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六曜の「仏滅」とは……結婚式や葬式はやってはダメ? 由来や意味

仏滅とは「先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口」と繰り返される六曜のひとつ。しかしその由来は定かではなく、迷信だともいわれています。仏滅は「様々なことを忌み慎むべきといいますが、葬式や結婚式、引っ越しなどは本当に避けるべきなのでしょうか。

中山 みゆき

執筆者:中山 みゆき

冠婚葬祭ガイド

六曜の「仏滅」とは? やっていいこと・いけないこと

六曜の「仏滅」とは

「仏滅は日が悪い」といわれていましたがそれは本当?

みなさんは、仏滅と聞くと何を連想しますか? 一般的に何事にも害がある日、物質的な物の購入などもNGなど、やってはいけないことがたくさんある日だといわれています。まるで大凶のように思われがちですが、実は弔事や悪縁因縁を断ち切り、新しい人生を始めたいときなどには適しているともいわれています。

仏滅も含め、六曜に関してはその由来は定かではなく、迷信だともいわれています。人は時には生き方に迷い、何かにすがりたいこともあるでしょう。そんな時に昔からの言い伝え、習わしを信じてきたのです。では現代の生活に仏滅はどうかかわっているのでしょうか?
 
<目次>
 

先勝・仏滅……「六曜」とは? 由来やそれぞれの意味

六曜には6つの種類があり、カレンダーをよく見ると「先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」の順番で繰り帰し返し書かれています

六曜には6つの種類があり、カレンダーをよく見ると「先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」の順番で繰り帰し返し書かれています

一説によると、三国時代の軍師「諸葛孔明(しょかつこうめい)」が作ったという説や、唐の時代の天文学者、数学者である李淳風(りじゅんぷう)が書いた「六壬承訣(りくじんしょうけつ)」にある大安・留連・速喜・赤口・将吉・空亡という中国の六曜から来たいう考え方があるといわれていますが、いつの時代から確立されたかというと定かではありません。

日本には鎌倉時代の後期から伝えられており、江戸時代の半ばから急速に広がったようです。はっきり言って信ぴょう性があるとは考えられていません。現在の六曜は、旧暦から新暦に移行する中で形を変えてきたものだからです。

六曜の言葉は知らなくても、大安や仏滅は聞いたことがある人は多いはずです。「その日は仏滅だから縁起が悪い、それなら大安の良い日にしよう!」など、特に大切なイベントの際は吉凶の日は気になるものです。実はその六曜にはそれぞれ意味があるのです。
  • 先勝(せんかち,せんしょう,さきかち,さきがち)……急ぐことは吉。午前は吉で午後が凶。
  • 友引(ともびき,ゆういん)……祝い事はOK。友を引く日なので葬式、法事など弔事はNG。朝・夕が吉で正午が凶。
  • 先負(せんまけ,さきまけ,せんぶ,せんぷ)……何事も控えめにした方がよい日。午前が凶で午後が吉。
  • 仏滅(ぶつめつ)……一日中凶。何事にも慎む日。
  • 大安(たいあん,だいあん)……一日中大吉。慶事に最強の日。
  • 赤口(しゃっこう,しゃっく,じゃっこう,じゃっく,せきぐち)……朝夕凶で正午のみ吉。火の元、刃物に要注意。
六曜には6つの種類があり、カレンダーをよく見ると「先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」の順番で繰り返し書かれています(旧暦の関係でたまに、「大安→大安」と不規則的な順序になる場合もあります)。
 

仏さえも滅してしまう!? 仏滅の読み方や意味

六曜の中に「仏滅」は「ぶつめつ」と読み、「仏さえも滅してしまうほど最悪の日」としてお祝い事はしない、忌み慎むほうがよいといわれています。よく昔から「仏滅は日が悪い」といわれていました。反対にお葬式など弔事にはこの仏滅の日に行うのが良いとされています。

この仏滅は仏教の仏と関係があるのでは?と単純に考える方も中にはいると思います。ですが、もともと「空亡」が「物滅」と変化し「仏滅」とこの漢字が表記されたわけで、中国から鎌倉時代の後期に伝えられたといわれている六曜である仏滅とインドで説かれた仏教との関係性はありません。
 

仏滅の日の午後からは大安になる?

