日本でも進められている新型コロナウイルスワクチン接種

新型コロナウイルスワクチンの副作用・副反応

新型コロナウイルスへのワクチン接種が日本でも進められています。気になる実際の副反応・副作用は?

欧米に遅れて2021年2月にやっと日本でもワクチン接種が始まりました。しかし、皆さんが感じている通り、ワクチン接種は徐々に進んできましたが、集団免疫までは時間はかかりそうです。いくつかのワクチンがある中、日本で使用されているワクチンがやっと5月には3種類になりました。新型コロナウイルスの変異株が流行していることもあり、一刻も早いワクチン接種が望まれます。今回は、これまでに実際に報告された副作用と、ワクチン接種の安全性・注意すべき点について考えてみたいと思います。
 

新型コロナワクチン接種で報告された副反応・副作用

ワクチンの副作用について、ファイザー社のワクチン「コミナティ」によるものを見てみましょう。「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査」(コホート調査)によると、今回の新型コロナワクチン接種後の副作用としてよく報告されたものは、
  • 接種部位の痛み
  • 全身倦怠感
  • 頭痛
  • 発熱
でした。これらの副反応は、1回目より2回目、そして年齢が低い方が強くみられました。
 
   接種部位の痛み   全身倦怠感   頭痛   37.5℃以上の発熱 
 1回目  約90% 23% 21% 3.3%
 2回目 90% 68% 54% 38.1%

2回目接種後に発熱した方の割合は、20~30代では50%前後でしたが、65歳以上では9%でした。副反応の強さは女性の方が男性よりも強く、頭痛は男性37%、女性62%、37.5℃以上の発熱は男性30%、女性は42%と報告されています。こうした症状の多くは、1日か数日で改善しています。

4月4日までに集計されたワクチン約110万回接種中、国際基準でのアレルギー反応であるアナフィラキシーは79件(男性8件、女性71件)ありましたが、こちらもほぼ全例で回復しています。

女性にアナフィラキシーの報告が多い理由として、ファイザー製ワクチンに含まれているポリエチレングリコール(PEG)が化粧品に用いられているからではないかと推測されていますが、ワクチン接種が進んでいく中で、アナフィラキシーの頻度は減っております。
 

ワクチン接種後に死亡例をどう考えるべきか? 副作用との因果関係は不明瞭

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会によると、副反応疑い報告制度において死亡例として報告されたものは、接種開始から4月25日までに12件(271万8090回接種、183万9356人接種中)でした。

報告された症状等は出血性脳卒中4件、心不全3件等で、さらにこの頻度も欧米と変わりがありません。そのため、ワクチンとの因果関係についての評価が難しいといえます。「接種後に死亡」と聞くとあたかもワクチンが原因であったようにとらえてしまうかもしれませんが、ワクチンをしなくても一定の割合で起こってしまう疾患の場合、因果関係の評価は難しいです。実際の接種人数に対する割合などを冷静に見て、判断していく必要があるでしょう。
 

副作用や死亡報告などから、本当にワクチン接種を控えるべき人とは

ここまでの報告を見ると、基礎疾患のない人や全身状態の問題がない人においては、ワクチンと因果関係が明らかな重大な副反応が起こる心配はほぼないように思います。基礎疾患があると、新型コロナウイルス感染症が重症化しやすいので、基礎疾患が悪化していなければ、接種可能と考えて良いでしょう。

一方で、
  • 基礎疾患の状態が悪化している人
  • 全身状態が悪い人
  • 他のワクチンも接種できない人
  • 他のワクチンでアナフィラキシーの既往のある人
は、新型コロナワクチンの接種も控えた方が良いとされています。

免疫不全のある人は新型コロナウイルス感染症に感染した場合の重症化リスクが高いとされているため、有効性と安全性について確立されたデータがないことからも、接種可能と考えられています。また、血が止まりにくい病気で抗凝固薬を服用していても、しっかりと接種部位を圧迫することで接種可能になっています。妊婦では現時点では推奨されていません。妊婦と16歳未満の人については、有効性と安全性のデータが揃えば可能になってくると思われます。12歳以上については近日ファイザー社のワクチンについて承認される可能性が高くなっております。
 

大切なのはワクチン接種率を上げて「集団免疫」を作ること

ワクチンの副反応については上記の報告からある程度予想することができますが、実際に新型コロナウイルスにかかった場合、人工呼吸器やECMOでの治療が必要になる可能性や、後遺症に悩む可能性については予想できません。新型コロナウイルス感染症は、残念ながらSARS(重症急性呼吸器症候群)のときのような封じ込めはすでに困難になっています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を止めるには、集団免疫しか方法がないのが現状です。

先に接種が進んでいるイスラエル、イギリス、アメリカの例を見ると、ワクチン接種率が高くなるにつれ、新規感染者数は減ってきていることがわかります。ワクチンによる集団免疫をしっかりすると、社会生活の活動が可能になってきます。まず目指すべきは、全体の接種率を上げることです。モデルナ社のワクチンもファイザー社と同様にmRNAワクチンです。アストラゼネカ社、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社のワクチンは、ウイルスベクターを使用したワクチンです。世界ではこれらのワクチンが使用されていますが、日本では実際に使用しているのは、ファイザー社とモデルナ社です。ワクチン接種の状況が世界と比較して遅いと感じる人も多いかと思います。集団免疫にはワクチンが欠かせないのですから、十分なワクチン確保が望まれます。

モデルナ社のワクチンは、ファイザーと同じmRNAワクチンなので、副反応もファイザー社と同じくらいと言われています。アストラゼネカ社とジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社のワクチンは、若年者で血栓症のリスクが指摘されていますが、海外で多くの国で使用されています。

私自身も接種医になりましたし、ワクチンも接種済みです。接種した時には、接種された人で痛みを感じる人は少ない印象です。自分が接種された時には、1回目はあまり痛みがなく、2回目は少し痛みがあった程度でした。副反応ですが、1回目は接種部位の痛み、2回目は接種部位の痛みが1回目より強く、やや全身倦怠感がありましたが、2日以内に改善しております。正しく情報を精査して、今必要な行動を取っていきましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項