウス アンドリュー・ダッド/文 エマ・クエイ/絵 落合恵子/訳 画像:Amazon

連日の報道に、不安を感じる子どももいるでしょう。

日本ユニセフのホームページには、子どもの身近にいる大人が、子どもと戦争について話すときのヒントが掲載されています(「子どもとの対話のヒント 紛争のニュースで感じる不安 否定せず、寄り添って」)。
 
  1. 子どもが何を知っていて、どう感じているかを知りましょう
  2. 落ち着いて、年齢に応じた対応を
  3. 偏見や差別ではなく、思いやりを広げましょう
  4. 支え合う行動に注目しましょう
  5. 会話を終えるときは丁寧に
  6. 見守り続けましょう
  7. ニュースに触れすぎていませんか?
  8. 自分のことも大切に

基本的なことではありますが、忙しくしているとつい後回しにしてしまったり、とっさにできなかったりすることもありますから、一度落ち着いて読んでみるとよいと思います。

また、何より大切なのは、子どもが安全であることを伝えること。『おやすみ、ぼく』は、一日がんばった自分をゆっくりといたわる絵本です。大切な「ぼく」、大切にされる「ぼく」を感じながら、誰もが「ぼく」であることに思い至れるでしょう。
   

戦争・平和・人権について考える絵本

小学生と、「戦争」「平和」「人権」という概念について、考えてみたいときにおすすめの絵本もご紹介します。
  • 『へいわって どんなこと?』
ウクライナ情勢に関する子ども向けの本

『へいわって どんなこと?』、童心社 浜田桂子(著) 画像:Amazon

「平和」「戦争」についての学びの第一歩に、手にとっていただきたいのがこちら。「ばくだんなんか おとさない」「みんなの まえで だいすきな うたが うたえる」など、平和とは何かについて、じっくりと考えるきっかけを与えてくれる絵本です。
 
  • 『もっとおおきなたいほうを』
ウクライナ情勢に関する子ども向けの本

『もっとおおきな たいほうを』、福音館書店 二見 正直 (著) 画像:Amazon

川の魚をめぐって争う王様とキツネが、お互い負けないよう、どんどん大砲をつくっていく、そのエスカレートぶりがおもしろい絵本です。読んであげると子どもたちは大笑いしますが、「もっともっと」と歯止めがきかなくなっていく様子が、現実とリンクするようで、恐ろしくもあります。
 
  • 『せんそうしない』
ウクライナ情勢に関する子ども向けの本

『せんそうしない』、講談社 谷川俊太郎 (著)江頭路子(イラスト) 画像:Amazon

「ちょうちょと ちょうちょは せんそうしない」「こどもとこどもは せんそうしない」「けんかはするけれど せんそうしない」― 詩人・谷川俊太郎さんの「せんそうしない」というシンプルなことばが、まっすぐ心に飛び込んできます。この絵本を読んだ感想を、大人として、お子さんと話してみてください。
 

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