次いで2位は「ひろゆき」、3位は「渡辺直美」と「松本人志」が同率でランクインという結果になりました。ランキングにはタレントだけでなく、YouTuberが多くランクインしている点が、SNSネイティブ世代らしいと感じます。
続いて、回答してもらったインフルエンサー・有名人について、その人をいちばん信頼している/参考にしている理由を聞いてみたところ、「その人のファンだから」が最多で1位に。次いで「その人のセンスが好きだから」が2位となり、その他、「説明が上手・説得力があるから」「正直/誠実な人だから」などが上位に入りました。
興味深いのは、4位の「たくさんの人から支持されているから」(24.1%)という理由です。全体の4分の1もの若者が、SNSのフォロワーが多いなどの理由で信頼するというのです。これには問題がないのでしょうか。
SNSのフォロワー、再生数は買える
「SNSで目立ってる」=「信頼できる」は本当?
確かに、一般的にフォロワーは多い方が良いと考えられています。フォロワーが多いことにはメリットも多く、インフルエンサーとして企業からPR案件が舞い込んできたり、お店で投稿による割引が受けられたり、インフルエンサー採用枠がある企業まであります。
しかし、実はSNSの再生数やフォロワーは安価で購入できます。Instagram、Twitter、TikTokなどのフォロワーや「いいね」、YouTubeの再生数などは、すべてお金を出せば購入できます。専用の販売サイトや、オークションサイトなどで、「日本人限定」など国籍も選んで買えるのです。フォロワーの料金は国籍などの条件によって異なり、1人あたり数円から数十円程度が相場となっています。
「インフルエンサーのPR案件は、フォロワーが数千人か、1万人以上かで単価が違う。あと少しで1万人超えそうだったので、1000名ほど買ってしまった」と、あるインフルエンサーの女性は言います。「急にフォロワーが増えたとか、フォロワーの数は多いのに『いいね!』がそれほどでもないとかだったりすると、たぶん買ったんだろうなと分かる」。
著名な企業や有名人などが購入して、フォロワーや「いいね!」を水増ししているケースもあります。フォロワーや「いいね!」が少ないとみっともないという心理が働きます。逆に多いことで「人気がある」と思われて実際の人気につながったり、キャスティングされたりすることもあるためです。
「フォロワーが多い方がいいはず」という我々の思い込みを逆手に取って、見た目のフォロワーや「いいね!」の水増しが横行しているというわけです。
インフルエンサー界に横行するステマ
フォロワーや「いいね!」の購入以外にも問題がありそうです。たとえば、ステルスマーケティング、通称「ステマ」です。LIDDELLの「インフルエンサーのステマに関する実態調査」(2021年3月)によると、PR案件依頼時に『PR表記はなしで投稿お願いします』などとステマ、もしくはステマの心配があるような要望を受けたことがあるインフルエンサーは、「よくある」(25%)、「多分ある」(32%)と、合計57%と半数以上が「ある」という回答でした。中には「PR表記なしでの依頼をお断りすると案件を紹介していただけなくなる代理店もある」という話もありました。
ステマはフォロワーを騙し、信頼性を損なう行為です。ステマが横行することで、インフルエンサーや投稿、商品やブランド等の信頼性自体が下がってしまうでしょう。
詐欺でも利用されるバンドワゴン効果に注意
我々は、多くの人から支持されているものが良いように感じる傾向にあります。同調圧力が働いたり、ある選択をする人が多ければ多いほどその選択に対する支持が強くなる、いわゆる「バンドワゴン効果」が働いたりしていると考えられます。実は、この心理は詐欺などの面でも使われています。たとえばSNSネイティブである若者たちは、「顔を出して実名でSNSを使ってい」たり、「フォロワーや再生数が多い」と信頼する傾向にあります。
この心理を狙って、顔出し名前出しであるYouTubeチャンネルで高額投資詐欺が行われたことがあります。再生数が多かったため、信用する人が多かったそうです。LINEグループでも、サクラを多く参加させて、「みんなが投資しており疑っていない状態」を作り上げることで、信用させる手口があるそうです。
センスや話術などで多くの人の支持を集めるインフルエンサーは輝いて見えます。一方で、我々を信用させるために、多くの人の支持を集めているように見せているだけの偽物も混じっていることは、知っておくべきでしょう。
Instagramで「いいね!」総数を非表示としたところ、多くのインフルエンサーに対する「いいね!」数が減ったそうです。つまり、他の人が「いいね!」をしているから「いいね!」をしている人が一定数いるということです。
他の人が支持しているかどうかは判断基準の一つとなりますが、それ以上に自分がどう感じるか、考えるかということこそが大切なのではないでしょうか。フォロワーや「いいね!」の数だけに惑わされず、自分が本当にいいと思うものを選んだり、本物を見極める目を育てるべきなのではないでしょうか。
【おすすめ記事】
・Twitterの「投げ銭」機能、若者のSNS利用に与える影響・懸念点は
・教師と生徒とのSNSやり取りが禁止された理由
・闇取引や闇バイト募集も……変わるTwitterハッシュタグの使われ方
・自殺サイトから仲間集めの場はTwitterへ。ハッシュタグで自殺仲間を募集する人も
・若者の新常識!? 連絡先交換はインスタ、親しくなったらLINE交換