ストレス

本心が分かるカラーセラピー!心を投影する色でなりたい自分になる方法

【公認心理師が解説】「色」を通じて自分の心が求める変化に気づき、「こうありたい自分」を実現するきっかけにも活用できる「カラーセラピー」。 私が開発し実際のカウンセリングの場でも使っている「カラー・ビジョン・サークル」の使い方・活用法をご紹介します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

色から「こうありたい自分」の姿がわかる「カラーセラピー」

色鉛筆とフィギュア

「私らしさって何だろう?」そう思ったときには、「カラーセラピー」で自分の心と向き合ってみましょう

新しいことを始めたい、何となく今までのやり方がしっくりこない……そんな気分になることはありませんか? でも、何を始めればいいのかわからない人にお勧めしたい方法の一つが、「カラーセラピー」です。「色」に自分の心の中に潜む思いを投影させ、「こうありたい自分」を理解していく助けになります。
 
毎日忙しく過ごしていると、自分の心が欲している変化を見逃しがちです。心の奥底には「こうありたい」という思いが生じているのに、その本心に気づかず、目の前のことに追われて自分の心と対話できないでいる。
 
そうした状況が続くと、ふと我に返ったときに「私らしさって何だろう?」「私は何を求めて生きているんだろう?」というモヤモヤした思いにとらわれ、出口が見えなくなってしまいます。
 

心の深層メッセージを知る手掛かりになる「色」

心が求めるものはとてもあいまいで、一人で内省してみても、なかなかつかみきれるものではありません。そこで、心の深層が発するメッセージに気づく方法の一つとして、「カラーセラピー」を活用してみましょう。

ある「色」を見ると感情が動かされ、楽しい気分になったり、無性に惹きつけられたり、忘れかけていたことを思いだしたりすることがありませんか? これは、特定の「色」の刺激が心の深層に潜んでいるメッセージと結びつき、心の表面に浮かび上がっているからなのです。
 
今の自分が、とくにどの色に反応しているのかを見つめてみましょう。すると、心の深層が発するメッセージの意味を解読し、自分の本心が望んでいる「こうありたい自分」の方向性をつかみやすくなります。
 

誰でも簡単にできる!「カラー・ビジョン・サークル」の使い方

では、さっそく「カラーセラピー」をやってみましょう。「カラーセラピー」にはさまざまな手法がありますが、これからご紹介するのは、私自身が開発し、実際のカウンセリングでも活用している「カラー・ビジョン・サークル」という手法です。お一人でも簡単に使っていただくことができます。
カラー・ビジョン・サークル

「カラー・ビジョン・サークル」――12個の色の輪のなかで「気になっている色」のエリアを指でなぞってみましょう


上の12個の丸い色の輪をご覧ください。パッと見た印象で、最近の自分が「気になっている色」のエリア(3~4つくらいの丸の場所)を指でなぞってみてください。「気になっている色」に気づくヒントとして、次の5つの項目を参考にされてもいいでしょう。
  
・何となく、そのエリアの色相から目が離せない
・新しい服を探しに行くと、その色相の服を手に取ることが増えている
・「好きな色」ではないのに、なぜか気になる
・小物やインテリアに、この色相のものを取り入れることが増えた
・「似合わない色」と言われてきたが、この色相を試してみてもいいかなと思う

普段意識しなくても、最近の行動を改めて「色」から観察してみると、自分の思わぬ心の変化に気づくかもしれません。
 

「5つのエリア」の色相が表すメッセージとは?

次に、上でなぞったエリアの色相についてより詳しく見ていきましょう。まず、ご自身が指でなぞったエリアは、次の1~5のどれに近いですか?
 
カラー・ビジョン・サークルの5つのエリア

あなたが指でなぞったのは「5つのエリア」のどれに近いですか?


