給与から引かれているものは?
給与が振り込まれても、その金額にがっかりすることが多いものです。実際の給与からいろいろなものが引かれているからです。給与明細をよく見れば、何にいくら引かれているかがわかります。でも実のところは、よくわからないという人も多いのではないでしょうか?銀行口座に振り込まれたお給料。思っていたほど振り込まれていないと驚くことも多いでしょう。いったい、何が引かれているのでしょうか?
手取り月収15万円、およそ税込み月収20万円
では、銀行に振り込まれた手取り収入は、実際に何がいくらずつ控除(天引き)されたものなのかを見てみましょう。今回は、扶養者がいない40歳までのシングルで手取り月収15万円のケースで考えます。
40歳までのシングルで手取り月収15万円の人の税込み月収は20万円程度と考えられます。何にいくら引かれて、15万円になったのかを解説します。
※実際の税額などは、かなり細かく決められています。本記事での金額は概算です。
社会保険料:保険料率で決まる
まず社会保険料から見てみましょう。社会保険料はそれぞれ保険料率が決まっており、およその給与にその料率をかけて保険料が決まります(正確には標準報酬月額から算出します)。給与から控除される本人負担分の保険料率は、令和4年度の場合は以下となります。
・厚生年金……9.15%
・健康保険……4.905%(40歳未満、協会けんぽ東京都の場合)
・雇用保険……0.5%(令和4年10月から)
です。
厚生年金の保険料率は平成29年から固定されており9.15%です。
健康保険は勤務先によって加入する保険が変わります。例えば、中小企業に会社が加入する「協会けんぽ」は都道府県によって保険料率が変わり、東京都では4.905%。40歳以上になればこれに介護保険料が加わり5.725%となります。雇用保険の保険料率は0.5%です。
40歳までであれば、これらを合計すると14.555%。月収20万円では負担する社会保険料は2万9110円となります。
所得税:源泉徴収税額表より3700円
次に、税金の中の所得税を見てみましょう。所得税はその年の所得に対して国に納める税金です。正式な税額は年末になるまでわかりませんので、給与やボーナスからは一定の金額を納めています。これを源泉徴収税といいます。正式な税額は年末調整で決まり、源泉徴収で納めた税額と正確な税額が精算されるという仕組みです。毎月の給与から控除される源泉徴収税は、「給与所得の源泉徴収税額表」から算出されます。月収から負担した社会保険料を引いたもの、扶養人数の2つから自動的に決まります。
※給与所得の源泉徴収税額表(令和4年分)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2021/data/01-07.pdf
この例では、月収20万円、負担した社会保険料は2万9110円でしたから、月収から社会保険料を引いた17万890円と扶養人数0人から税額がでます。源泉徴収税額表から、税額は3700円です。
住民税:前年の年間所得に対して課税
住民税は前年の所得から算出されます。会社員は「特別徴収」という形で、1年分の住民税の12分の1を毎月の給与から納めています。記事「住民税はいくら引かれる? 月収20万円の場合の住民税の計算方法」の通り、月収20万円・ボーナス2カ月分として年収280万円でシングルの場合、住民税は10万6500円ということです。これを12で割ると8875円。100円未満切り捨てで月額8800円ということになります。
会社独自の労働組合費、積立金なども
このように、月収20万円で40歳未満、扶養家族なしの場合、社会保険料2万9110円、所得税3700円、住民税8800円と合計4万1610円控除されます。これらを引くと15万8390円。ここまでは公的な控除となります。実際には、会社によっては労働組合費や積立金、また個人で積み立てる社内預金などの控除もあるでしょう。このような控除があると考えると、実際の手取りは15万円程度と考えることができます。
ざっとですが、月収20万円の人の手取りがおよそ15万円ということがわかりました。このようにいろいろなものが引かれて、銀行口座に振り込まれています。これらの控除とその金額は給与明細に書かれています。いま一度、給与から何にいくら引かれているかを給与明細で確認しましょう。
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