作品賞:最有力は『ノマドランド』
■候補作◎『ノマドランド』(2021年3月26日より公開中)
『ミナリ』(2021年3月19日より公開中)
『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2021年7月16日より公開)
△『Mank マンク』(Netflixで配信中)
『シカゴ7裁判』(Netflixで配信中)
『ファーザー』(2021年5月14日より公開)
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』(Amazon Prime Videoで配信中)
『Judas and the Black Messiah』(公開未定)
すでに日本でも公開されている『ノマドランド』が大本命といわれています。というのも、アカデミー賞前にアメリカ各地で映画賞が発表されるのですが、重要賞といわれる映画賞で『ノマドランド』が圧勝しているのです。
家を持たず、季節労働をしながらアメリカ各地を転々とし車上生活を送る中年のヒロイン。同じようなノマド生活を送る人々との交流を糧に、彼女の人生が輝き出していくという物語。富裕層の逆を行く生き様に多くの人が共感。気づきを得られる作品として支持されています。 対抗は『Mank マンク』だと予想。映画史に残る名作『市民ケーン』がいかにして生まれたのかを脚本家のハーマン・J・マンキウイッツを主人公に描いた作品。映画業界の黒い裏側を見せていく気骨のある作品ですが、美しくエレガントな描写で見応えがありました。
でもいまいち作品がバズってないみたいで、そこがネック。
エディ・レッドメインなど、スター共演の大作感がある『シカゴ7裁判』も対抗馬として挙げられていますが『Mank マンク』の方が映画としての華と貫禄があります。 しかし、個人的に好きなのは『プロミシング・ヤング・ウーマン』(親友を失ったヒロインの復讐劇)と『ファーザー』(認知症の主人公の目線で描いた世界)。2作とも「観たことのない世界」へ連れて行ってくれる傑作です。 『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』は聴覚障害者の「聞こえない」世界を観客にも体現させる音響技術がすごい。「音のない世界」から見えてくるものを描いて、しみじみ感動させてくれます。ですが、作品賞は厳しいかもしれないな~。