仏滅の日の午後から大安になるなんて、少々こじつけ感はありますがラッキーなことですね。六曜では仏滅→大安と続きます。仏滅は凶で一日中最悪の日ですが、午後からはいきなり大安には繋がりません。翌日の大安に向けて午後から徐々に運気を上げていくのです。

明確なルールや決まりはありませんが一つの説として考えられているようですね。仏滅は一度最悪となった日から復活する、新しいことを始めるのに適した日だという考え方もあります。
 

仏滅の日にやっていいこと

友引と仏教との間には関係性はありません。しかし実際、友引の日は多くの火葬場が休みで、葬儀後の火葬を行うところが少ないようです

友引と仏教との間には関係性はありません。しかし実際、友引の日は多くの火葬場が休みで、葬儀後の火葬を行うところが少ないようです

■葬儀・葬式・お通夜
本来、葬式・通夜は故人の冥福をお祈りすることです。六曜と宗教は関係がなく、仏教・キリスト教・神式ともに、仏滅に通夜や葬儀を執り行っても問題はありません。住む地域によっては、反対に仏滅に葬儀・通夜を執り行った方が良いとされています。

避けるべきなのはむしろ友引だという考えです。友引はこの字のごとく「友を引く」と書きます。故人と一緒に友人が連れていかれてしまい、縁起が悪いと考えられていますが、あくまで迷信にすぎません。友引と仏教との間に関係性はありませんが、実際、友引の日は多くの火葬場が休みで、葬儀後の火葬を行うところが少ないのは確かです。
神社とお寺は六曜に関係がなく、また日本の仏教の宗派は六曜を迷信として否定しているため、お祓いをしても問題ありません

神社とお寺は六曜に関係がなく、また日本の仏教の宗派は六曜を迷信として否定しているため、お祓いをしても問題ありません

■厄払い
仏滅は一日中凶とされていますので、厄払いには縁起がよくないという考えの方は多いようです。これもお葬式と同じように神社とお寺は六曜に関係がなく、また日本の仏教の宗派は六曜を迷信として否定しているため、お祓いをしても問題ありません。

土日祝日が仏滅でも、仕事の都合や家族、親族が集まり一緒に厄払いができる、またあえて平日の仏滅の日にすると、混雑なくスムーズに厄払いをしてもらえるので良いかもしれませんね。はっきり言って厄払いに避けるべき日はありません。そんな迷信などの考えを改めて、仏滅に厄払いをして、新しい人生に生まれ変わるのもよいのではないでしょうか。要は人それぞれの気持ちの持ち方次第です。
 

仏滅の日にやってはいけないこと

身内は気にしなくても、やはり披露宴の招待客の中には「仏滅」という日を気にされる方もいるので、結婚式は避けたほうが無難かも……

身内は気にしなくても、やはり披露宴の招待客の中には「仏滅」という日を気にされる方もいるので、結婚式は避けたほうが無難かも……

■結婚・入籍
「仏滅の日の結婚式」と聞くと縁起が悪いので、世間一般ではやらないことの方が多いです。人生の晴れ舞台でもあり、夫婦となる日にわざわざ縁起の悪い仏滅を持ってくるわけにはいかないでしょう。仏滅はすべてが滅び、むなしくなる日だとされています。特に親世代や祖父母世代は気にされる方が多いので、仏滅は避ける傾向があります。

ですが、縁起が悪いという根拠は特にないのも確かです。信じる信じないも結婚する本人たちが決めること。例えば「仏滅割引」など、仏滅ならではのサービスもあり、料金が安い、土日であっても式場の予約が取りやすいなどのメリットもあります。実際、挙式は教会(キリスト教式)で挙げるため仏滅も関係ないともいえますよね。クリスチャンの方ならなおさらです。

身内は気にしなくても、やはり披露宴の招待客の中には「仏滅」という日を気にされる方もいると思います。結論として仏滅の結婚式は避けた方が無難かもしれません。

では入籍はどうなのでしょうか。結婚式と同じように「仏滅の日に入籍」するのは親世代には理解しがたいのが現状です。一般的に仏滅に入籍するカップルは統計的に少数です。

入籍する日は二人にとって大切な記念日。たまたま仏滅という縁起の悪い日と被ってしまったケースも少なくありません。ですが二人の気持ちの持ち方次第で、より良い新生活のスタートが切れるでしょう。「仏滅の日に入籍」したけれど、それが原因で別れたなんてことはないでしょう。もしそうだとしても、あまり意味もないこじつけはよしましょう。
物が滅び、再び新しく始まる仏滅の日に納車をするのは縁起が良いとゲン担ぎでされるケースもあります

