スポーツトレーナーとアスレティックトレーナーの違い・資格
アスレティックトレーナーはスポーツを行うすべての人の健康管理を担う
「スポーツトレーナー」は主に選手のフィジカル面のコンディションをサポートする役割を持っています。選手の日常的なトレーニング指導はもちろん、ケガ予防や応急処置からリハビリ、スケジュール管理なども行います。主にフィジカル面と書きましたが、メンタル面のサポートも行います。
一方で、現在の日本では「トレーナー」という国家資格はありません。スポーツトレーナーはそれぞれの得意分野を活かして活動しているのが現状です。鍼灸師や柔道整復師などの医療資格を持って、施術を中心に活動するトレーナーもいれば、トレーニング指導に精通し、選手のパフォーマンス向上を支えるトレーナーもいます。
その中でも「アスレティックトレーナー」は、スポーツ現場における健康管理の専門家として教育を受け、スポーツ現場に限らずさまざまな場所で活動をしています。日本では日本スポーツ協会の管轄のもと、公認アスレティックトレーナー制度が確立されています。
アスレティックトレーナーの資格・専門性・役割
アスレティックトレーナーは国家資格を持つ医療従事者ではなく、あくまでも運動・健康管理の専門家として活動します。その役割は大きく以下の4つです。- スポーツ活動中の外傷・障害の予防
- 医療資格者に引き継ぐまでの救急対応
- コンディショニング※1やリコンディショニング※2
- アスリートの安全と健康管理
※1)より高い競技能力の発揮に必要なすべての要因を望ましい状態に整えるための働きかけ
※2)ケガや体調不良などの状態から、競技能力の発揮に必要なすべての要因を再び望ましい状態に整えるための働きかけ
これら4つの役割に関する知識や実践する能力を活用し、スポーツをする人の安全・安心を確保した上で、パフォーマンスの回復や向上を支援する指導者と定義づけられています。そして活動する場は競技スポーツにとどまらず、学校などでの運動支援や地域のスポーツクラブ、スポーツセンターなど、スポーツ活動を行うすべての人々を対象としています。
スポーツ障害・ケガ予防、セルフコンディショニングの啓蒙も大切な役割
スポーツ現場ではケガを予防するためのウォームアップやクールダウンも担当する
さらにセルフコンディショニングといって、スポーツを行う人が自ら体調(コンディション)を整え、必要なエクササイズを実践することでケガの予防につながることもあります。こうしたセルフコンディショニングの知識や実践方法などを教育・啓蒙活動することもアスレティックトレーナーの役割の一つです。
健康管理の専門家であるアスレティックトレーナーはアスリートのみならず、スポーツや運動をする人にとって身近な相談相手となることが望ましいものです。アスレティックトレーナーが皆さんの運動・スポーツ活動の支えとなれるように、これからもその専門性を活かしていきたいと思います。
■参考書籍
- 「アスレティックトレーニング学」広瀬統一ら編集/文光堂 2019年