配偶者(特別)控除の「区分1」と「区分2」欄には何を記入する?
近年の確定申告用紙には税金の申告漏れを防ぐ目的で、「区分」という欄が設けられるようになっています。確定申告書の「配偶者(特別)控除」(配偶者控除・配偶者特別控除)の欄にも「区分1」と「区分2」を記入する箇所が設けられています。ここではその区分欄に何を記入すればいいのかについて解説します。
対象となる配偶者が、配偶者特別控除の対象であれば「区分1」に「1」を記入
配偶者控除・配偶者特別控除の「区分1」欄でポイントとなるのは、対象配偶者が配偶者控除の適用になるのか、あるいは配偶者特別控除の適用になるのか、という点です。以下のように配偶者特別控除に当てはまる場合のみ記入が必要ということです。
- 配偶者控除の場合、「区分1」の□には何も記入しない
- 配偶者特別控除の場合、「区分1」の□には「1」と記入する
年収の要件としては、配偶者控除は年収103万円以下の配偶者がいる場合に適用されますが、配偶者特別控除は年収103万円超201万6000円未満となりますので、「配偶者控除は適用不可でも、配偶者特別控除は適用OK」である人は多いのではないでしょうか。 したがって、年収103万円超201万6000円未満の配偶者がいる場合には、確定申告書の配偶者(特別)控除の欄にある「区分1」の□に「1」と記入します。
配偶者が国外に居住している親族である場合は「区分2」に記入する
配偶者控除や配偶者特別控除の対象となる人が国外居住親族である場合には「区分2」の記入にも注意が必要です。国外に居住している配偶者について、配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けようとする場合は「親族関係書類」及び「送金関係書類」を確定申告手続き時に添付または提示する必要があります。
ただし、すでに年末調整等で、申告する本人の勤務先に書類を提出、または提示した場合には、これらの手続きについて省略することができます。
国外に居住している配偶者に関して、「区分2」の記入が必要とされるのは以下の場合です。
- 「親族関係書類」及び「送金関係書類」の両方を申告する本人の勤務先に提出・提示していない場合は「区分2」の□には「1」と記入(確定申告書と一緒に「親族関係書類」及び「送金関係書類」を税務署に提出する)
- 「親族関係書類」及び「送金関係書類」の両方をすでに、年末調整等で申告する本人の勤務先に提出・提示している場合は「区分2」の□には「2」と記入
親族関係書類・送金関係書類とは?
配偶者控除も配偶者特別控除もその親族要件には民法の規定による配偶者であることがもとめられていますので、それを確認するための「親族関係書類」として以下のようなものを提出する必要があります。- 戸籍の附票の写しその他の国または地方公共団体が発行した書類あるいはパスポートの写し
- 国外居住親族の氏名、生年月日及び住所または居所の記載がある外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類
さらに「送金関係書類」を税務署に提出することによって、その配偶者が国外に住んでいても、確定申告をする人と同一生計であることが証明できます。「送金関係書類」とは、本当に生活費の仕送りをしているかを確認する書類となるので、具体的には以下のようなものとなります。
- 申告する本人から国外居住親族へ、為替取引で送金したことを明らかにする金融機関の書類またはその写し
- 国外居住親族がクレジットカードを使って商品等購入するが、そのクレジットカードの支払いをするのが申告する本人である場合、それを明らかにするクレジットカード発行会社の書類またはその写し
この「親族関係書類」と「送金関係書類」によって、税務署は、申告する本人が国外に居住する配偶者を本当に扶養しているのかチェックしているということになります。このように、国外居住配偶者であっても要件を満たせば、配偶者控除、あるいは配偶者特別控除の適用を受けることが可能です。忘れずに記入するようにしてください。
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