下で、エリア1~5の色相が表しているメッセージについて解説します。「カラー・ビジョン・サークル」では「5つのエリア」の色相にそれぞれ名前を付け、「こうありたい自分」を知るヒントとしてご紹介しています。
 
エリア1:ジョイフル(Joyful)
黄色を中心として、オレンジ、黄緑、赤や緑なども含むエリア。幼い子どもたちが好んで使う色合いです。心が無邪気で楽しい自分でいることを欲しているのかもしれません。
 
最近、子どものように素直な気持ちで笑ったり、遊んだりすることが少なくなっていませんか? 童心に返って楽しめることを増やしてみましょう。
 
エリア2:ナチュラル(Natural)
緑色を中心とするエリア。木々の葉、草の葉が発する自然の精気を取り入れたいと、心が欲しているのかもしれません。
 
最近、日常の雑事に追われて、心が疲れていませんか? 自然には疲れた心を癒し、萎えかけた生命力を取り戻すパワーがあります。ぜひ、もっと生活の中に自然を取り入れてみましょう。
 
エリア3:カーム(Calm)
青色を中心とするエリア。水や海のように清らかで、澄み渡った心を取り戻したいと、心が欲しているのかもしれません。
 
最近、複雑な感情に取り巻かれ、ソワソワしたりイライラしたりすることが増えていませんか? ぜひ、清流や海の近くで憩いの時間を過ごし、心に溜まった澱を洗いながしてみましょう。
 
エリア4:ミステリアス(Mysterious)
紫色、マゼンダを中心とするエリア。魅惑的で非現実的、媚薬的な要素を取り入れたいと、心が欲しているのかもしれません。
 
最近、裏表のない自分でいようとして、疲れを感じることはありませんか? ぜひ、奥深い不思議なもの、秘密めいたものに触れ、自分の心に潜む意外な可能性の扉を開いてみましょう。
 
エリア5:パッショネート(Passionate)
赤を中心とするエリア。情熱的でエネルギッシュな要素を取り入れたいと、心が欲しているのかもしれません。
 
最近、「無理をしないように」と自分を過剰にセーブしていませんか? これまでの限界を突破することで、自分の中に潜むエネルギーを開発し、自信を伸ばしていきましょう。
 

惹かれるエリアの色相とふれあう時間を増やしてみよう

上で解説したように、色相にはエリアごとに性格が異なり、想起されるイメージも異なります。
 
自分の心の深層が発しているメッセージに近い色相のものを見出すと、訳も分からず惹きつけられます。そして、無自覚のうちにその色の物を見入ったり、手に取ったり、触れていたいと思うようになります。
 
自分が指でなぞったエリアの解説を見て、ピンと来た場合には、ぜひその色相の物を生活の中に取り入れ、その色相とつながれる場所を訪れてみるといいでしょう(エリア3の場合、海に行ってみるなど)。
 
選んだエリアの色相とふれあう時間を増やしていくと、「私は今、こんな自分でいたいのかもなぁ」ということに、じわじわと気づいていけるのではないかと思います。
 

多様な色を生活に取り入れることで、心は全体的にバランスよく成長できる

ただし、心が求める色はいつまでも一定ではありません。一つのエリアの色相を十分に体験したら、他の色相へと関心が移っていきます。したがって、今まではエリア4が好きだったのに、急にエリア1が気になるようになった。このように、惹かれる色相は移り変わっていきます。
 
それまでの好みとは異なる色相のイメージと結びつく物事を体験するなど、思いがけないことを日頃の生活に取り入れていくと、心は全体的にバランスよく成長することができます
 
また、今回は12色、5つのエリアの色相を紹介しましたが、この他にももっともっとたくさんの色と色相があり、実際のカウンセリングではさらに多くの色相から自分にフィットするエリアを探していきます。

また、拙著『大人になっても思春期な女子たち』(青春出版社刊)では、「カラークロノロジー」という、色鉛筆を使った年表づくりで、自分の心の成長を理解する方法もご紹介しています。ぜひ、色とのお付き合いを通じて、心の深層が発しているメッセージを読み取ってみませんか?
 
※「カラークロノロジー」について詳しくご覧になりたい方は、『大人になっても思春期な女子たち』(青春出版社)をご参照ください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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