2022年に行う確定申告から事業・不動産の収入欄に区分欄が追加されました
2021年分(令和3年分)確定申告つまり2022年(令和4年)に行う確定申告は、確定申告書の書式に変更されている点があるので注意が必要です。通常、自営業をしていて事業収入のある人や、アパート・マンション等からの家賃などの不動産収入のある人は「確定申告書B様式」を活用することになります。
令和2年分確定申告書B様式の収入欄と令和3年分確定申告書B様式の収入欄を比較すると事業収入の【ア】営業等と【イ】農業に区分欄が、不動産収入【ウ】に区分欄1と2がそれぞれ追加されていることがわかります。 ここでは事業収入・不動産収入がある確定申告対象者が、この欄にどういった事項を記入するのかを解説します。
事業収入の区分欄に記入することとは?
まず事業収入の【ア】営業等と【イ】農業の区分欄には、記帳・帳簿の保存方法について、あてはまる「1」~「5」までのいずれかの番号を記入しなくてはなりません。2020年分(令和2年分)までの確定申告においては、この番号を記入する必要はありませんでした。2021年分(令和3年分)からは、番号の記入が必須となります。
- 電子帳簿保存法の規定に基づき、税務署長の承認を受けて、総勘定元帳、仕訳帳等について電磁的記録等による備付け及び保存を行っている場合には「1」を
- 「1」に該当する場合を除き、会計ソフト等の電子計算機を使用して記帳している場合には「2」を
- 「1」および「2」に該当する場合を除き総勘定元帳、仕訳帳等を備え付け、日々の取引を複式簿記に従って記帳している場合には「3」を
- 日々の取引を複式簿記以外の簡易な方法で記帳している場合には「4」を
- 記帳の仕方が分からない、あるいは上記のいずれにも該当しない場合には「5」を
令和3年分確定申告の手引き
青で囲んだ箇所に「1」~「5」までのいずれかの数字を書く必要があると覚えておいてください。
不動産収入の区分欄に記入することとは?
次に、不動産所得の【ウ】欄(先ほどの画像の赤で囲んだ箇所)についてですが、「区分1」の□には、令和2年度税制改正で創設された「国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例」の適用がある場合には、「1」を記入します。この制度は、ザックリ説明すると、国外中古建物の減価償却費を使った「不動産所得の損失をなかったものとする」税制上の決まりです。国外中古資産は築年数の関係から減価償却費の簡便法を活用すると減価償却を多めに計上でき、さらに経費として計上することで節税効果があったのです。この節税策を防止するために、2021年分(令和3年分)以降は、この特例を創設することで、損益通算を不可とすることにしました。
国税庁としては、税金の申告漏れを防止するため、この特例にあてはまる人は「区分」欄で申告してもらうということにしたのです。この特例にあてはまらない人は、区分欄に何も記入する必要はありません。
また、【ウ】欄の「区分2」の□には、2021年分(令和3年分)の記帳・帳簿の保存の状況について、「1」~「5」いずれかの数字を記入するのは事業所得と同様です。
- 電子帳簿保存法の規定に基づき、税務署長の承認を受けて、総勘定元帳、仕訳帳等について電磁的記録等による備付け及び保存を行っている場合には「1」を
- 「1」に該当する場合を除き、会計ソフト等の電子計算機を使用して記帳している場合には「2」を
- 「1」および「2」に該当する場合を除き総勘定元帳、仕訳帳等を備え付け、日々の取引を複式簿記に従って記帳している場合には「3」を
- 日々の取引を複式簿記以外の簡易な方法で記帳している場合には「4」を
- 記帳の仕方が分からない、あるいは上記のいずれにも該当しない場合には「5」を
「区分」欄にも関係する、青色申告特別控除65万円が適用されるための注意点
個人事業主の場合には専従者給与を支給している場合や青色申告特別控除を適用している場合も多いのではないでしょうか。この場合には、確定申告書の「その他」の欄の、専従者給与(控除)額の合計額と、青色申告特別控除額を忘れずに記入しましょう。 たとえば青色申告特別控除65万円の適用要件は、複式簿記で記帳すること、損益計算書および貸借対照表を添付すること、e-Taxで申告を行う、電子帳簿保存を行っていること、すべての要件を満たさないといけないので、事業収入欄【ア】欄または【イ】欄の「区分」と不動産収入【ウ】欄の「区分2」の□には最低でも「1」から「3」のいずれかが記入されることになります。事業所得・不動産所得がある人にとって、確定申告書の様式上の大きな変更点となりますので、以上の点に注意してください。
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