腰痛で安静にしたら痛みが悪化……足首の硬さも要因に
腰痛で安静にしていたらさらに痛みがひどくなってしまった……そんな経験はありませんか?
足首と腰痛の関係……足首の硬さで変わる体の状態
なぜ、足首の硬さが腰痛に関連するのでしょうか。足首は体を支える土台であり、足底と地面との接点として考えることができます。足首の状態によって体が受ける影響を、建物の「免震構造」「耐震構造」に例えて考えてみましょう。足首が柔らかい状態の体は「免震構造」の建物に似ています。地面から体にかかる力は分散され、体幹などの上層部はさほど影響を受けません。一方、足首が硬い状態は体は「耐震構造」に近いです。地面から受ける力がダイレクトに上層部に伝わるため、体重がかかる部分である「荷重関節(かじゅうかんせつ)」に負荷がかかりやすくなります。
大きな力に負けないだけの筋力が備わっていればよいのですが、筋力不足や姿勢の悪さでその力を受け止めてしまうと、腰などの体幹部に強い力が加わり、痛みを引き起こされてしまいます。
足首の硬さの原因……生まれつきではなく生活習慣も影響
足首が硬い原因は生まれつきではなく、日常生活も影響します。私たちは日々何かしら体を動かしていますが、人間の体の機能は使うことで維持・向上される一方、使わない機能は衰えていくという特徴があります。そして、日本人の体の動きを大きく変えたものの一つがトイレです。昔のように和式トイレが一般的だった時代は、日本人は年齢に関わらず、一日に何度もしゃがみ込む動作をしていました。スクワットに近い動作が日常生活に取り込まれていたことで、足首や股関節にはとてもよい影響があったと考えられます。しかし最近は和式トイレはほとんど見なくなりました。日常生活でしゃがみこむ動作が不要になったことも、現代人の足首の硬さにつながっていると考えられています。
言い換えれると、足首を大きく動かす動作を日頃から意識して行えば、足首の硬さは改善が期待できるということです。
足首の硬さのセルフチェック・改善法
十分なスペースを確保しながらムリのない範囲でチェックしてみましょう
足首の硬さはその場にしゃがみ込むだけでチェックすることができます。しゃがみ込むときに後ろに転ばないように注意しましょう。なるべく広いスペースを確保し、できる範囲で行います。体の前に固定されたものがある場合は、それをつかみながら行うようにすると安全です。深くしゃがみ込むことができたら、手を後ろに回してもその状態を維持できるか確認してみましょう。
足首が硬い場合、足首周辺の筋肉が硬くなっていると考えられますので、ふくらはぎのストレッチや足の甲を伸ばすすねのストレッチなどを日課にしましょう。すねのストレッチは入浴時に湯船で正座しても構いません。水中では浮力が働くため、無理なく行うことができます。20~30秒ほど正座をすると、足の甲とすねの筋肉が伸ばされます。また足指と手指をそれぞれの指の間にはさんでお互いを握り、もう片方の手で足首を抑えながら、ゆっくり足首を回すことも硬さの改善につながります。
普段から腰痛に悩まされている方は、足首の硬さもチェックして、できることから改善してみてくださいね。
■参考
- 基礎から学ぶ スポーツセルフコンディショニング 西村 典子著/日本文芸社