年金

60歳以上のパート主婦は厚生年金に入ったほうがお得? それとも損?【2026年】

令和6年10月から、企業の規模50人超、2カ月超の継続勤務の見込みであれば、短時間労働者の社会保険(健康保険と厚生年金)加入が義務づけられています。令和17年10月に企業規模の撤廃が予定されているので、パートでも社会保険に入る人は、今後も増加するでしょう。今回は、60歳以上のパートで働く人は厚生年金に自分で入ったほうがお得なのかどうかを解説します。※サムネイル画像:PIXTA

拝野 洋子

拝野 洋子

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目次

60歳以上のパート主婦も社会保険(健康保険・厚生年金)に自分で入る人が増える?

令和6年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和8年4月時点で最新)によれば、短時間労働者で厚生年金被保険者は約111万人(そのうち女性が85万人)で、前年より約19万人(21.1%)増えています。

令和6年10月からは、企業規模50人超、2カ月超継続勤務の見込みで、そのほかの条件も満たせば社会保険に加入できるようになりましたし、さらに、令和17年10月に企業規模の撤廃が予定されているので、パートでも社会保険に入る人は、今後も増加するでしょう。短時間労働者の社会保険加入対象者(厚生年金被保険者を含む)はさらに拡大されます。

本来、60歳は、国民年金保険料の支払い義務がなくなる年齢ですが、要件を満たしていれば、パートで働いている人も社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することとなります。昨今、社会保険加入対象者を拡大する流れがあります。60歳以降パートで働く人の中でも、新たに社会保険に加入する人は増えていくでしょう。

60歳以上のパート主婦は厚生年金に入ったほうがお得?(画像:PIXTA)
60歳以上のパート主婦は厚生年金に入ったほうがお得?(画像:PIXTA)

パートの社会保険(健康保険・厚生年金)加入の条件

現時点(令和8年4月)における、短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金)加入の条件は以下の全てを満たすことです。

・被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時51人以上の事業所、または、労使合意に基づき短時間労働者を健康保険・厚生年金の対象とする申し出をした事業所に勤めていること。

・週の所定労働時間が20時間以上であること。

・雇用期間が2カ月超見込まれること。

・学生でないこと。

月収8万8000円以上という要件は制度上は残っていますが、令和7年10月以降の最低賃金の上昇により多くの場合この基準を上回るため、実質的には形骸化しつつあります。   

パート主婦が60歳で社会保険(健康保険・厚生年金)に入ったら将来の年金はいくら増える? いつモトがとれる?

パート主婦が60歳で社会保険(健康保険・厚生年金)に入ったら将来の年金はいくら増えて、いつモトがとれるのでしょうか。現在、60歳のパート主婦Aさんが、上記全ての要件を満たして、社会保険に加入しているという例をもとに考えてみます。

賃金月額(月給)8万8000円で社会保険に加入すると、厚生年金保険料は月額8052円、健康保険料は月額5148円(40歳超、介護保険料・子育て支援金含む)になります。

1年加入すると支払う社会保険料は、厚生年金保険料が年9万6624円、健康保険料が年6万1776円、合計15万8400円です(令和8年度協会けんぽ保険料額表・東京都より)。そのほか雇用保険も入ることになりますね。

また、パート主婦Aさんは、65歳から老齢基礎・老齢厚生年金を受けることができ、老齢厚生年金の増額分は標準報酬月額8万8000円×5.481/1000×12カ月=年5787円です。計算していくと、1年間厚生年金に加入し支払った厚生年金保険料のモトをとるのは、約81歳8カ月まで生きた場合となります。

【まとめ】パート主婦が60歳以降も社会保険(健康保険・厚生年金)に入ると本当に、得するの?

上記の計算をみると「社会保険に入ると手取りが減るのに、ほんとにお得なの?」と思うかもしれません。夫が会社員なら、社会保険の扶養(60歳以上の妻は年収180万円未満で入れます)に入ってしまえば、保険料は自分で支払わなくてすむのですから……。

それでも社会保険(健康保険・厚生年金)に入るメリットはどこにあるでしょうか。

健康保険に加入していれば、業務外の病気やけがで働けなくなったとき、通算1年半傷病手当金を受けることができます。健康保険を民間の就業不能保険に見立てれば、決して保険料は高くありません。

また厚生年金に入ると、生涯にわたって老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされます。

さらに、パートで健康保険や厚生年金に加入できる人なら雇用保険にも入れます。雇用保険に入れば、1年以上働いてから退職すると、賃金月額8万8000円の約6割(約5万2800円)の失業等給付を最低90日間(自己都合退職の場合)、受けることができるのです。

このように社会保険加入はメリットも大きいのです。

●参考資料
令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

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