「かかりつけ医」がいない……どうやって決めるべき?
予防接種やちょっとした不調の際、頼れる「かかりつけ医」がいると安心です
かかりつけ医とは? 定義・役割
日本医師会の定義によると、かかりつけ医とは「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」とされています。「かかりつけ医機能」として期待されているのは、次のような役割です。
かかりつけ医は、日常行う診療においては、患者の生活背景を把握し、適切な診療及び保健指導を行い、自己の専門性を超えて診療や指導を行えない場合には、地域の医師、医療機関等と協力して解決策を提供する。
かかりつけ医は、自己の診療時間外も患者にとって最善の医療が継続されるよう、地域の医師、医療機関等と必要な情報を共有し、お互いに協力して休日や夜間も患者に対応できる体制を構築する。
かかりつけ医は、日常行う診療のほかに、地域住民との信頼関係を構築し、健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健等の地域における医療を取り巻く社会的活動、行政活動に積極的に参加するとともに保健・介護・福祉関係者との連携を行う。また、地域の高齢者が少しでも長く地域で生活できるよう在宅医療を推進する。
欧米ではファミリードクターがかかりつけ医にあたるものかと思います。欧米では、総合病院(Hospital)にはエマージェンシールーム(ER)以外、ファミリードクターの紹介なしで直接訪れることはほとんどなく、病気になったら、まず自分のファミリードクターに連絡を取るのが一般的です。日本でも、自分だけでなく家族を含め、かかりつけ医がいることは一つの安心になると思います。患者や家族に対して、医療に関する適切かつわかりやすい情報の提供を行う。
かかりつけ医がいるメリット・家族ぐるみで相談できる利点も
総合的な医療機関は、内科、小児科など細分化されています。例えば、小児科で成人の薬を出すことはあまりありませんので、小児科に子供をつれてきた親が、自分に同様の症状が出ている場合も、改めて自分の分を内科で受付して受診する必要があるなど、組織が大きいほど受診がスムーズにいかず、時間がかかることがあります。私自身も小児科医ですが、保護者の不調について相談を受けることもあります。家族ぐるみで受診でき、専門外のことも相談できる点も、かかりつけ医のメリットといえるでしょう。
信頼できるかかりつけ医がいれば、家族の状況を含めて相談・診療ができ、病気以外の不安などについても相談しやすいでしょう。かかりつけ医がいない場合、医学的な知識に基づいたアドバイスがほしいときなどに医師に相談する機会はなかなか持てないのではないでしょうか。
かかりつけ医の作り方……信頼関係が築ける医師を見つける方法
しかし実際には、普段健康で持病もなく、かかりつけ医がいないという人も少なくないかもしれません。かかりつけ医を探したい場合、家か勤務先に近く、自分が時間を見つけて受診しやすい医療機関を探すことから始めましょう。定期受診が必要な慢性疾患がある場合はもちろん、ちょっとした不調を相談したいときに立ち寄れる場所がよいと思います。
また、他の人間関係と同様、医師と患者さんにも合う・合わないがあると思いますので、信頼関係ができるかどうかが一番大切です。訴えをしっかりと聞いてくれるか、質問に適切に答えてくれるか、専門外の相談の場合は専門の医師を紹介してくれるかどうかなどもポイントになります。
もし継続的に同じ医師を受診することが難しい場合、受診しやすい医療機関に紹介してもらうのもひとつの方法です。
健康で病院と無縁な人は、予防接種や健診の場も活用を
普段健康な人は、医者いらずということもあるかと思います。予防接種などで受診したときに、その医療機関の対応を見ておくのもいいでしょう。自分におきやすい不調によって、呼吸器、循環器などの専門性が必要と思われる場合は、その専門医を持っているかどうかも見てみるといいでしょう。特殊な例ですが、私自身は、医師であるためか自分自身がかかりつけ医になっています。しかしそれでも、自分の専門外については、他の専門の先生にお願いするしかありません。自分の専門外のことについてはしっかりと紹介してくれる先生がいいかもしれません。