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アメリカと日本の学生インターンの違いとは? 人材コンサルタントが日本のインターンの未来を語る

就活を控えた大学生にとって、夏は忙しい季節である。なぜなら日本の学生インターンシップ(以後、インターン)は、毎年4月頃から増え始め、8月にピークを迎えるからだ。その後も翌年の3月までインターン選考・参加は続く。

人気の大手企業では、インターンへの応募が殺到し、応募しても参加できない学生が多数いる。多くの企業のインターンに応募したにもかかわらず、連戦連敗で、就活初期にして心が折れている学生もいる。本稿では、日本のインターンの実態、そしてアメリカを例に見る就業体験を基本としたインターンの必要性について考察する。
 

アメリカでは有給の中長期インターンが主流

海外の大学生にとって、インターンはどのように活用されているのか。就業体験を積みたい学生のニーズは、どの国でも大差はない。

例えばアメリカでも、インターンに参加する学生はたくさんいる。インターンを経験することが採用に近づく点は、日本とも共通点がある。ただし、アメリカの場合は多くのインターンが中長期で実施されており、さらにインターンの機会を学生に提供する企業の多くはインターン自体を労働とみなし、その対価として給料を支払うことが多い。パフォーマンスが悪ければ、途中でインターンをクビになることもある。

有給であるからこそ、任される仕事には高いパフォーマンスと仕事をやり遂げる責任が求められる。企業と学生双方にとってコミットメントが大きい分、インターンから得られるリターンも大きい。期間も長いものが多いため、インターンの掛け持ちには限界がある。

有給の中長期インターンを通じて会社に貢献した学生が本採用になることが多いことから、学生は真剣にインターンに参加し、自分が会社に貢献できることを証明するために仕事を通してアピールをするのである。有給インターンのおかげで、学生達は就職活動の間にアルバイトをする必要もない。学生と企業、双方にメリットがある制度だとみなされている。

ゆえにアメリカでのインターンは競争率が高く、選抜されたこと、そして仕事を最後までやり切ったことは企業から高く評価される。

日本のインターンも競争率が高いが、それは同時期に多くの学生が人気企業に対して一斉にインターンに応募すること、また日本では就業体験や職場体験を伴わない1dayインターンなどが多く、当該企業への志望度が低い学生でも、お試しで気軽にインターン参加を希望することなどが原因である。
 

日本では無給の短期インターンが主流

実は、アメリカでも半数近くの企業がインターンに参加した学生に給与を支払わない無給インターンを実施しているのが実情であることも指摘しておきたい。インターンをしても採用の確約もなく、また若い学生にタダ働きを強制しているのではないかと、社会問題化している現実もあるのだ。

日本の場合、ほとんどのインターンは無給インターンであり、これが社会問題化することはほとんどないのが実態である。企業が学生に対してインターンを通じての会社貢献を期待していないのである。

会社説明会(会社の宣伝)や、課題を出して学生にグループワークをさせること(学生を選別する)が日本流のインターンであるため、学生の多くは、十分な時間をかけて就業体験や職場体験ができないままに就職するのが現状である。この結果、企業と学生のミスマッチを起こし、早期退職に繋がっているという指摘もある。

多様な働き方やグローバル化が進む中で、このような日本独自のインターンの慣習は今後も続くのだろうか。長期化するコロナ禍は、人々の働き方や就業意識を変えつつあるが、日本のインターン制度も曲がり角を迎えているかもしれない。次に、日本のインターンの未来について考えてみることにしよう。
 

コロナ禍の長期化がインターンを戦力化するきっかけになる

「就活はインターンから始まる」という考えが就活生に広く定着している。企業がインターンを受け入れるのは、学生に就業体験や職場体験の機会を提供することが社会貢献につながるからだ。ほかにも、若い学生を受け入れることで職場に活気が生まれることや、若手社員が受け入れた学生を指導することでリーダーシップやマネジメント経験を積めることなどをあげる企業もある。

