転職のノウハウ

20代30代がなるべく早く、納得のいく仕事・働き方を実現するには

20代30代ができるだけ早く「自分が納得のいく仕事・働き方」を実現するための準備の進め方について、人材コンサルタントの小松俊明が解説します。誰しも自分の働き方に対して「もっとこうありたい」という思いがあるのではないだろうか。それを実現するには?

小松 俊明

執筆者:小松 俊明

転職のノウハウ・外資転職ガイド

自分が納得のいく仕事や働き方を実現するには?

自分が納得のいく仕事や働き方

若手社員の理想の働き方実現を人材コンサルタントが解説

理想の仕事とは何か。残業時間が少ない、上司に恵まれ職場の人間関係がいい、待遇がいい、評価が公平である、やりがいを感じるなど、理想の仕事のとらえ方は人それぞれ違う。一方、これらが一つでも満たされない時、それは仕事の悩みとなることが多い。

よって、まずは目先の悩みの解消が理想の仕事への第一歩である。つまり、特別な理想の仕事を思い描けなくても心配はいらない。まずは日々の仕事の地道な改善をすることが理想の仕事に自らを導いてくれるのである。
 
<目次>
 

理想の仕事に大切な「納得感」

理想の仕事のあり方をもう少し掘り下げてみると、次のような言葉を聞くことも多い。たとえば、社会に貢献したい、人から感謝されたい、経験や実績を積みたい、スキルを身につけたい、自己成長したいなどである。

これは、仕事を通して自らの能力を向上させ、人や社会の役に立ち、特別な経験を積みたいという声である。例えばインフラを整備する仕事をして後進国の発展に貢献したいなど、スケールが大きく、一人の力では到底取り組めない仕事を指すこともある。仕事で、地球の裏側まで商品を仕入れに行くなど、旅行では行くことができない特殊な場所まで足を運び、普通なら知り合えない人と出会うことにロマンを感じる人もいることだろう。

一方、感受性や向上心には個人差やタイミングによる違いがある。やる気がわかない、何事もうまくいかない、倦怠感や劣等感を感じるなど、前向きな気持ちになれない時期もあるはずだ。そのような調子があまりよくない時にでも、理想の仕事を求めてもいいことを指摘しておきたい。

なぜなら、理想の仕事とは、他人比較をして評価するものではないからだ。大切なことは「今の状態に、自分がどれだけ納得できるか」、そこが注目すべきポイントなのである。体調が悪い時に大きな成果が出せなくても、「現状でこれだけできればまずまずである」という納得ができれば、それも今の自分にとっては理想に近い状況下で仕事ができているといえるかもしれないということだ。

「自分は理想が低い」という人がいるが、それも構わない。少量の食事でも満足できる人もいるし、満腹まで食べたい人がいる。理想の仕事とは、自分が納得できることを優先して、自分で感じ、決めればいいのである。

逆に、他者から見れば恵まれている人でも、本人が満足せず、納得できずにいれば、それは理想の仕事とは程遠いのかもしれない。おそらく転職して職場や仕事内容を変える場合の多くは、本人の納得感が下がっている状態で起こす具体的アクションである。他人から見れば恵まれているようでも、本人が納得しない限り、転職を繰り返すことになる。理想の仕事を求める過程では、いかに「納得感」が大切か、転職市場の動向に注目すれば、そのことがよくわかってくる。
 

年齢とともに変わる理想の仕事のカタチ【20代】

なぜ人は「理想の仕事」を追い求めるのだろうか。次に話をしておきたいのが、「理想の仕事のカタチは年齢とともに変わる」という視点である。筆者は現在50代であるが、自分が職業人として通過した20代、30代、40代では、それぞれ理想の仕事のカタチが変化してきたことを自ら実感している。この点は多くの人が共感するポイントかもしれないため、世代別に変化する理想の仕事のカタチについて整理してみよう。

■20代の理想の仕事とは
20代の理想の仕事とは、「できるだけ早く成長できる仕事を経験すること」ではなかろうか。たとえば、自分の実力以上の仕事に挑戦できれば、自らの成長が早まることがある。単調で繰り返しの仕事よりも、いろいろ新しい経験をすることができれば、それは20代にとって理想の仕事なのではないだろうか。仮に失敗しても傷が浅く、失敗から学ぶチャンスが与えられることも多い。

しかし、それとは裏腹に下積み時代の20代の仕事の多くは、既に方向性が確定している繰り返しの仕事を下請け的にやらされることが多いものだ。そうした仕事は、リスクが少ないかわりに変化も少なく、いわゆる難易度の低い仕事であり、若手にとって実力相応の仕事であることが多い。

ここに理想と現実のギャップを感じ、特にやる気にあふれた20代のビジネスパーソンにとって、日々の仕事から得られる納得感が低くとどまることがある。筆者の場合、若手時代の仕事を振り返った時、自らの未熟さや経験・実力不足であったことは自覚しつつも、一方で日々の単調な仕事に刺激を持てず、業績の安定した大手企業を20代後半に辞めてしまった経験がある。私と同様の行動をした人、もしくは会社を辞めるまではしなかったものの、同時期に同じ悩みを持ったという人はいるのではないだろうか。

■20代の理想の仕事実現のための働き方とは
では20代で理想の仕事(例:自己成長を実現させる仕事)を得るためにはどうしたらいいのかについて考えてみよう。この年代は、あまり仕事の選り好みをせず、どんな仕事でも挑戦する姿勢でいることが、まずは大切ではないだろうか。そして、どの年代とでも気軽にコミュニケーションができることも、自らのチャンスを広げることが多いだろう。

