お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

35歳、貯金1600万円。夫が地元に帰り転職し減収。将来は家も買いたいのですが不安です(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、お子さん2人を持つ35歳の主婦の方。夫の仕事が激務だったため転職し、大きく減収。教育資金の準備や新たな住宅購入、老後資金など不安がいろいろと……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 住宅ローンの借り入れは2500万円くらいが妥当

ご主人の転職により世帯年収が350万円ダウン。これはかなりの額ですが、健康には代えられません。ご家族にとっていい決断をされたと思います。

しかも、貯蓄額1600万円は立派。家計も現在黒字で回っていますし、今後すーすーさんが収入を得ることで、貯蓄ペースも上がり、今後のライフプランについて選択肢が増えてくると思います。
 
では、具体的なキャッシュフローを見ていきます。
 
まず、来年からすーすーさんはパートで働き始めるとのこと。これを、下のお子さんが小学校に入学するまでの3年間継続するとします。月収が5万円なら年間60万円。これを全額貯蓄すると、現在貯蓄に回している月4万円、ボーナスからの10万円と合わせて、年間118万円。3年間で354万円の貯蓄が上積みされます。また、パート収入が月8万円なら上積み額は462万円となります。
 
どちらがいいかと言えば、当然、月8万円です。ただし、最初からは無理なら、1年目は月5万円、職場に慣れてきたら月8万円になるよう、勤務時間を増やすといった形でもいいと思います。ここでは、3年間でおよそ400万円貯蓄できたとして、手持ちの貯蓄額が2000万円になったとします。3年後、ご主人は38歳。無理のない住宅ローンを組むなら、返済期間から考えて、このあたりでの購入となるでしょう。したがって、次に38歳での購入後について試算してみます。
 

アドバイス2 妻のフルタイム勤務が住宅購入の条件

住宅について、予算は土地500万~1000万円、建物の上限3500万円とのことですが、ここでは返済可能な借り入れから、住宅ローンを考えていきます。
 
仮に2500万円を借り入れるとします。返済期間は延ばして25年(完済時のご主人の年齢63歳)。これを固定金利1.5%、ボーナス払いなしで借り入れると、毎月の返済額はちょうど10万円ほど。これに固定資産税が加算され、平均して住宅コストは月11万円ほど。現状の家賃から考えて、このくらいが上限ではないでしょうか。
 
これにより、毎月の生活費は約6万円のアップ。と同時に、ご自身が希望されているように、すーすーさんが38歳からフルタイム勤務となったとします。設定として、手取り月収12万円(額面15万円ほど)とします。これで世帯収入は手取りで月額40万円(児童手当を除く)。生活費は32万円ですから、8万円の黒字となります。ただ、お子さんの成長に合わせて生活費もアップしますから、実際貯蓄に回せる額を月6万円とすれば、ボーナスからの貯蓄10万円と合わせて、ご夫婦60歳までの22年間で1804万円。
 
これに残り(ご主人38歳以降に受け取る分)の児童手当の総額178万円、55歳で支払い終了となるので60歳まで浮く保険料分132万円を加算すると、およそ2114万円を貯蓄できる計算になります。これに、住宅購入後に残った手持ち資金を加算します。資産状況から考えて、自己資金として捻出するのは頭金1000万円、諸経費200万円くらいが妥当。これにより貯蓄残高は800万円。これを先の2114万円と合算すれば2914万円となります。そして、ここから、60歳までに発生する大きな支出を差し引けば、手元に残った貯蓄を老後資金に充てることができます。
 
支出としてもっとも大きいのが教育費。3年後、お子さんは小学校4年と1年。その後にかかる教育費として、高校まで公立、大学が私立文系なら、2人合わせて1700万円ほど。ただし、先の試算で月2万円の教育費を加えているので、22年分の528万円を差し引くと、新たに加算すべき教育費は1172万円。
 
この他、クルマの買い替え費用として1台の予算が250万円とのこと。回数は2~3回でしょう。これに、住宅の修繕(天井、外壁、水回りなど)や設備機器の買い替え費用も加算すれば1000万円前後は見ておく必要がありそうです。そして、先の貯蓄分からこれらを差し引けば、手元に残る資金はざっと742万円。これに退職金を加算した額が、老後資金となります。

