お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

35歳、貯金450万円。子どもの大学までの資金、老後の資金が大丈夫なのか不安で仕方ない(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、教育資金、老後資金について悩みを抱えている35歳の主婦の方。夫の残業が減り、大きく減収となる可能性があり、つい他の家庭と比較して、不安が膨らんでしまうとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 まずは家計の支出を見直し貯蓄ペースを上げる

ご主人の減収の可能性があり、今後が不安とのこと。まずは現状から見ていきましょう。
 
現在の世帯収入は月35万円。対して支出が月25万4000円ですから、計算上は9万6000円の黒字となります。ただし、データには「老後用の定期預金」の積立分を含むと、毎月の貯蓄額は月4万5000円。したがって、約5万円の行方が不明です。
 
この金額は、年間では60万円にもなります。まずはこの部分の明確にする必要があります。自然に貯まっている可能性もありますが、何かに支出しているなら、その内訳と、本当に必要な支出かどうかを判断して、もしそうでないならきっちり貯めていくことが大切です。
 
ここでは、頑張って毎月7万円+「老後用の定期預金」1万円を貯めていくこととします。ボーナスからの貯蓄は現在、年間29万円ですが、予備費10万円は全額使わないこともあるわけですから、これも節約を意識して、年間40万円を貯蓄に回します。結果、年間の貯蓄額は124万円(「老後用の定期預金」は除く)ですから、ご主人が定年となる60歳までの22年間で計2728万円。これに今ある貯蓄400万円、投資商品が50万円(評価額の増減はないとする)、「老後用の定期預金」の300万円、保険の満期金の360万円、前倒しですが個人年金保険の年金総額420万円を加えると、合計でおよそ4250万円。
 
ここから、その間に発生する大きな支出を差し引きます。まず、教育費ですが、高校まで公立、大学が私立として、ざっと1000万円(高校までの学校外教育費を含む)。ただ、先の試算に、ボーナスから年間20万円の教育費をすでに計上しているので、22年間で440万円。これを差し引くと560万円が新たに必要となります。しかし、高校が私立だと学費がアップしますし、東京や他県の大学に通う場合、仕送りも必要になります。それを考慮すると、新たに1000万円程度必要になる可能性もあります。
 
クルマについては、今後は2台とも軽自動車にするとのことで、60歳までに3~4回、買い替えをするとして、予算は400万円としました。あとは住宅のリフォームや修繕、さらにお子さんの成長に合わせて、生活費も増えていくでしょう。冬期は暖房費がアップもします。その予算を、ざっとですが300万円とします。
 
これで、新たな支出として計1700万円がかかるとすれば、60歳の時点で2550万円が手持ち資金として確保でき、これに退職金を加算した額がすなわち老後資金となります。
 

アドバイス2 他人と比較して過剰に不安になることは逆効果

では、ご心配のように残業がなくなり、手取りが月5万円減額となったらどうでしょうか。もっともきびしいケースとして、それが定年まで続くと、単純計算で1300万円ほど、貯蓄が減ることになります。そうなると、老後資金は1250万円+退職金となります。
 
ご主人60歳以降の生活費ですが、個人年金保険の保険料がなくなります。それ以外の生活費がデータどおりなら、月24万4000円。ボーナスから捻出していた生活コストのうち、固定資産税とクルマの維持費を月割りで加算すれば、月26万4000円。そして、公的年金の支給となる65歳までの5年間、この生活費に対して赤字を出さない程度に、ご夫婦で働くことができれば、65歳まで先の老後資金を取り崩すことはありません。
 
65歳以降の生活費ですが、住宅ローンが完済となるので、月18万円程度に減ります。であれば、ご夫婦とも厚生年金加入ですから、公的年金だけで生活費をまかなうことは可能と考えます(妻の年金支給は夫の3年後となりますが、その分は、パート収入でカバー)。であれば、1250万円+退職金は、生活費以外に予備費(住宅のリフォーム、医療・介護費用)に回せますが、それも一般には十分足りる額といえるでしょう。
 
また、60~65歳まで、赤字を出さない程度の収入が確保できないことも考えられます。この間、例えば月3万円の赤字だと、5年間で180万円。この程度なら、先の老後資金から余裕を持って捻出できますし、あるいは65歳以降の生活費を抑える、元気であれば65歳以降も働くなど、老後資金の調整にはいろいろな選択肢が残っています。
 
結果、残業がなく定年まで減収となった場合を想定しても、教育資金、老後資金ともに、心配する必要はほぼないと考えられます。途中、児童手当の支給がなくなりますが、その分、昇給でカバーできるでしょうし、想定した減収が今後定年まで22年間続くことも考えにくいでしょう。であれば、他人と比較して過剰に心配することは、不安やストレスが膨らむだけで、意味がありません。自信をもって資金づくりをしてください。
 

アドバイス3 住宅ローンの借り換えは効果大

ただし、注意点もあります。
 
最初に触れましたが、家計で不明な部分や使途不明金を出さないよう、家計管理をしてください。それが明確になり、不要な支出がなくなれば、月8万円の貯蓄は可能だと思います。減収によって貯蓄ペースが落ちるのは仕方ありませんので、今はこの金額を目標にしてください。逆に、このような家計管理がままならないと、減収となったとき、少なくとも老後資金はきびしくなるかもしれません。
 
加えて、保険料が月4500円のご主人加入の保険にどの程度、死亡保障が確保されているのか、確認しておきましょう。現時点で主に教育費を補うという目的で、1000万~1500万円確保できていればいいと思います。
 
また、住宅ローンですが、借入額と返済額から金利を割り出すと、返済期間が30年なら2.8%ほど、35年なら3.5%近くになります。いずれにしても高過ぎますので、もしこの金利で間違いないなら、借り換えをお勧めします。
 
現在、全期間固定(フラット35)への借り換えでも、金利は1.3%前後。仮に、30年返済で組んでいる場合、現時点で1.3%のローンに借り換えると、毎月の支払額は6万7000円程度になり、支払利息は総額で500万円前後は下がります。借り換えによる手数料が発生しますが、借入額と返済期間から見て、50万~70万円。それを支払っても、十分効果が得られます。金融機関に相談してみてください。
 

相談者「タチはるん」さんから寄せられた感想

細かく指摘していただき、ありがとうございます。まずは、使途不明金を明確にして、焦らずに、怖がらず楽しみながら生活していきたいと思います。

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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 

 
 

 

 

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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