5位『カンパニー・メン』
大企業のエリート社員が突然リストラされ、プライドがボコボコに打ちのめされてからの再起を描いたお仕事映画です。37歳で販売部長の座についた大企業のエリート社員ボビー。妻と息子たちと大邸宅に暮らし、将来安泰のはずが、リーマンショックの影響で突然リストラされてしまいます。次の仕事が決まらず焦り、上司に相談したくても、その上司もリストラ対象。プライドが高く、高給な仕事にこだわっていたボビーですが、妻の兄に頭を下げて、小さな工務店で働くことになるのです。
2010年制作の映画なので、リーマンショック(2008年)の影響を受けたサラリーマンに向けた作品なのかもしれません。フィクションですが、こういうエリート社員は多かったかも。ボビーの奥さんが現実的で、家の売却など今できることを考えていたのが印象的。
こういうときは現実を見据えることが大事。ボビーはエリートのプライドを捨てられるのでしょうか……。ボビーはベン・アフレック、上司をトミー・リー・ジョーンズが演じています。
4位『ジョイ』
日本でもときどき、アイデア商品で大成功をおさめた主婦の方がワイドショーなどに登場しますが、本作もそういう主婦の物語。それもけっこう大変な家庭環境からの成功なのでドラマチックなのです。シングルマザーのジョイは、仕事をしながら子育ても頑張っていたけど生活は一向に豊かになりません。ある日、掃除の最中「手を濡らさずに絞れるモップがあればいいのに……」と思ったことをきっかけに、自分で作って売ることを考えます。無事、商品は完成したものの、さまざまな災難が彼女に降りかかるのです。
ジョイの場合、別れた夫もひどかったけど、彼女自身の家族も問題あり、サクセスに至るまでのプロセスが大変! でも、彼女の何事にも屈しない、自力で這い上がる力はこういう厄介な家族に鍛えられたのかもしれません。
アイデアの商品化は、彼女自身が頭を使い行動に移したからこそ。やっぱり成功者はメンタルが強く行動的! スマートなやり方じゃないかもしれないけど、これが現実なんだと思います。ジョイを演じるのはジェニファー・ローレンス。大熱演しています。
3位『県庁の星』
ここで唯一の日本映画がイン! 桂望実の同名小説の映画化で、県庁勤めのエリート社員が、スーパーマーケットに派遣されたことをきっかけに、これまでの常識が覆され、仕事や職業人への意識が変化していく様を描いています。県庁から人事交流研修のメンバーとして野村が派遣されたのは、スーパーマーケットの満天堂。しかし、役所の常識はスーパーの売り場では通用せず、野村はすっかりお荷物扱い。ある日、野村の教育係のスーパーの店員・二宮に付き合い、デパ地下でのマーケティング調査に同行します。すると、データでは見えなかった、客たちの行動形態に気付くようになるのです……。
職場が違えば常識が違うのは当たり前。エリートゆえの上から目線や理屈が通用しないサービス業。いちばん大切なのは上司ではなくお客様ですからね。職場のことを知り尽くしている二宮に気付かされることが増えるにつれ、「県庁の星」のプライドが消えて、スーパーの社員目線で経営を上向きにする方法に目覚めていくプロセスがいい感じ。野村は織田裕二、二宮は柴咲コウが演じ、二人とも好演。気持ちのいい成長物語になっています。