たとえば先輩社員や上司の多くは、20代のビジネスパーソンに対してジェネレーションギャップを感じていることが多いため、20代の若手が上の世代とうまくコミュニケーションをとれることは、本人に対する好評価につながる可能性がある。

もちろん、ジェネレーションギャップを感じるのは、むしろ若い世代かもしれないため、これは容易なことではない。自分から働きかけることが難しい場合は、まずはいつもよりも相手の話に対して、素直な気持ちになって聞いてみることから始めてもいいだろう。話の内容に反発を感じたとしても、なぜ相手はそのような話をするのか、一度相手の立場で考えてみれば、見え方や理解の仕方に変化が生まれる可能性がある。

また、一つ上の世代である30代のような働き方ができれば、より理想的な働き方に近づくことができるかもしれない。仕事には、常に他者からの期待が存在する。相手の期待を先読みし、その実現を先取りすることで、相手の満足度や納得感が増し、その影響はあなた自身の満足度や納得感にも反映する可能性が高い。一度は試してみる価値があるだろう。
 

年齢とともに変わる理想の仕事のカタチ【30代】

30代は「自由裁量」。同世代との実力差や経験差が現れてくる

30代は「自由裁量」。同世代との実力差や経験差が現れてくる

■30代の理想の仕事とは
30代の理想の仕事とは、「自由裁量の多い仕事」ではなかろうか。社会人生活に慣れ、下積み経験を積み、失敗と成功を適度に経験した後に多くの人が求めるのは、自分の実力を試すことである。その際に仕事の満足度や納得感を左右するのは、仕事における自由裁量であるからだ。

30代になれば、上司からの細かい指示や管理がなくても、自分の自由裁量で日々のスケジュールや仕事内容を組み立て、顧客や取引先を相手に様々な対応を主体的に実行することができるようになり、仕事の面白みが増えてくる。この時期から同年代の同僚との間に経験差、実力差、そして成果の差が広がり、昇進や昇給にも目に見える形で反映されるようになってくる。

俗に働き盛りといわれる年代の始まりであると言える。30代からは、個人としてのパフォーマンスに加えて、リーダーの役割を担うなど新たなスキル開発への挑戦が始まる人も多い。

転職経験者が多い年代でもあることから、キャリアの岐路に立つ人が多いこともうかがえる。つまり、理想の仕事を求める思いが強まる年代とも言えるのだろう。求人情報に年齢制限が記載されていた時代には、35歳までの若手を募集する求人案件が目立っていた。企業も、この年代を欲しがっているということでもある。
 

ひと世代上の働き方をヒントにして理想の仕事を得る

理想の仕事を得ることを目指して変化を起こす30代の中には、転職だけではなく、自分が経験した仕事経験や業界知識、顧客コンタクトなどを活かして独立する人もいる。会社の事業を成長させるために社員を新たに雇用して、会社を大きくすることを目指す人もいれば、フリーランスのデザイナーのように、個人のスキルを活かして、自分一人で自宅を拠点にして働くことを選択する人もいる。

特にフリーランスの場合は、仕事をする時期や相手・仕事内容、忙しさ、働く時間帯や仕事をする場所などを自分で選びやすく、それらを魅力にフリーランスを続けている人も多い。なかでもマスコミ業界では、30代になってからフリーアナウンサー、フリー編集者、フリーライター、フリーカメラマンというように、自由な働き方を選択する人が増える。

■30代の理想の仕事実現のための働き方とは
では30代で理想の仕事を得るためにはどうしたらいいのだろうか。そのことを考えるには、20代の働き方を考えた時と同様、30代の一つ上の世代である40代の働き方がヒントになる。まずは、昨今注目が集まる多様な働き方に注目してみよう。

多様な働き方を支える制度の代表例として、フレックスタイム制と裁量労働制がある。前者は、仕事の都合次第で始業時間や終業時間を変えることができる制度である。後者は、仕事の時間や場所を問わず、仕事の達成度を重視して自分の裁量で働き方を決めることができる制度だ。

フレックスタイム制はあらゆる年代に採用されていることが多いが、裁量労働制が全ての年代に採用されていることは稀であり、多くは40代以降の一部の管理職に採用されていることが多い。

特に40代の管理職の場合、どれだけ長く働いたか、もしくはいかに熱心に働いたかということではなく、どのような成果を出したか、今そこにある課題にどう対応したか(トラブル対応も含む)、将来に向けた布石を打ち、人材の育成や組織改革にも取り組むことが期待されており、自分の行動と決断の結果を厳しく評価される世代である。

このような40代の仕事ぶりを先取りして実行できる30代に対する社内評価は、どこの会社においても高いものだ。

自由裁量が増えたおかげで大きく成長する人が生まれる現象は、過去10年以上にわたり中・高等教育の現場で主体性を重んじた教育が重視されてきたこととも連動している。学校教育の現場で、アクティブラーニングという言葉を聞くようになって久しいが、今の若い20代、30代の世代にとっては、なじみがあるはずだ。

正解を解くための解法とその応用編の練習を繰り返してたたきこむ実務処理型に優れた秀才を作り出す教育ではなく、正解がわからない複雑で難易度が高い課題と向き合い、立場や過去の経緯、文化や考え方の違う相手との協議と協働を重ねて、利害を調整しながら全体の合意形成に挑戦する人材の育成を日本の教育は目指してきたのである。

その成果は、今の若い世代の言動を通して確認することができるはずだ。30代のビジネスパーソンには、ぜひ10代から20代前半にかけて訓練を繰り返した学校現場のアクティブラーニングの体験を思い出し、今こそ主体性を発揮して、見事に理想の仕事を実現してほしいものだ。

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