これで、老後資金が足りるかどうかは、退職金制度の有無や公的年金の受給額など不確定要素が多く判断は難しいところ。終身保険の解約返戻金もありますし、今の家計から判断して老後の生活費も十分管理できるはずですから、もちろん、足りる可能性もあります。
 
ただし、リスクもあります。お子さん2人とも大学が私立理系なら、準備すべき教育資金はさらに300万円ほどアップします。大学が県外だと、お子さんの生活費(仕送り費用)も発生します。高校が私立なら1人150万円ほどさらに上乗せしなくてはいけません。退職金についても、極端に言えば退職金がない可能性もあるわけです。
 
したがって、例えばすーすーさんが手取り15万円なら、単純に世帯収入が月3万円増えますので、老後資金が約800万円上乗せされます。これなら、より老後への安心感は高まります。逆に、フルタイム勤務(正社員、契約・派遣社員)ができず、パート勤務のままだと、老後資金の準備はかなりきびしく、適用範囲が広がりつつあるとはいえ、厚生年金にも加入できない可能性があるため、公的年金の受給額も下がってしまいます。
 
また、住宅購入については、頭金1000万円、住宅ローン2500万円としましたから、住宅にかけられる予算は3500万円。上限(土地+建物)4500万円からは1000万円の開きがあります。しかし、例えば借り入れを3000万円とすると、返済額は月2万円アップします。60歳のときの手持ち資金は600万円減ることになります。
 
つまりは、すーすーさんの働き方と購入するマイホームの金額次第でライフプランは大きく変わっていくということです。まだ時間はありますので、今後どういう働き方ができるか、ご夫婦で十分検討してください。
 

アドバイス3 貯蓄ペースが上がったら「つみたてNISA」か「iDeCo」を利用

最後に保険と投資について。
 
まず保険ですが、ご主人の死亡保障は終身保険の1000万円だけ。これでは足りません。持ち家ではない期間は、あと1500万~2000万円加算してもいいでしょう。また、医療保障もないので必要最小限(入院5000円程度)はやはり確保したいところ。共済で死亡保障と医療保障を確保して、不足分を保険料が割安の定期保険か同等の保障の収入保障保険で確保します。
 
住宅を購入し、団体信用生命保険に加入後は死亡保障を1500万円に減額してもいいと思います。38歳での購入なら保険期間は15年ほど。同時にすーすーさんも死亡保障は確保したいところ。パートであれば共済で構いません。フルタイム勤務となれば共済の死亡保障(病気死亡)と合わせて1000万円は確保したいので、不足分はやはり定期保険か同等の保障の収入保障保険でも構いません。
 
必要な保障を確保すれば保険料がアップしますが、ご夫婦合わせて月額7000円ほどです。雑費や通信費を見直すことで捻出できる金額でしょう。ボーナスから親御さんに渡しているお小遣い15万円も5万~10万円に減額してもいいと思います。クルマの買い替え費用を抑えるなど、いろいろ調整は可能でしょう。
 
投資については、原則として余裕資金で行うことになるので、始めるタイミングとしては、すーすーさんがフルタイム勤務となり、貯蓄ペースも上がってからとなります。具体的には、「つみたてNISA」か「iDeCo」の制度利用をお勧めします。ともに売却益や配当などが非課税となり、またiDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、所得税等の節税にもなります。投資商品は長期、積立、分散投資に適した投資信託から選ぶ形ですので、投資未経験者の方にとっては利用しやすいというメリットもあります。
 
だだし、iDeCoの場合、老後資金づくりに特化した制度ですので、原則60歳以降でなくては資金は引き出せません。そこは注意してください。
 

相談者「すーすー」さんから寄せられた感想

このたびはありがとうございました。今まではあまり先のことは考えずに過ごしていましたが、状況が変わり急に不安になった折に家計診断していただけたので、将来の計画がたてやすくなり安心しました。私自身の働き方がライフプランに影響するということなので身が引き締まる思いです。教育資金やマイホームなど、これからまだまだお金がかかりますので、今回いただいた内容をベースに前向きに頑張っていきたいと思います。

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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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