もちろん、これらの理由はどれも正論であるが、人材不足が深刻で、資金的な余裕のない中小企業などでは、例えば前述のアメリカの事例のように、有給インターンを会社の事業発展、そして業務改善のための戦力として積極的に活用することは検討できないだろうか。

インターンを若い労働力とみなし、中長期にわたって一定の業務に就かせることは、さまざまな問題を抱える中小企業にとってプラスであるかもしれない。もちろん学生にとって学業との両立が前提だが、現状は在宅勤務やオンライン会議など、社員の働き方の柔軟性は高まっているため、学生に就業体験や職場体験をさせる有給インターンを実施する方法は増えている。コロナ禍によって、正社員の在宅勤務を管理することにも慣れてきた頃だろう。

学生にとっても、就業体験を伴うインターンはメリットがある。実際の仕事の実態や組織風土を理解しないまま、イメージだけで入社しても、現実とのギャップに幻滅する時期は思いのほか早く訪れるものだ。有給の中長期インターンについて、積極的に導入することを検討する時期が来ているのではないだろうか。

日本でもインターンが導入された初期の頃は、アメリカでの導入事例をもとに学生に就業体験を十分に積ませ採用のミスマッチが起きないよう、中長期にわたりインターンを実施することが検討されていた。インターンは、学生に企業や業界研究、そして特定の職業や職場への適性について深く自己分析させることが目的だった。さらに、インターンが若い労働力となり、会社の発展や業務改善に貢献し、会社を活性化させることも期待されていたのである。

しかし、学生を確保したい企業間の競争が激化する中で、インターン本来の目的から少しずつずれていき、1日の会社説明会やグループワークだけというような名ばかりのインターンシップが大勢を占めるようになっていったのである。

こうした日本のインターンの実態を受け、日本政府はどのような対策を講じようとしているのか、最後にその経緯を簡単に整理することにしよう。
 

インターンの普及と質の充実に向けた日本のインターンの未来とは

インターンの推進に向けて、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の連名で発表されたインターンの基本的な考え方について、その重要なポイントを整理してみよう。

簡単に言えば、インターンが学生の本分である学業に影響がないよう、インターンの早期化(低年次を対象としたインターンの実施)や長期化(授業に学生が出られなくなるような時間帯での実施、または長時間、長期間での実施)を控えるよう、企業に対して要請している。そのうえで、インターンに関しては主に以下の二つの議論がある。

一つは、大学等でインターンを単位化した科目を充実させることである。これは海外の大学では一般的に運用されており、成功事例も多い。大学等の専門教育と社会とのつながりを明確化させるなどさまざまなメリットがある。

一方で、既存のカリキュラムの再設計が進まず、インターン科目の学生利用が広がらないことも課題となっている。単位化される以上、インターンの内容についても、その教育効果を評価・分析する体制が必要であり、企業と教育現場が協議を重ねることができるか、ここに現状の課題がある。

二つ目は、インターンをどのタイミングで、どの程度経験することがいいのかについての議論である。例えば、大学等の低年次から始め、高学年に向けて順を追ってより高度な内容で、より中長期的なインターンを経験できるよう段階的な高度化を実現する案がある。

実施期間について、連続した5日間以上の就業体験をさせることが一定の教育効果を担保できるとの、政府機関からの要請もある。

もちろん5日間のインターンだけではアメリカやその他の海外の事例にはるかに及ばないが、日本の現状を踏まえれば、連続した5日間の就業体験を実現することは、当面の現実的な目標となるに違いない。

明確な就活スケジュールが組まれ、大学や高校卒業とともに、多くの学生が4月から新卒として就業できる日本の就活生は、それが必ずしも存在しない海外と比べ恵まれている面もあり、海外の学生から羨まれることもある。日本のインターン制度が新しい形態に変われるかどうか、今後の変化に注目していきたい。
 

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