物が滅び、再び新しく始まる仏滅の日に納車をするのは縁起が良いとゲン担ぎでされるケースもあります

■納車
「縁起が悪い→事故を起こす」といわれていることから、仏滅の日の納車はやらない方がよいでしょう。交通事故というものは、本人が気をつけていても避けられない事態になることもあります。もし万が一事故が起きてしまったら、と少しでも気になるのなら避けた方が賢明だと思います。

どうしても仏滅の日の納車でないとダメな場合は、車のお祓いをする方法もあります。車を境内に乗りつけてお祓いをしてくれる神社やお寺があるそうです。行けない場合は車のタイヤに塩をまき、お清めをすればよいそうです。また、車両登録日を大安にしてもらうこともできるそうです。車屋さんに聞いてみてくださいね。のちのち後悔しないようにじっくり考えましょう。

また、例外として、物が滅び、再び新しく始まる仏滅の日に納車をするのは縁起が良いとゲン担ぎでされるケースもあります。要は自分が良いと思った日にすれば良いのかもしれません。
縁起が悪い日よりも、できれば縁起が良い日に引っ越しをしたいのは誰もが思うことです

縁起が悪い日よりも、できれば縁起が良い日に引っ越しをしたいのは誰もが思うことです

■引越し
吉日とされる大安に引越しする人が多い中、仏滅は新しいことを始めるのには向かない日と考えられています。そのために一般的に引越しが避けられる傾向があります。「引っ越しするなら大安に」と思う方が多い中、考え方を少し変えれば、実は良い日でもあるのです。仏滅は一度最悪となった日から復活する、新しいことを始めるのに適した日だといわれています。このことから仏滅の引越しは悪いとはいえません。

なにも、縁起が悪いのは仏滅の日だけではないようです。仏教の「正五九(しょうごく)祭」があります。正月はお正月、5月は田植え、9月は収穫祭の時期に引越しをすると縁起が悪いといわれています。大事なお祭りのある時期に引っ越しをするなんて罰当たり!という考えがあったのでしょう。こうなると縁起が悪い日よりも、できれば縁起が良い日に引っ越しをしたいのは誰もが思うことですよね。
 

「仏滅割引」なんて制度も……?

日本では六曜による縁起担ぎが定着しているため、人気の高い大安と友引の日に結婚式が行われるのは常識です。ですが不人気であるからこそ、仏滅には料金を割引したり、サービスや様々な特典を付けている式場も多くあります。お日柄にこだわらなければ、仏滅に結婚式を挙げることはメリットがたくさん!

たとえば「仏滅は○○円OFF」「会場費と挙式料が最大全額無料」なんてところも。またコーディネートや介添料の無料、様々な演出のプレゼント、ドレスのレンタル料優待など様々な特典がいたせりつくせり。もし興味がおありでしたら仏滅割引について式場に問い合わせてみるとよいでしょう。

引越しの場合も調べてみました。一般的に仏滅などの縁起の悪い日に引越しをやりたくないと思う人は多いでしょう。当然日取りが良い日を選びますよね。そのため仏滅の日は避けられるため、料金が安くなるというわけです。反対に大安にこだわると引っ越し料金が高くなってしまうこともあります。

最近は引越しする日にいちいち六曜なんて気にしていられないと思っている方も多く、またカレンダーにも六曜が書かれていないものもあります。自分にとって一番都合の良い日を選んで引っ越しをすればよいことです。引越し業者には仏滅割引というものは直接ありませんが、混雑する土日祝日、大安よりも料金は平日・仏滅の方が安いのは確かです。


人々はこれまで、生き方に迷い何かにすがりたいと思った時、昔からの言い伝え、習わしを信じてきたのです。今は気にしない若い方も多くなってきています。何か特別な行事があればカレンダーでその日は何に当たるか確認する……それを信じるも信じないもその人次第です。このように上手に六曜とお付き合いをすればよいのではと思います。

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